
東伏見キャンパスにある安部磯雄記念野球場にて。左から、髙橋選手、寺尾選手(副将)、香西選手(主将)、尾形選手
5月30日(土)、31日(日)に行われる東京六大学野球・早慶戦は、春季リーグ戦の単なる1カードではなく、永遠のライバルとの戦いに学生・校友・ファンの思いがぶつかり合う特別な舞台です。「全学年で戦うチーム」として進化を続けている今季の早稲田大学野球部について、主将・香西一希投手、副将・寺尾拳聖選手にインタビューを実施。また、2023年夏の甲子園決勝で、慶應義塾高等学校に敗れた仙台育英学園高等学校でバッテリーを組んでいた髙橋煌稀投手、尾形樹人捕手にも、「リベンジ」となる早慶戦への思いを語ってもらいました。満員の球場に響く「紺碧の空」、スタンドとグラウンドが一つになる熱狂。皆さんの声援が、勝利への力になる早慶戦。ぜひ神宮球場に足を運んで、スタンドを臙脂(えんじ)色に染めましょう!
※ 取材は2026年5月1日に行いました
▼世代を超えて一つに 主将と副将が誓う、早稲田の逆襲
▼慶應との戦いは「運命」 幼なじみバッテリーで立ち向かう大舞台
▼早慶戦の試合概要とチケット販売について
世代を超えて一つに 主将と副将が誓う、早稲田の逆襲
スポーツ科学部 4年 香西 一希(こうざい・かずき) 主将・投手 九州国際大学付属高等学校出身
人間科学部 4年 寺尾 拳聖(てらお・けんせい) 副将・外野手 佐久長聖高等学校出身

左から、香西選手、寺尾選手
今年の早稲田は「全学年で戦うチーム」
――お互いをどんな選手、どんなリーダーだと思いますか?
寺尾:主将の香西はしっかり者ですね。グラウンドで練習する姿勢も寮での生活もしっかりしていて、投手としても制球力がしっかりしている。後ろで守っていてリズムに乗りやすい、頼もしい男です。
香西:(寺尾)拳聖は普段はムードーメーカーとして盛り上げ役になり、練習では野手陣を引っ張ってくれる頼れる副将です。プレー面では4番として勝負強いバッティングをしてくれますし、守備では球際に強く、ファインプレーで何度もチームのピンチを救ってくれています。
寺尾:照れくさいね、コレ(笑)。

香西選手
――投手でキャプテンという大役は、早川隆久投手(2021年スポーツ科学部卒。プロ野球・楽天)以来です。
香西:小宮山監督からは「今年は投手力と守備力を軸に勝っていくぞ」と言われています。その投手陣を(自分が)引っ張っていってほしい、という監督の思いを感じました。自分が野手組に目配りし切れない分、今年は野手組で副キャプテンを3人体制にしてもらい、うまく分担してもらっています。
寺尾:内野手は岡西佑弥(スポーツ科学部4年)と山根潤太郎(教育学部4年)が見ていて、自分は外野陣を、という役割分担です。また、昨年からレギュラーとして出させてもらっているので、その経験をいかにチームに伝えるか。練習グラウンドのある東伏見と神宮球場では、同じプレーでも違いが出てくるので、そういう部分をしっかり伝えたいと思っています。

寺尾選手
――香西投手は4年目にして先発初挑戦。リーグ戦開幕戦では被安打1、13奪三振の見事な完封劇を演じました。
香西:昨年まではピッチングが行き詰まると、単調なストレート勝負になりがちでした。最後までストレートと変化球の組み合わせを徹底できるよう、冬場にしっかり球数を投げ込んだ成果を開幕戦では出すことができました。自分の初先発、今季チーム公式戦初戦と、いくつもの「初」が重なった試合で緊張感がありましたが、それをモチベーションに変えて完封できたかなと思います。

2026年春季リーグ戦の開幕戦となる対東京大学第1回戦で、無四球完封13奪三振の「準完全試合」を達成した香西選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
――「初」という意味では、今季は初先発・初出場組も多いですね。
香西:投手では齋藤士龍(文学部3年)や中村心大(スポーツ科学部1年)など、初登板組の新しい風がチームに勢いをもたらしています。野手でも、今年は阿部葉太(スポーツ科学部1年)や德丸快晴(スポーツ科学部2年)ら下級生がチームを引っ張っているので、3、4年生も「自分たちも負けられない」という思いが強いです。
2026年春季リーグ戦対法政大学第3回戦で好リリーフを見せた齋藤選手(左)。同対東京大学第3回戦で2回を無失点に抑えた中村選手(右)(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
寺尾:今年の早稲田は「全学年で戦うチーム」。1、2年生が盛り上げてくれることで、自分たちもさらに乗っていける部分はあると思います。
2026年春季リーグ戦対東京大学第2回戦で初安打を放った阿部選手(左)。同対法政大学第3回戦で2点タイムリーを放った德丸選手(右)(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
「どん底」からの逆襲へ 1球1球、一つのプレーに全力で!
――改めて、早慶戦とはどんな戦いでしょうか?
香西:1年生の秋に初めて早慶戦で登板しましたが、地に足がつかない、ふわふわした感覚になったのを覚えています。満員のスタンドが奏でる応援の迫力もすごくて、今まで経験のない緊張感がある試合でした。
寺尾:自分は2年春に初めて早慶戦に出場して、雨の中でもたくさんの観客が来てくれることに驚きました。自分が守るレフトには慶應義塾大学側の応援席がありますが、外野席とアルプス席の応援が混じり合って、頭が混乱するときもあります(笑)。いつもより選手間の声も届きにくいので、コミュニケーションを大切にしようという意識が高まります。

