私たちは、日本の伝統的文化の1つである「お茶」について学ぶべく、静岡県菊川市での1泊2日「しずおか茶体験ツアー」に参加しました。
「静岡ついたー!」と感じたのは新幹線で掛川駅に到着した瞬間ではなく、駅から最初の研修場所であるJA遠州夢咲の茶業振興センター、サエリアに向かうバスの車窓から広大な茶畑を眺めた時でした。どこの茶畑も手入れが行き届いていたのが印象的でした。
到着後は、オリエンテーションを受けて、早速手揉み体験が始まりました。日本全国でも数少ない師範代の方からその技を伝授していただきました。一見簡単そうに見えましたが、実際自分でやってみるとうまくいかず、日本の伝統の重みを感じると共に、こういった伝統をどう後世に伝えていくかが大きな課題であると感じました。
次に訪れたのは世界農業遺産の千框の棚田です。人間と自然の共存について学びを深める場となり、その中でも一番驚いたのは人の手を適度に加えた方がその土地の生物の多様性が広がるということでした。その後場所を移動して、農家さんの茶畑で乗用摘採機に乗り、茶摘み体験もさせていただきました。わずかな時間でしたが、機械の操縦に緊張しながらも、またとない貴重な機会を存分に楽しみました。続けて、荒茶工場に移動し、今まで人々が手揉みで行ってきた茶葉の加工過程が機械化された現場を見学しました。
夜には懇談会が開かれ、生産者の方々との会話から、お茶業界が抱えている問題なども伺うことができました。急須離れが激しい若い世代の人たちに伝統を継承していく難しさなど、さまざまな面について議論しました。この懇談会を通じて、生産者の方々は本当に地元を愛し、お茶という伝統を愛しているということが一番身にしみて分かりました。満面の笑みでお茶の話をされる姿を見て、日本の伝統を守ろうとする大人は最高にかっこいいなと思いました。
2日目は同じ茶葉からどのように紅茶、烏龍茶、緑茶が作られるのかを体験を通して学びました。茶葉の傷つけ方や発酵させる時間によって変化することをはじめは信じられなかったけれど、実際自分たちが作ることによって、楽しみながら学ぶことができました。
1泊2日という短い期間ではありましたが、菊川市の人々の暖かさと生産者の思いがギュッと詰まったお茶に包まれたツアーに参加して、以前よりお茶を身近に感じるようになりました。
(K.S.)