年子のきょうだいということもあり、物心ついたときからいつも近くにいたのは彼でした。カミングアウトされたのは2年前の3月、私が高校を卒業した頃でした。どういう言葉で言われたのかもう覚えていません。そのくらい当たり前のことを言われた気でした。ただ「知ってたよ」と返したことは覚えています。彼がトランスジェンダーであることは、以前から知っていました。初めて知ったのは、私が高校 2 年生の秋でした。家族の会話から知ってしまったので、すごく仲が良かったのに何も言ってくれなかったこと、今までお姉ちゃんと呼び続けていたことなどがあり、自分が彼に対してどういう態度で接すればいいか分からなくなってしまいました。本当のことを本人に確かめることもできず、もやもやしたままでした。しかし、日が経つにつれて気づいたことは、彼のセクシュアリティがなんであろうと、私のきょうだいであることは変わらないということです。それからはセクシュアリティのことを知る前と同じように接することができました。
彼は大学生になってから大きく変わったと思います。髪の毛を結んで、ミニスカートの同じ制服を着て一緒に高校へ通っていた頃の彼を私はもう思い出せません。それはなんだか少し寂しいような気もします。でもあのときの時間や思い出がなくなってしまったわけではありません。彼が世間から女の子だと思われて生きてきた約 18 年間は、彼が男性として生きていこうとしている今も、かけがえのない時間として私の、そしてきっと彼の記憶にも残っています。
私は今、小学校の教師を目指しています。子どもたちのありのままを尊重できる教師になることが目標です。この目標に至るには彼の影響があります。学校や社会で生きづらさを感じる子どもたちが少しでも減るように、また自分のありのままを探す手伝いができるような教師になりたいと思っています。いつもは恥ずかしくて言えませんが、家族思いで努力家な彼が私は大好きです。これから生きていく中でまだまだ大変なことは多いと思います。でも私はいつでも彼の味方でいようと思います。この先もずっと仲良しなきょうだいでいたいです。
早稲田大学公認サークル所属他大生 しょうこ