Waseda University Intercultural Communication Center (ICC)早稲田大学 ICC(異文化交流センター)

その他

私の居場所ICC ICC学生スタッフ卒業レポート

Yuni
政治経済学部
ICC学生スタッフリーダ
2021年11月~2024年1月在籍

SSLになった背景 

韓国で生まれ、19年間ソウルで育った私は、進学のために頑張って勉強し、2020年早稲田大学に入学しました。高校3年生の時の私の口癖は、「来年絶対日本で新しい友達をたくさん作って、一緒に東京オリンピックの野球を見に行く!」でした。しかし、入学と同時に新型コロナウイルス感染症が世界的に広がり、私の夢は挫折してしまいました。すべての授業はオンラインになり、キャンパスにも行けず、学生証もないまま韓国でオンライン授業を受ける生活になりました。そうして約1年過ごし、2021年1月ついに日本に入国しました。 

やっと来日したのに、実際の日本留学生活はそれほどうまくいきませんでした。授業は全面オンラインで大学に行く機会もあまりなく、出会う人もほぼ韓国人の友達2~3人程度でした。早稲田の他の留学生どころか、日本人の友達もできませんでした。わざわざ日本まで来たのに、留学生の多い早稲田でたくさんの人々に出会いたかったのに、このままだといけないと思いました。そんな時に出会ったのがこの「ICC」です。当時は知る由もなかったのですが、これが私の大学生活の大きなターニングポイントになりました。 

「内」の人として受け入れられる経験 

ICCでは、多様なバックグラウンドを持っている学生が集まり、日本語や英語で自由にコミュニケーションをしていました。みなさん私を温かく歓迎してくれて、同じ仲間として見守ってくれました。私はその学生たちと一緒に働き、「異文化交流」という同じ目標を学内で実現するために、様々なイベントを企画してきました。 

ICCに入るまでは、あくまでも「外部の人」として見なされていると感じたことが多くありました同じ友達、仲間、大学生というより、「韓国人の友達」「留学生の友達」と見なされる(呼ばれる?)ことが多いと感じていました。日本で出会ったほとんどの人々が本当に優しかったのですが、いつも見えない壁があるみたいでした。 

しかし、ICCのみんなはそのような私を「外」の人ではなく「内」の人として、同じ人として受け入れてくれました。もう「ある韓国人の子」ではなく、1人の個人として尊重されているように感じました。このような一連の経験を経て、私はこのコミュニティをより愛することになり、愛着を持ってより頑張って働けるようになりました。 

ICCで私が企画したイベント 

私が個人企画として開催したイベントを少し紹介したいと思います。 

(1)初企画!ICC初100%出席率!ICC K-POP TALK NIGHT(2022年7月6日) 

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  • 企画背景:なぜK-POPは世界的に有名なんだろう? 

私は生まれも育ちも韓国で、幼少期よりK-POPの大ファン、いわゆるオタクでした。K-POPと一緒に育ったと言っても過言ではありません。その後、日本に来て、K-POPの世界的人気と浸透具合を自覚することになりました。私が想像していた以上に多くの人が K-POP を楽しんでいる姿を見て驚きました。韓国人の私にはあくまでも自国の文化であり、環境的に自然とK-POPに接することができましたが、他の国の人にとっては異文化のK-POPが、どのように世界中に広まったのか気になりました。どのようにK-POPが世界中で熱狂させるコンテンツになったのか?K-POPの魅力は何なのか?このような問いへの回答を得るために、日本でK-POPの第一線で活躍される古家正亨氏をゲストとしてお呼びし、本イベントを企画することになりました。 

  • イベント当日 

1.K-POPに関するトークセッション

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韓国大衆文化ジャーナリストで、日本で多数のK-POPアイドルイベントのMCとしてもご活躍されている古家氏にK-POPに関するご講演をしていただきました。K-POPの登場から発展、普及に至るまでのプロセスや、その文化的な背景とマーケティング戦略についても学ぶことができました。また、事前に参加者からいただいた古家氏への質問に回答してもらう時間も設けました。K-POPに関する質問はもちろん、古家氏に関する質問など、興味深い質問がたくさん出ました。 

2.交流タイム 

トークセッションが終わってからは、グループ交流タイム! 

