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変化の時代を導くリーダーシップとは 早稲田大学が育成するグローバルリーダーの姿

環境変化のスピードが増し、将来を見通すことが難しくなった現代社会において、リーダーシップは組織が成果をあげるために不可欠な力となっています。「リーダーシップ」と聞くと、組織のトップ層や管理職だけが発揮できる能力だと思われがちです。しかし実際には、役職や肩書に関わらず、あらゆるビジネスパーソンに求められる普遍的な能力です。
本記事では、現代社会で必要とされるリーダー像をひも解きながら、早稲田大学が掲げるグローバルリーダーのあり方をご紹介します。さらに、社会人が実践的にリーダーシップを学べる場として注目されるWASEDA NEOが展開する「早稲田リーダーシップカレッジ」についても紹介します。

 

Ⅰ. 多様化する社会で活躍するリーダーとは?

市場や技術、価値観が絶えず変化し、正解のない課題が増える今、かつてのように「指示を出し、組織をまとめること」だけがリーダーの役割ではありません。リーダーのあり方が変わりつつある中で、本章では現代社会で求められるリーダー像について解説します。

階層や権限に依存しない「誰もが発揮できるリーダーシップ」

リーダーシップには幅広い定義がありますが、もっとも本質的な捉え方として「成果を達成するために、他者へ良い影響を与えること」が挙げられます。かつて、その影響力の源泉は「権限」にあるとされ、リーダーシップは管理職や組織のトップだけが発揮するものと考えられていました。

しかし近年のリーダーシップ研究では、この見方が大きく変わりつつあります。リーダーシップは特別な資質を持つ人だけの能力ではなく、一人ひとりの態度やスキルによって鍛えることができる「行動特性」として捉えられるようになりました。つまり、訓練と経験を重ねることで誰しもが身につけられる能力なのです。

もちろん、経営者や管理職といった組織を率いる立場にある人にとって、リーダーシップが重要であることは言うまでもありません。しかし私たちは、役職に関係なく、日常的にさまざまな他者と関わりながら仕事を進めています。自分の意思を適切に伝え、相手の理解や合意を得ながら物事を前に動かす力は、どの立場にあっても求められます。そして、その中心にあるのがリーダーシップのスキルです。

「人々の努力を結集する力」が求められる時代に

現代社会は、市場環境や技術、価値観がめまぐるしく変化し、従来の成功モデルが通用しにくい時代に入りました。こうした環境の中で、リーダーシップが重視される理由には、主に次のような背景があります。

  1. 人材の多様化

    性別・国籍・価値観などが多様化する社会では、異なる背景を持つメンバーが協働する場面が増えています。それぞれの個性を生かし、チームとして力を発揮させるために、リーダーシップは今まで以上に欠かせません。

  2. 環境変化への適応力が必要に

    技術革新、国際情勢の変動、社会制度の変化などにより、企業を取り巻く環境は急速に変わっています。不確実性が高まる中で組織を前進させるには、変化を読み取り、柔軟に対応するリーダーの存在が不可欠です。

  3. コンプライアンスと倫理観の重視

    成熟した社会において、組織には倫理観や透明性が強く求められています。他者に模範を示し、健全な組織文化を育てる役割も、現代のリーダーに求められる重要な資質です。

このように環境変化の激しい時代こそ、人々の努力を結集させ、新たな価値を生み出すリーダーシップの重要性が増しています。リーダーに求められているのは、一人で前に進む力というよりも、周囲の力を引き出し、人々の努力を結集しながら前に進む力です。

議論を整理して前向きに進める、周囲の意見を引き出す、困難な状況で支援を求める——こうした行動も、組織が力を発揮するために必要なリーダーシップの一つです。役職や肩書の有無に関わらず、一人ひとりが必要な場面で主体的にリーダーシップを発揮できるようになること。それこそが、変化の時代に求められるリーダー像のあり方になっています。こうした背景から、現代のリーダーには、環境の変化を受け止めつつ周囲と協働し、新しい価値を生み出しながら前に進む力が求められているのです。

Ⅱ. 「WASEDA」の考える真のグローバルリーダー

早稲田大学が創立150周年(2032年)に向けて掲げる「WASEDA VISION150」では、卒業生が世界のリーダーとして、あるいは地域社会を支える市民として、世のため人のために活躍する姿が示されています。
予測困難な社会の中で、単なる知識やスキルの習得にとどまらず、多様な人々と協働しながら新しい価値や変化を創り出す力が求められています。本章では、こうした時代の要請を踏まえながら、早稲田大学が育成をめざすグローバルリーダー像を紹介します。

早稲田大学がめざすグローバルリーダー像

世界がグローバル化する中で、早稲田大学はグローバルリーダーの育成を重要な柱としています。「グローバルリーダー」とは、特定分野の専門性だけでなく、変化の激しい時代をしなやかに生き抜くための総合的な力を備えた人物のことです。

現代社会は技術革新や国際情勢の変動、多様な価値観の拡大など、かつてないスピードで変化しています。一つの正解が存在しない課題が増え、社会が直面する問題はますます複雑化しています。こうした状況では、従来のように「知識や専門性が高い人物」だけがリーダーの役割を果たすわけではありません。異なる立場や背景を持つ人々と協働し、自ら学び続け、変化の中で価値を生み出す力が求められています。
このような社会の要請を踏まえ、早稲田大学では次のような資質を備えた人材を“真のグローバルリーダー”として位置づけています。

  • 多様な価値観を受けとめ、相手を尊重できる、しなやかな感性
  • 直面したことのない問題に対して、仮説を立て、根拠を示しながら検証していく、たくましい知性
地域から世界まで、世のため人のために貢献する志

