
「レポートや論文を書くコツを知りたい」「数学が苦手」「データ科学を学んでいるけど、勉強の仕方が分からない」。授業を受ける中で、このような悩みを持つ人は多いのではないでしょうか。早稲田大学グローバル・エデュケーション・センター(GEC)には、早大生の学びをサポートする窓口があります。文章はライティング・センター、数学・統計・データ科学・情報はMath and Stat Center・情報対面指導室(MSC・情報対面指導室)で相談が可能です。今回は、この2つの窓口について、どんな相談ができるのか、利用方法などを紹介。学業で困っていることがあったら、気軽に利用してみましょう!
ライティング・センター
レポートや論文の書き方についての相談に対し、文章指導の訓練を受けた大学院生のチューターが個別にサポートします。どの段階の文章でも受け付けているので、最終原稿でなくてもOK。早稲田大学の学生・教員であれば、無料で利用できます。また、日本語・英語文章に多言語で対応しています。
※ 就職活動関連の文章は扱っていません
ライティング・センター チューター
大学院アジア太平洋研究科 博士後期課程 4年 二村 彩菜(にむら・さな)
『早稲田ウィークリー』学生スタッフ
文化構想学部 4年 西村 凪紗(にしむら・なぎさ)

早稲田キャンパス 3号館2階ライティング・センターにて。左から、西村さん、二村さん。今回、学生スタッフの西村さんが、ライティング・センターのセッション体験を受けることに
ライティング・センター チューターとは?
――チューターはどのような指導訓練を受けていますか?
「学術的文章の作成とその指導」(GEC設置科目)という大学院の授業を半年間受講し、執筆能力が一定の基準を超えたと判断されると、面談を経て新人チューターとなります。独り立ちした後も毎週月曜日の研修で技術を磨いています。チューターになった段階で文章の書き方は身に付けていますが、さまざまな文章に対応する力や書き手との対話方法などを日々学んでいるんです。

様な文化的背景を持つ子どもに対する教員の関わり方を研究する二村さん。チューター歴は3年以上
――どのような文章についての相談がありますか?
時期によって違っていて、留学関係書類の締め切り時期は留学志望書、学期末は授業のレポート、年度末は卒業論文や修士論文が多くなります。特に学期末は混雑しますね。他にも、プレゼンテーション原稿にも対応しています。締め切り前日や当日に駆け込んで来る人もいますよ。
――そんなギリギリに来ても対応してもらえるんですか?
大丈夫です! センターに相談に来るだけでも素晴らしいことだと思っています。ここへ来るのは意欲のある証拠だと思うので、その気持ちに少しでも応えたくて。何に困っているのかを聞きつつ、締め切りまでにどこまでできるのかを話し合って、少しでも良い文章を作れるように一緒に努力します。
――チューターとして心掛けていることはありますか?
センターでは、“自立した書き手”を育てることを大事にしているので、「書き手の考えを尊重する」ことを心掛けています。一方的に書き方を指導するのではなく、書くことで自分の考えを深めていけるよう、書き手の意図をしっかり聞き、その人が書きやすい文章を一緒に作っていくようにしています。
実際にセッション体験!
『早稲田ウィークリー』学生スタッフの西村さんが、ライティング・センターの指導(セッション)を体験しました。
西村さん
1年生の時に数回利用しましたが、当時は完成した文章しか見てもらえないと思っていて、ハードルが高い印象でした。でも今回、書き始める前のブレーンストーミングから対応してもらえると知ってびっくり! そろそろ卒業論文(以下、卒論)を本格的に書き始めないといけないので、セッションを体験してみることにしました。
まずは予約
利用する際は、MyWasedaで事前予約を。詳しくはライティング・センターWebサイトを確認してください。
ライティング・センターへ

早稲田キャンパス 3号館2階にあるライティング・センター入口。西早稲田、所沢キャンパスにもある
予約日時の5分前までにセンターへ。受付スタッフに指導してほしい文章を提出します。事前にプリントアウトして持って行くことを忘れずに!
写真左:プリントアウトした文章は受付へ
写真右:当日の予約に空きがあれば、事前予約なしでも受付で申込書を記入して利用することが可能
セッションスタート!
1.相談内容の確認
チューターと一緒にセッションブースへ。1セッション、45分間と時間が限られているので、「今回検討する文章の内容」や「相談者の疑問点」を手際良く聞き出してくれます。

