Waseda Weekly早稲田ウィークリー

キャリアコンパス

カルチャー・トークダイジェスト ジャーナリスト 筑紫 哲也 「この世界をどう生きるか」

 ジャーナリスト 筑紫 哲也 (ちくし・てつや)

カルチャー・トークのトリを飾るのは筑紫哲也さん。アメリカ大統領選挙、日本の在り方、環境問題、教育問題など幅広い話題に及ぶ講演に、千人を超す来場者は熱心に耳を傾けていた。

 

先日のアメリカ大統領選挙で、シュワルツェネッガーがブッシュの勝利に貢献しました。オーストリア出身のいわばヨソ者の彼が、アメリカンドリームをつかみ、今は知事としてブッシュを讃えています。元来アメリカには他者を受け入れ、アメリカ化させる懐の広さがあったんです。

それが、9・11以降、極めて人種差別的な国になっています。ブッシュを支持した地方に住む人々の多くは、海外の動向に興味も知識もありません。ブッシュ政権は、世界で単独行動主義を推し進め、急速に人気を失っていますね。もう第二のシュワちゃんは生まれないかもしれない。

そのアメリカに日本は今後もついていくのか。現在、集団的自衛権を容易に行使できるよう、改憲まで話題になっています。「日本は大国だから責任を果たすべきだ」という意見がありますが、果たして日本は大国で、その資格と能力を今後も持てるのか。その議論もなしにやみくもに国連の常任理事国になりたがるのはおかしいですね。

早大出身者初の首相、石橋湛山は、日本の能力に応じた発展を目指す小日本主義を主張しました。湛山が病に倒れ、早々と政権を去らなければ、戦後史は変わったかもしれない。湛山の主張が今、一つの選択肢として再浮上しています。過去と現在は隔てなく大きなつながりがあるんです。

皆さんが将来の日本を引っ張っていくとしたら、今の皆さんの資質で日本の将来は既に予定されているとも言えます。皆さんが何を学び、どのような人間になるのか。結果が出るまで時間がかかりますが、教育は非常に重要なんです。

イラクで命を奪われた香田さんへの世間のバッシングに個人を追いつめる社会の偏狭さを感じました。若者が世界や社会に目を開き行動することは決して悪いことではないのに、そのような若者を育てようとする動きがとても少ない。でも、社会に向けて何かしようとする人は相当数いることを知ってほしいと思います。

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