K-POPに興味を持っている人同士で、好きなアイドルの曲の紹介や韓国文化に興味を持ったきっかけ、自分が思うK-POPの魅力など、様々なことに関して話し合う時間を設けました。古家氏も各グループを巡回しながら、参加者とより近い距離で交流することができました。イベント後は、古家様ともっと交流したい人がたくさん残って行列ができました。 

  • イベントを終えて 

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当時はコロナの影響で対面イベントの補助経験もあまりなく、他の業務にもまだ慣れていない状況だったので、SSLになったばかりの私が「イベント」というものをゼロから作り上げることができるのかという疑問と不安がたくさんありました。振り返ってみると、最も混乱していた時期だったと思います。テーマをどう絞るか、ゲストは誰にするか、依頼はどうするのか、広報文とポスターの作成や当日の準備はどうするのか、すべてのプロセスがはじめてで、1つの壁を乗り越えると次の壁が私を待っていという感じでなかなか前に進むことが大変でした。しかし、先輩にたくさん質問し、心強い職員のみなさまに頼りながら、どんどんイベントのイメージを膨らませることができました。本格的に取り組む前は何も分からなく心配だらけで、他の人と比べてスタートもすごく遅くなりましたが、実際にやってみたら意外とそこまで心配する必要もないと感じました。イベント一週間前に会場が急に変わるなど、色々ありましたが、スタッフの手厚いサポートのおかげで無事に開催することができました。 

本イベントは広報を開始してから3日間で定員に達し、定員の3倍以上の申込があるほど、本当に大人気のイベントでした。当日はなんと欠席者0名で、それはICC 史上初のことで、K-POPの人気を改めて実感することになりました。初企画でしたが、本当に短期間でたくさん成長できた機会になりました。自分が頭の中で描いていたことが実現できるというイベント企画の楽しみとやりがいを感じて、「また企画やりたい!」と思うようになりました。 

(2)ICCかるた体験ナイト(2022年12月16日) 

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  • 企画背景:京都旅行での偶然な出会い 

外国人留学生の皆さん、日本のカードゲーム「かるた」をご存知ですか? 

韓国人の私が日本文化のかるたイベントを企画することになったきっかけは本当に偶然な出会いからでした。京都旅行に行った際、たまたま友達の好きなアニメ「ちはやふる」の聖地が京都の近くにあることを知り、そこを訪ねることにしました。私は「かるた」という単語も初めて聞いたし、ルールも知らなかったのですが、訪ねる前に予習として「ちはやふる」の映画を観て、自然とかるたに興味を持つようになりました。ワクワクする気持ちで近江神宮に行き、「映画で見た神社が私の目の前にある!」と感動しました。その後、急に雨が降り始め近くの建物に身を寄せましたが、その建物はかるたで溢れた空間でした。1階はかるたの展示会、2階は競技かるたの会場でした。そこでたまたまある中学校のかるた部が競技かるたをされてており、幸運にも拝見することが出来ましたが、映画で観た様子が目の前に広がっていて、とても感動的でした。この旅の偶然の出会いから、私はかるたの魅力に完全に魅了されました。この魅力をぜひ早稲田大学の他の学生にも知ってもらいと思い、本イベントを企画することになりました。 

  • イベント当日 

1.かるたに関する説明

まず、今回のイベントでご協力いただいた日本生活・語学支援機構(エルジェの担当者様にかるたに関する簡単な説明をしていただきました。かるたという名前の由来から、歴史、多様なかるたの種類に関して学びました。 

2.「にほんかるた」体験

次は、日本生活・語学支援機構(エルジェ)様のオリジナルかるたの「にほんかるた」をみんなで体験しました!他の人に読み札を読んでもらい、かわいい絵札を誰よりも早くゲットできるように皆さん楽しみながらも必死でした。 

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3.かるたワークショップ 

そして自分のオリジナルかるたを作ってみる「かるたワークショップ」も実施しました かるたの基本ルールに合わせて、日本での思い出、早稲田大学関連、好きなこと、冬休みにやりたいことなど様々なテーマに関して読み札を作成し、その内容に似あう絵札も作りました。 グループNO.1かるたをグループ内で決めてもらって、みんなに紹介していただきました。 

発表者にはかわいいICCベアをプレゼント! 

最後に、自分で作ったかるたを持ってみんなと集合写真を撮りました。 

  • イベントを終えて 

本イベントを企画するにあたって最も工夫したことは「かるたを本イベントで初めて知った方にもかるたを十分楽しんでもらいたい」ということでした。私が旅行中に出会ったかるたは「競技かるた」で、ルールも難しく、百人一首を全部覚えないといけないので、外国人はもちろん、日本人学生にとっても難しいかるたかと思います。そのハードルを下げて誰でも楽しく体験してもらうために、ひらがなさえ分かれば体験できる「いろはかるた」を想定しました。最も苦労したことは協力先探しで、予想以上時間がかかってしまい、断られることも多く無事に開催できるか心配でした。しかし、諦めずに様々なところに依頼した結果、日本生活・語学支援機構(エルジェ)というNPO団体から協力をいただくことになりました。そこから早速準備段階に入り、広報をはじめ、参加者を募集しました。当日は35名ほどの学生が参加してくれました。国籍・日本語力に関係なくみんながかるたを楽しんでいる様子を見て、大変嬉しかったです。 

(3)ラスト企画! ICC韓国伝統衣装「ハンボク体験イベント(2023年12月13日)

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  • 企画背景:「チマチョゴリ」って何? 

