彼がトランスジェンダーであることを私たちに話してくれたのは、大学1年の春休みのこと。自分のこんなに身近なところにLGBTの人がいたんだ、って正直驚いた。最近話題で知識としては知っていたけど、どこか他人事だとも思っていたから。
彼はその年から学生証の名前も変え、これからは男性として生きていきたいとの決意も話してくれた。芯が強く、明るい子だから普段は悩みなど感じさせないけれど、やはり親や友人、周りの人からの理解を得られるか、彼のなかで葛藤があったのではないかなぁと思う。
私にも、人にはなかなか話しにくい悩みがある。
今まで誰かに話そうと思ったことがなかったわけではないけれど、それを聞いた人との関係が変わってしまうことを一番に恐れてなかなか踏み出せなかった。それは付き合いが長くて、仲の良い友人ほど勇気のいること。
でも、彼が先にその壁を越えてきてくれて、いつも「早苗ちゃんだから話すけど、」といろんな話をしてくれる。私にとって何より大きかったのは、性別が男性であろうと女性であろうと関係なく私にはやっぱり大切な友人で、これからの関係は何も変わらないと感じられたことだった。そんな彼になら私も自分のことを話せるし、誰よりも信頼できる。今度は私の話も少し聞いてもらおうかな!(笑)
彼は今、ありのままの姿で活動していてとても輝いてる。それがどれだけの人の励ましになっていることか。今の世の中でそういう生き方をするのってすっごく難しいことだと思う。でもそんな彼のおかげで、私も自分の思う道をまっすぐに進んでいけばいいんだって思えた。
文化構想学部3年 早苗