「しなやかな感性」と「たくましい知性」を土台に、早稲田大学が特に重視しているのが、“どこにいても、誰のために、何のために行動するのか”という志です。早稲田大学が掲げるグローバルリーダーとは、海外で活躍する人材だけではありません。地域の活性化やまちづくり、文化の発展など、身近な社会の中で価値を生み出す人もまた、グローバルな視点をもつリーダーです。

地球規模の視点を持ちながら、現場に寄り添い、課題を発見し、対話と協働を通じて解決に向けて行動する力。そこには、人間力、洞察力、コミュニケーション力、創造的構想力、問題発見力、批判的精神、異文化理解力など、多様な力が求められます。
こうした総合的な力を育むことこそが、早稲田大学がめざす“真のグローバルリーダー”の姿です。

これからのグローバルリーダーに求められる姿勢

変化の激しい世界で、リーダーに求められるのはただ“未来を待つ”ことではありません。
多様な価値観の中で共創し、問いを立てて動き、自ら価値を生み出せる人こそが、社会を創る人です。次章では、そんな挑戦を支える学びの場として、早稲田大学が展開する「早稲田リーダーシップカレッジ」を紹介します。

Ⅲ. リーダーシップはどのように身につけられる?

リーダーシップは、知識として理解するだけでは十分ではありません。他者と対話し、実践し、振り返り、再び挑戦する。そんな経験のサイクルの中で育っていく力です。
WASEDA NEOが運営する「早稲田リーダーシップカレッジ」は、こうした実践的な学びの循環を重視し、肩書きや業界を越えた多様な受講生同士が学び合うことで、リーダーシップの本質に触れられる場として設計されています。

早稲田リーダーシップカレッジとは

「早稲田リーダーシップカレッジ」は、どんな立場にいても発揮できる新しいリーダーシップを実践的に学ぶ履修証明プログラムです。リーダーシップは、役職や権限ではなく、個人の行動や他者との関係性から生まれるという考え方を基盤に、リーダーシップの核となる3つの要素を行動レベルで身につけることを重視しています。

その中核となるのが、以下の3要素です。

  1. 目標共有:チームの共通の目的・目標を明確にし、方向性を揃える
  2. 率先垂範:自ら行動し、その姿勢で周囲に良い影響を与える
  3. 相互支援:活躍が難しい状況にあるメンバーを支援するとともに、自らも必要な支援を求める

本プログラムでは、組織やチームの全員が自分らしく貢献し、互いに影響を与えながら成果を生み出すためのリーダーシップとは何かを、理論と実践の両面から深く学びます。

受講者には、企業や教育現場など多様なフィールドで直面する課題に対し、リーダーシップを発揮しながら課題解決の実践者として活躍できる能力の習得が期待されています。また、自らが行動で示すことで、周囲のリーダーシップを引き出し、育てていける人材へと成長していくことも、本プログラムの大きな特徴です。

多様な仲間と学び合うソーシャルラーニングの環境

「早稲田リーダーシップカレッジ」の大きな特徴は、少人数(最大15名)のワークショップ形式で授業を進める点にあります。オンライン形式であっても、クラス全体でのディスカッションや少人数のブレイクアウトセッションが頻繁に行われ、教員から学ぶだけでなく、受講生同士が互いに学び合うソーシャルな学びを重視しています。

ここには、職場でチームを率いる管理職層から、これから初めて部下を持つ若手世代まで、さまざまな背景の受講生が集まります。「権限で指示しても部下が動かない」という葛藤を抱える管理職や、「自分は権限を振りかざす上司になりたくない」と考えるミレニアル/Z世代など、多様な問題意識を持つ人々が同じテーマを語り合います。こうした背景の異なる受講生が一堂に会し、同じテーマについて語り合うことで、互いの価値観や課題認識に触れ、気づきが広がっていきます。

立場も年代も異なるメンバー同士が対話する環境だからこそ、「自分にとってのリーダーシップとは何か」を深く問い直し、日常の仕事に活かせる行動へとつながる実感が得られます。異なる視点に触れることで、自分自身のリーダーシップが自然と見つかります。

少人数(最大15名)のワークショップ形式にて授業は進行

権限によらないリーダーシップを社内で実践

早稲田リーダーシップカレッジでの学びは、講義を聞いて終わるものではありません。
本プログラムでは、学んだ理論を自分の現場で使える力へと落とし込むため、実践を重視したカリキュラムが組まれています。その象徴となるのが、受講期間の集大成として取り組む「最終課題」です。

ここでは、受講者が所属する企業や学校など、自分の職場を舞台にしたリーダーシップ研修の企画・設計を行います。テーマは、権限によらないリーダーシップを社内にどのように広げていくか。受講者は、講座で得た知識・スキル・気づきをもとに、現場の課題に向き合いながら、実際に使える研修案へと落とし込んでいきます。
学びを自分ごと化し、行動へ移すプロセスを経験することで、受講者は単なるリーダーシップの知識保持者ではなく、周囲のリーダーシップを育てることのできる実践者へと成長していきます。

さらに、受講生同士のネットワークは、修了後も続く大きな財産となります。学びの場を共有した仲間とのつながりは、新しい挑戦を後押しする支えとなり、自分自身の変化を長期的に支えてくれる存在となるでしょう。

学んだことを組織で実践していくことを目指す

まとめ

変化のスピードが加速し、正解のない課題が増える今、リーダーシップは特定の人だけが発揮する特別な能力ではありません。立場や役割に関わらず、誰もが状況に応じて力を発揮し、周囲を動かしていくことが求められています。その学びを実践的に深められる場として、早稲田リーダーシップカレッジが開講されています。

権限に頼らず、周囲と協働しながら物事を前に進めていく力。それこそが、「早稲田リーダーシップカレッジ」を通じて体得できるこれからの時代のリーダーシップです。

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