2026年春季リーグ戦対法政大学第2回戦、渾身(こんしん)のダイビングキャッチでチームのピンチを救った寺尾選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
――慶應で対戦が楽しみな相手は?
香西:渡辺和大投手ですね。実は高校3年生の夏、渡辺選手がいた高松商業高等学校に甲子園で負けて高校野球生活が終わってしまったんです。早慶戦は直接リベンジできる最高の機会ですし、勝って大学野球を締めくくりたい。自分も先発で投げ合えたら最高ですけど、投げられなかったとしても、チームとして打ち勝ちたいです。
寺尾:実は自分も、夏の甲子園では渡辺投手の高松商業に負けて高校野球が終わりました。これまでの早慶戦ではかなり抑えられているので、今度こそ自分のバットでチームに勝利をもたらしたいです。
――応援に来てくれる早大生に向けて、早慶戦ではどんなプレーを見せたいですか?
香西:昨秋、新チーム初戦となったハワイ大学戦でノーヒットノーランでの大敗を喫してしまい、小宮山監督に「どん底からのスタートだ」と言われて僕らの代は始まりました。そのどん底から成長するため、目の前の練習にどれだけ真剣に取り組めるかを日々意識しています。全力疾走や、全員が1球1球に集中して野球と向き合っているところを感じてほしいです。
寺尾:香西と重なりますけど、僕らの代は一つのプレーに全力で取り組むチームです。その中で、自分の仕事はスイングに集中すること。持ち味であるフルスイングでチームに貢献したいです。
香西:そして、早慶戦はグラウンドの僕らだけではなく、応援も合わさって慶應に立ち向かっていく試合です。大学と大学の迫力あるぶつかり合いを味わってください。

取材を行った早稲田大学野球部・安部寮の応接室に飾ってある、東京六大学野球リーグ戦優勝時の記念品
慶應との戦いは「運命」 幼なじみバッテリーで立ち向かう大舞台
スポーツ科学部 3年 髙橋 煌稀(たかはし・こうき) 投手 仙台育英学園高等学校出身
スポーツ科学部 3年 尾形 樹人(おがた・みきと) 捕手 仙台育英学園高等学校出身

左から、髙橋選手、尾形選手
――小学生の頃からバッテリーを組み、仙台育英高校では全国制覇も成し遂げた2人。早稲田に入ってさらに伸びたと思うのは、お互いどんな部分ですか?
髙橋:尾形の場合、技術面が伸びたのはもちろん、野球に対する姿勢ですね。高校時代よりも練習の意味を自分で考え、自主練にも積極的に取り組んでいると思います。
尾形:髙橋のピッチングの強みは、まっすぐで空振りやファウルが取れるところ。今年はさらに「自分一人で抑えよう」という意識が高まったと感じています。
写真左:小学校6年生の頃、地元、宮城県登米市の登米友球ジュニアで出会った2人(左が髙橋選手、右が尾形選手)
写真右:2023年夏の甲子園3回戦で大阪代表の履正社高等学校に勝利しタッチを交わす、仙台育英時代の髙橋選手(左)と尾形選手(右)
――4月の法政大学戦では初完投を達成。小宮山監督も、昨年度のエース・伊藤樹投手(2026年スポーツ科学部卒。プロ野球・楽天)を引き合いに出し、「樹の後継だ」と評価していました。
髙橋:仙台育英の先輩でもある樹さんの背中をずっと追ってきたので、素直にうれしかったですね。冬の間は球速を上げたいと思ってトレーニングに取り組み、変化球の球速は上がってきました。ストレートも質の面で昨年より良くなった実感があります。また、高低をしっかり使えて、投げたいところに投げ切れるようになってきたのが成長できた点かなと思います。
(左)2026年春季リーグ戦対法政大学第2回戦、最速151kmのストレートで押し込み、9回1失点10奪三振の完投勝利を収める髙橋選手。(右)左から、マウンドに集まる髙橋選手、小宮山監督、尾形選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
――小宮山監督からの指導で、他に印象的な言葉はありますか?
髙橋:監督からは、「『絶対打たれない』という気持ちで投げれば、バッターは簡単には打てない」と日頃から言われています。完投した法政大学戦も、『絶対打たれない』という気持ちで腕を振った結果だと思います。
尾形:自分の場合は、3月の沖縄遠征で「尾形が盗塁を刺して、難しい球を止めても、当たり前だから褒めない」と言われたことです。要求されるレベルが高いということは、期待の裏返しだと感じることができました。

