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「総合知」を養う学生たちの姿(2)

特集:総合知、世界へのまなざし

Mon 10 Nov 25

特集:総合知、世界へのまなざし

Mon 10 Nov 25

認知神経科学×データサイエンスで未知の領域へ数理的にアプローチ

データ科学認定制度を活用し、統計や機械学習の知識を習得

人間科学部4年 和久井 健太さん

撮影=所沢キャンパス101号館

撮影=所沢キャンパス101号館

人間科学部の人間情報科学科で、認知神経科学を中心に学んでいます。研究室では「ネッカーの立方体」に代表されるような、同じ視覚刺激から別の像が浮かぶ「知覚交替」を分析しており、人間が持つ知覚の柔軟性、意識のメカニズムを解明したいと考えています。

所属する研究室の特徴は、脳波や眼球運動を計測する環境が整っており、生体情報を有効活用できること。脳内で生じる情報処理の仕組みを精緻に分析することが可能です。また近年の認知神経科学では、機械学習などの活用により高度な研究成果を得られるようになっており、先行研究の論文を読み込むためにも、データサイエンスの知識が必須化しています。そこで私は、大学が提供する「データ科学認定制度」を活用し、4年間を通じてデータサイエンスの知識を身につけてきました。

データ科学認定制度の中で提供される「データ科学教育プログラム」は、基礎からデータサイエンスを学べる体系的なプログラムです。1年生の時の授業でAIや統計に関心を抱き、履修を始めました。学んでみると次々とスキルが上達する実感があり、休暇期間には書籍やウェブで自習するなど、いつの間にか熱中していました。レベルが上がるにつれ、問題解決に挑む演習も増えていき、実践的なスキルも身につけられます。現在は上級の認定を取得し、学んだ知識を研究に応用できるレベルに到達しました。最先端の分析手法を習得できたことで、主専攻のアプローチ方法が広がったと感じます。

「人間」というテーマに複合的にアプローチする人間科学部には、さまざまな分野の科目が設置されていることが魅力です。一方で人間を対象にしている以上、各知識は直感的な理解に依存することもありますが、データサイエンスを取り入れることで、数理的に事象を把握でき、予測や論証の精度も高まります。

人間科学部で学んだのは、細分化された専門知だけでは、解決できない課題があることです。知識の統合は物事を見つめる視野を広げ、特にデータ科学のような新たな領域を理系・文系問わず学べる機会があることは、研究の独自性を高める上でも役立ちます。卒業後は大学院に進学する予定で、現在の研究内容をより追究していくつもりです。研究活動と並行し、データサイエンスのスキルも磨いていきたいです。

データ科学認定制度
全学部・研究科の学生が履修可能な「データ科学教育プログラム」の認定制度。データ科学に関する能力を保証するために到達目標を明示した四つの級を設置し、要件を満たすとデータ科学センターより証明書が発行される。データから合理的な意思決定や論証を導くスキルは、主専攻でも役立てられる。