今回、西村さんは12月に提出する卒論の概要をまとめた文章を用意。「これで卒論として形になるのか」「ケーススタディー(※)はどのように行えば良いのか」「SNSなどを学術文書として引用できるか」の3点について相談したいそう。一方、二村さんからは、求められる文章量や指導教員からの指示内容など、卒論の条件やルールについて質問。西村さんの卒論では、「英語で8,000words以上」「文献を15点以上引用する」という条件があることを一緒に確認しました。
※ 「事例研究」という意味で、実際に起こった多様な事例を題材に、分析や検討を行う研究方法の一つ
2.チューターに文章を読んでもらう
二村さんが文章を読む前に、西村さんに内容を説明するようリクエスト。自分で説明することで、相談者も改めて内容を確認することができます。
西村さんの研究テーマは日本のアニメが対象で、「すごく面白いテーマですね!」と二村さん。西村さんも少し緊張が解けた様子です。二村さんが文章を読む間、西村さんには文章の中で研究の目的について書かれた部分をピックアップすることと、読み返してみて気になるポイントがあれば、チェックするよう指示がありました。セッション冒頭の文章を読む時間は、書き手にとっても自分の文章と向き合う大切な時間になります。

3.疑問点についての検討
読み終わった二村さんは、「論文という形式をきちんと意識して書かれていると感じました。こういう視点があったのかと気付きのある内容で、面白い論文になると思います!」とコメント。西村さんも改めて文章を読み返したことで疑問点が整理されて、2人で相談の上、今回は➀「論文の書き方・プロセス」➁「卒論として形になっているか」➂「引用の方法」➃「ケーススタディーについて」という順番で検討していくことになりました。

セッション中、二村さんは西村さんの考えを引き出すように、次々と質問。指導教員から論文の最初に“読んだ人の興味を惹くような内容”を入れるように言われ、どうしたら良いか悩んでいた西村さんでしたが、二村さんに「自分だったらどういう文章に興味を惹かれますか?」と聞かれると、「意外性がある文章とか?」と次第に考えが整理されていった様子。さらに「ここは意外性があるけれど、初めて読んだ人にも分かる文章になっていますか?」と聞かれ、「もっと研究対象の範囲をしっかり説明するようにした方が良いですね」と西村さん自らが提案する場面も。
また、引用文献を整理するツールに何を使うか迷っていた西村さんに、「好みによりますが、ExcelやNotion、Wordで情報を貼り付けていく人もいますよ」と、二村さんは具体的な方法を提案してくれました。このように、指導教員に相談するほどでもないけれど、実際に書き進める上で役立つアドバイスがもらえるのも、ライティング・センターの魅力です。
二村さん
セッションの中で、書き手自身が「ここはこう変えた方がいい」と気付いたときは、やりがいを感じます。一方的に「ここは違うんじゃないか」と指摘することは簡単ですが、書き手の書く力を育てるためには、自分で気付いてもらうことがとても大切ですから。

4.今後の課題の確認
終了時間が近づくと、最後に今後の課題について確認します。西村さんの場合、序論に研究の導入と研究背景をまとめることで内容をもっと深め、論文の構成をしっかり組み立てていく必要があるという結論に。そのためにも、構成を考えるのと同時進行で、先行研究の文献にたくさん目を通していくことが課題となりました。ここでセッション終了です。
チューターがセッション中に示した資料などはコピーをもらえるので、今後課題に取り組む際の助けになります。

西村さん
「これはどういうことですか?」とたくさん聞いていただいたおかげで、書くべき方向性に自分で気付くことができたと思います。一方的に指示されるのではなく、私が本当に書きたいことをすごく大事にしてくださっている印象を受けました。今日は概要について相談したので、いろんな方向から質問してしまいましたが、次回は序論だけにするなど、テーマを絞るのも良いかもしれません。卒論提出まで、これからライティング・センターに通うことが確定しました!
二村さん
文章を見られることに抵抗がある人もいると思いますが、チューターは専門的な訓練を積んでいますし、私自身も書き手であって、書くことの大変さは身に染みるほど分かります。なので、「ちょっと行ってみようかな」くらいの気軽な気持ちで来てもらえたらと思います!
取材・文:末光 京子(1998年理工学部卒)
撮影:橋本 千尋
ライティング・センター
<開室>
月曜日~金曜日 9:45~16:40(月曜日12:30~13:45除く)
<場所>
●早稲田キャンパス:3号館 2階209室
●西早稲田キャンパス分室:60号館 2階 201室
●所沢キャンパス分室:100号館 4階 所沢図書館ラーニング・コモンズ(サポート・エリア)
※ オンラインセッションも可能。詳しくはライティング・センターWebサイトをチェック
写真左:個別に指導するセッションブースは、圧迫感がないようガラスの仕切りを設置する工夫も
写真右:受付の近くにある本棚には、学術的文書の作成に役立つ本が並ぶ。ふらっと立ち寄って読むことができるそう
MSC・情報対面指導室
Math and Stat Center(MSC)では数学・統計・データ科学について、情報対面指導室では情報科学などの授業での疑問点について、常時待機するLA(ラーニング・アシスタント)が個別にサポートしてくれます。
※ 情報対面指導室は、指定科目の履修者のみ相談可能で、事前予約が必要です
MSC 数学担当LA
大学院教育学研究科 修士課程 2年 髙橋 晃生(たかはし・こう)
MSC データ科学担当LA
政治経済学部 4年 矢向 俊貴(やこう・としたか)
情報対面指導室担当LA
大学院基幹理工学研究科 修士課程 2年 加瀬 颯悟(かせ・そうご)
大学院基幹理工学研究科 修士課程 2年 遠藤 惟織(えんどう・いおり)