髙橋選手
――髙橋投手も含め、早稲田には好投手が何人もいます。リードする上で意識していることは?
尾形:仙台育英高校時代に須江航監督から言われてから意識しているのは、「夏の暑い試合でも、涼しい部屋でコーラを飲みながらリラックスしてテレビ観戦している野球ファンの目線が分かるキャッチャーになれ」という言葉です。「なんでこの場面でこの球なの?」「もっとこうしたらいいのに」とファン目線でも思考できるような、俯瞰(ふかん)する視点を持ってリードするように心掛けています。

尾形選手
――高校3年生の甲子園決勝では、慶應義塾高等学校と熱戦を演じた因縁もあるかと思います。いよいよ主軸として迎える早慶戦という大舞台に立てることについて、どう感じていますか?
髙橋:これはもう「運命」だと思っていますし、光栄なこと。もし投げることになれば、やるからには絶対に負けない、という強い気持ちがあります。
尾形:慶應にも甲子園決勝で戦ったメンバーが何人もいますし、向こうも僕たちには負けられない気持ちがあるはず。高校時代の仲間も、僕たちが雪辱を果たしてくれると期待していると思うので、かつての仲間たちの思いも背負って戦いたいです。
――特に対戦が楽しみな相手は?
髙橋:渡辺憩選手は甲子園でも打たれていますし、昨年のオール早慶戦でも打たれてしまったので、今年こそ抑えたいです。
尾形:自分も渡辺選手です。同じキャッチャーで、高校時代から意識してきた選手なので、負けたくない気持ちが強いです。あとは、丸田湊斗選手も甲子園でホームランを打たれた相手です。丸田選手が打つと慶應打線が波に乗ってしまうので、この2人はしっかり抑えたいと思います。
――応援に来る早大生に向けて一言お願いします。
髙橋:持ち味であるストレートで押していく強気のピッチングを、皆さんにお見せしたいです。応援よろしくお願いします!
尾形:キャッチャーはあまり目立つポジションではないですが、むしろその冷静さを意識したいです。皆さんにも「あのキャッチャー、落ち着いてるな」と思ってもらえるようなプレーで戦います。

それぞれが大切にしている言葉。左から、髙橋選手「他人を喜ばせる力があれば、自分に良いことが返ってくる」、寺尾選手「自分のフルスイングを見てほしい」、香西選手「今年のチームの目標、天皇杯奪還」、尾形選手「何事も丁寧に」
取材・文:オグマナオト(2002年第二文学部卒業)
X:@oguman1977
撮影:番正 しおり
早慶戦の試合概要とチケット販売について
東京六大学野球2026年春季リーグ戦
【試合日時】
◆1回戦:5月30日(土)13:00~
◆2回戦:5月31日(日)13:00~
※ 雨天順延
※ 2回戦までで勝ち点が決まらない場合には月曜日以降に続けて試合
【会場】
明治神宮野球場
【チケット販売】
早慶戦のチケットは以下のように販売されます。各日、販売枚数が上限に達した時点で販売終了となります。
◆内野席・ファミリー・ペアシート(全席指定):前売りのみで、プレイガイド3社(チケットぴあ、ローソンチケット、イープラス)にて販売。
◆第2内野席・外野席(自由席):当日券を明治神宮野球場にて販売。
※ 外野席は上記のプレイガイド3社で前売り販売あり
◆一般・学生応援席(内野・外野):早稲田大学生活協同組合店舗(早稲田キャンパス・戸山キャンパス・西早稲田キャンパス・所沢キャンパス)にて5月18日(月)~5月28日(木)まで販売予定。ただし、無くなり次第、販売終了。
学生応援席購入時には学生証の提示が必要です。学生応援席500円、一般応援席1,000円。詳細は、一般社団法人東京六大学野球連盟のWebサイトを確認してください。
【ライブ配信】
全試合ライブ配信動画の視聴が可能です。
◆インターネットサービス「BIG6.TV」
【早稲田大学野球部】
Webサイト:http://www.wasedabbc.org/
X:@wasedabbc1901
Instagram:@waseda_baseball
【東京六大学野球連盟】
Webサイト:http://www.big6.gr.jp/index.php
早稲田大学野球部ブログ:http://tokyo6s.com/blog/waseda/
【公認サークル「早稲田スポーツ新聞会」】
1959年創立。早稲田大学体育各部44部の活躍を報道している、学生スポーツ新聞の先駆け的存在。取材・撮影・執筆・編集の全てを学生のみで行う。
年10回(+号外)の新聞を無料発行している他、以下のWebサイトでは試合記事を日々更新。
Webサイト:https://wasedasports-sousupo.com/
X:@waseda_sports
Instagram:@wasedasports
YouTube:@早稲田スポーツ新聞会
【次回フォーカス予告】6月1日(月)公開「キャリア特集」






