スチューデント・ダイバーシティ・センター長
秋葉丈志
photo by ICC
「しょう、しょう、しょうじょうじ、しょうじょうじのにわは~」(日本の童謡)
“Sarasponda, sarasponda, sarasponda ret set set…”(オランダ民謡とされる)
“O beautiful for spacious skies, For amber waves of grain…”(アメリカ唱歌)
あれから40年近く経っても忘れない世界の歌。
私は小学校時代をアメリカで過ごしました。現地校で唯一の日本人家族。そうした中で、学校のコーラス部が全校発表会で世界中の歌を歌う、という年がありました。
日本の歌としてなぜか先生が選んできたのが冒頭の「証城寺のたぬきばやし」(リズム感がよく楽しくすぐ覚えられるからでしょうか)。
私はその歌のコーチングをするように練習の時に言われました。
歌詞の書かれたボードを指さしながらみんなに日本語の歌を教えた場面はそこだけが切り取られたようにいまも印象に残っています。
発表会の時に、先生が舞台上の私の名前を呼んで、居並ぶ親たちに「タケシがこの歌を教えてくれた」と紹介。とっさに会場に向けて手を振ったら歓声が上がった場面も、ずっと忘れません。
日本の歌をみんなに教える。世界の歌をみんなから教わる。その歌は40年経った今でも口ずさめる。あの時一緒にいた何人かは「つ、つ、つきよだ、みんなでて こいこいこい」とこの瞬間にも歌っているかもしれません。たとえ日本に来たことがなくて、私のことを忘れていたとしても。
私の「異文化交流」の原点です。
同じように世界中から様々なバックグラウンドを持つ学生が集うワセダ。それに意味づけを与えて、みんなの人生に何かを残すものにできるかは、あの時のコーラスの企画がそうだったように、そういう「場」を創り出せるかどうかにかかっています。
ICC(異文化交流センター)は、そういう場と舞台を皆に提供することで、ワセダのダイバーシティを最大限に生かしたいと考えています。そして一生記憶に残る「何か」を皆が授かれる場でありたいと思います。
たくさんの方が、世界を知るために集ってくれることを願っています。