早稲田キャンパス 3号館2階のMSC・情報対面指導室前で。左から、髙橋さん、矢向さん、遠藤さん、加瀬さん
MSCとは?
――どんな相談ができますか?
髙橋:私は数学担当で、主に「数学基礎プラス」(GEC設置科目)について質問を受けています。各学部で設置されている数学を教えてほしいという相談も多く、対応しています。
矢向:私はデータ科学担当で、GECのデータ科学科目への質問を幅広く受けているのに加えて、各学部で設置されている統計学の授業についても相談を受けています。
――相談前に準備すべきことはありますか?
髙橋:特にありませんが、小テストやドリルの問題には答えられないので、注意してください。その場合は教科書などで類似問題を探してもらえたら、その問題の考え方を教えます。
――実際にあった相談内容と対応プロセスを教えてください。
矢向:データ科学は統計学とプログラミングの融合であるため、両分野の質問が来ます。例えば統計学の質問に対しては、スマホゲームのランダム型アイテム提供、いわゆるガチャなどの身近な例を挙げて説明すると理解してもらえることが多いです。また、プログラミングに関する相談にも基礎から丁寧に対応しています。

統計学のゼミに所属する矢向さん。状態空間モデルに基づいて桜の開花日を予測する研究をしている
髙橋:行列の計算が煩雑で、どこで間違えたのか分からないという相談がありました。そういうときはホワイトボードを使って、まず質問者に解き方を書いてもらいます。その過程で、私から「どうしてこうしたか?」を確認していくと、自分で間違ったポイントを理解してもらいやすいです。
――LAとして心掛けていることはありますか?
矢向:質問者が理解しやすいように、専門用語は絶対に使わないようにしています。自分自身の理解も深まるので、良い訓練になっていますね。
髙橋:自分で答えにたどり着いてほしいので、多くの質問を投げ掛けて、質問者にたくさん考えてもらうように心掛けています。

数学教育専攻の髙橋さん。純粋数学、特に代数学と呼ばれる分野の可換環論を研究している
――利用したことがない学生にメッセージをお願いします。
矢向:MSCは予約不要なので、分からないと思ったら気軽に相談に来てください。単位取得に向けて頑張りましょう!
情報対面指導室とは?
――どんな相談ができますか?
加瀬:以下の指定科目の履修者が対象で、これらの科目に関する質問であれば、どんな内容でも対応します。授業開始時期は課題やテストに取り組む前の学習環境の構築、PCのセットアップやWasedaMoodleについての質問が多いですが、夏以降は課題についての質問が増えますね。相談にはWasedaMoodleからの予約が必要です。
――相談前に準備すべきことはありますか?
加瀬:授業ではPCを使うことが多いので、自分のPCを持ってきてもらえれば大丈夫です。
――実際にあった相談内容と対応プロセスを教えてください。
遠藤:コマンドプロンプトというコマンドで各種操作を行うツールがあるのですが、慣れないうちは分かりにくいこともあり、ファイルを実行できなくて困っている学生が相談に来たんです。でも、修正すべき点を教えるだけではそれで終わってしまうので、書かれている情報の見方など、一人でファイルを実行できるように考え方を教えました。

情報理工・情報通信専攻の遠藤さん。議論の内容をリアルタイムで可視化し共有することで、議論の質を上げる研究をしている
――LAとして心掛けていることはありますか?
遠藤:正解を教えるだけでは、答えを持って帰って終わりです。だから、プロセスを一緒に考えて、相談者が自分で正解にたどり着けるようサポートすることを心掛けています。
――利用したことがない学生にメッセージをお願いします。
加瀬:予約は必要ですが、混み合うことはあまりないので好きなタイミングで利用できると思います。対象科目に関することなら何でも構わないので、気軽に利用してください!

情報理工・情報通信専攻の加瀬さん。弓道の射型学習を支援するVRシステムの開発とその評価を研究している
MSC・情報対面指導室
<開室>
授業期間中の月曜日~土曜日 9:30~18:00
※ 日曜日・授業のない祝日は閉室
※ 詳しい開室時間はこちら
<場所>
早稲田キャンパス 3号館 2階208室

MSC・情報対面指導室の様子。広々としたラウンジで指導を受けられる
取材・文:末光 京子(1998年理工学部卒)
【次回Special Issue予告】6月29日(月)公開「キャリアいろいろ」







