「フィギュアスケートは“戦友”のような、かけがえのない存在」
人間科学部 eスクール(通信教育課程)3年 千葉 百音(ちば・もね)

大隈記念講堂の回廊にて
世界でも有数の「フィギュアスケート大国」である日本で注目されている選手の一人が、早稲田大学スケート部フィギュア部門に在籍する千葉百音さん(所属:木下グループ)です。2025~2026年シーズンは、2月のミラノ・コルティナオリンピックに初出場。4位で惜しくもメダルには届きませんでしたが、その後、チェコ・プラハで行われた世界選手権では銀メダル獲得と、世界の大舞台で活躍を続けています。そんな中、eスクール(通信教育課程)の学業もこなす千葉さんに、競技についてや、学業との両立の仕方、今後の目標などを聞きました。
――フィギュアスケートを始めたきっかけを教えてください。
4歳の時、テレビでフィギュアスケートの試合を見てその華やかさに憧れ、「自分もくるくる回ってみたい!」と母にお願いして始めました。当初はただ楽しく滑るだけでしたが、初めて国際大会に出場した小学6年生の頃には、「世界の舞台で戦っていきたい」「しっかり上を目指そう」という意識も芽生えました。今では“フィギュアスケートは戦友”という感覚で、自分にとってかけがえのない存在です。

写真左:5歳の時、「ベルサンピアみやぎ泉」のスケート場にて(写真は本人提供)
写真右:香港で開催された「2017年アジアンオープンフィギュアスケーティングトロフィー アドバンスドノービスクラス(国際スケート連盟の規定で、9歳以上14歳以下のカテゴリ)」に出場した際の写真。左から2番目が千葉さん(写真は本人提供)
――高校時代には既にシニアの国際大会で活躍していた中、なぜ早稲田大学に進学したのですか?
練習時間と学業を両立させるには、どんな大学のスタイルが良いのか。いろいろ調べた結果、通信制度のある早稲田大学の人間科学部eスクールなら、学びたいことを学べてフィギュアスケートとも両立できると考えて志望しました。
――目標だったオリンピック出場も果たし、国際大会グランプリシリーズでは初優勝と連続優勝も達成。世界選手権では銀メダルに輝きました。この成績をどう自己評価しますか?
今シーズンは結果の浮き沈みがあり、フィジカル以上に精神的に鍛えられた1年でした。シーズン冒頭のグランプリシリーズでは優勝することができましたが、その後のグランプリファイナルでは5位。全日本選手権は3位。オリンピックは4位。自分のパーフェクトな演技ができず、悔しい結果が続きました。

2026年2月に開催された「ミラノ・コルティナオリンピック」女子フリーにて、演技中の一枚(写真:共同通信社)
ただ、世界選手権では、今シーズンのうまくいった試合と悔しかった試合の両方の経験を生かせたことで、銀メダルという結果につなげることができました。精神的に成長できたシーズンだったと感じています。

チェコ・プラハ で開催された「世界フィギュアスケート選手権2026」女子SPにて、フィニッシュのポーズを決める千葉さん(写真:共同通信社)
また、オリンピックは悔しさが残った反面、小さい頃からずっと憧れていた夢の舞台だったので、その場に立ち、観客の皆さんと空間を共有して演技できたことは、とても幸せな瞬間でした。自分の演技内容や結果には満足できない点もたくさんありましたが、オリンピック全体を通して貴重な経験ができました。
――シーズンを通して海外遠征も多い中、大学では具体的にどんなことを学んでいますか?
スケートの技術をどうすれば安定させることができるか、試合で緊張した際にどう対処すればいいのか、心理学的な観点からの対処法を学んでいます。試合に対してネガティブな要素がある時ほど緊張してしまうのですが、自分が今できることやコントロールできることにフォーカスするという心理学の考え方が、緊張を乗り越えるにあたって役に立ったことは実際にあります。
他にも、自分自身の動作に対してどうアプローチしていくかというパフォーマンス認知学も、競技に生かせていると感じています。

PCに向かって課題に取り組む様子(写真は本人提供)
授業の課題は、スケート練習がオフの日にしっかり取り組んでいます。といっても、その1日だけでは足りないので、練習の合間も活用していますね。普段の練習は毎日3時間半。その練習の合間にできる約30分間で少しずつ勉強しているんです。大会期間中や海外遠征の際はスケートに集中したいので、なるべく出発する前に大学の課題は終わらせるようにしています。
――千葉さんが所属するスケート部校友の荒川静香さん(2004年教育学部卒)や、同じ人間科学部eスクール(通信教育課程)に在籍していた羽生結弦さん(2020年卒)ら先輩オリンピアンの存在は影響しましたか?
フィギュアスケーターには早稲田大学の卒業生の方がたくさんいらっしゃることは存じ上げていました。自分の場合は学びたい分野がフィットして早稲田を選んだので、憧れの先輩方と同じ道を進めたのは偶然でしたが、先輩方と同じ環境に身を置けることは、光栄なことだと思っています。
――スケート部の仲間とはオンラインで交流しているそうですが、同世代の仲間はどんな存在ですか?
スケート部にはジュニア時代からの友人の選手もいて、入学した時にすごく心強かったことを覚えています。同年代のフィギュアスケーターとして、「競技と学業を一緒に両立していけるように頑張ろうね」と、今も連絡を取って励まし合っています。

2026年1月に田中総長へ表敬訪問をした際、八木沼純子監督(1995年教育学部卒、写真前列左端)と、スケート部の仲間と撮影した一枚。写真前列中央が千葉さん
――最後に、今後の目標を教えてください。
学業では、まずは卒業を目指して引き続き励んでいきます。フィギュアスケートでは、来季は表現面と技術面の両面でグレードアップを目指していきます。表現面は自分が今までやってこなかったジャンルの曲に挑戦してみたいですし、技術面は新しいジャンプに挑戦するだけではなく、スケーティングやスピン、体の使い方など全般的な質を今よりワンランク上のレベルに上げたいです。笑顔で終わる大会をどんどん増やしていきたいですね。

「世界フィギュアスケート選手権2026」の表彰台にて。写真左、笑顔で銀メダルを手にするのが千葉さん(写真:共同通信社)
第927回
取材・文:オグマナオト(2002年第二文学部卒業)
編集:早稲田ウィークリー学生スタッフ 社会科学部 4年 米田 菜々美
撮影:布川 航太
【プロフィール】
宮城県出身。東北高等学校卒業。木下グループ所属。オフの日は、映画鑑賞やカフェ巡りをして過ごす。早稲田大学在学中にキャンパス周辺のカフェを開拓してみたいそう。最近ハマっているのは、紙とペンを使って描くアート「ゼンタングル」。「フィギュアスケートはシングルやペア、アイスダンスとさまざまな種目があるので、ぜひ各種目に注目してみてほしいです!」と話す。
写真左:大隈記念講堂の回廊にて笑顔で映る千葉さん
写真右;千葉さん作のゼンタングル(写真は本人提供)