韓国人の私は3年前に来て、初めてできた日本の友達にハンボクデザインのしおりをプレゼントしたことがあります。その時、皆から「これチマチョゴリ?かわいいね。ありがとう」って言われました。日本の方にも、ショックかもしれませんが、その時が初めて「チマチョゴリ」という単語を聞いた瞬間です。それから3年間の日本での生活を経て、なぜか日本では「ハンボク」が「チマチョゴリ」と呼ばれていることに気づきました。韓国伝統衣装葉の正式名称は「ハンボク(한복)」で、「チマチョゴリ」は「チマ」はスカート、「チョゴリ」はハンボクの上衣のことを指します。昔は女性のハンボクをチマチョゴリという名称で、男性のパジチョゴリと区分して呼んだことがあるそうですが、今はあまり使わない名称です。また、女性のハンボクのみを示す言葉であるため、韓国の伝統衣装自体を称する言葉としては適切ではありません。 

したがって、私は「ハンボク」という正式名称を知ってもらい、ハンボクに関する講演で理解を深め、試着してみることで綺麗で簡単に着れるハンボクの美しさを知ってもらいたいと思い、本イベントを企画しました。 

  • イベント当日 

1.ハンボクに関する講演 

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一般社団法人韓服普及協会の代表理事でハンボクデザイナーの李香順先生にハンボクに関する講演をして頂きました。チマとパジだけでなく、下着、履き物、被り物、飾り物の用語と用途に関しても紹介してくださいました。ハンボクに含まれた昔の韓国人の考え方や思想も学ぶことができました。 

2.ハンボクの着付け 

次は、お楽しみの着付けタイム! 

李先生の指導に合わせて、ハンボクを試着しました。今回ハンボクは東京韓国教育院から無償でお借りし、髪飾りの「テンギ」と「ベシテンギ」と被り物の「ガッ」も一緒に体験することができました。 

3.韓国伝統遊び「タクジ」の体験・自由写真撮影

着付けが終わってからは、自由タイムに入りました。写真撮影をしたい人は会場内の韓国風フォトブースで自由に写真を撮ったり、韓国伝統遊びの「タクジ」体験ブースでタクジを作ってゲームを行いすごく盛り上がりました!最後には、みんなと集合写真を撮り、韓国伝統お菓子の「ヤッカ」とハンボクデザインのしおりを一緒にプレゼントしました。しおりは自分からのプレゼントでしたが、参加者にとって本イベントが良い思い出としてより長く記憶してもらいたいという気持ちを込めました。 

  • イベントを終えて 

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個人的にICCで企画する最後のイベントであったため、卒業する前に絶対開催したかったハンボクイベントを企画することができました。最初は40名分のハンボクの貸し出しができる協力先を探せるのか不安でしたが、ゲストさんの紹介で協力先を見つけて、参加者に素敵なデザインのハンボクと髪飾りを試着してもらうことができました。当日は欠席者も少なく、40名ほどの多様なバックグラウンドの学生が参加してくれました。参加者それぞれ最初に参加したきっかけと理由は違うと思いますが、本イベントを通して皆さんに「ハンボク」という正式名称だけは伝えることができたのではないかと思います。いつも参加者の満足度を優先して様々な企画をしていますが、参加者全員が楽しく参加している様子であったので、とても幸せでした。最後に、ご協力いただいた一般社団法人韓服普及協会、東京韓国教育院、駐日韓国文化院の皆様と参加してくださった皆様、サポートしてくださったSSLと森原さんに感謝の気持ちを申し上げます。 

最後に 

振り返ると、私がSSLになったのは、本当に天運だったと思います。 

4年間の大学生活の中で2年以上の期間をともにしたICCは、私の大学生活のすべてと言っても過言ではありません。大好きな友達も、尊敬できる先輩も、かわいい後輩、頼れる職員さんも全部ICCで出会いました。ICCには本当に優秀で素敵な人ばかりで、その人たちと一緒に働けてとても光栄でした。いつも大事なのは「ヒト」であると信じている私に、大切な仲間たちがたくさんできました。 

人に恵まれた環境で、たくさんのことを学びましたし、良い刺激を受け、一層成長することができました。金でも買えない経験を積みましたし、金でも買えない思い出を作りました。言葉で表現できないほど大変お世話になりました。私の2年間を支えてくださってありがとうございました。 

ICCで過ごした2年間の記憶は、私の人生の大事な1ページになると思います。きっとこの瞬間が懐かしくなる時が来るでしょうね。もうすでに寂しいです大好きなたちとおれすることは大変悲しいですが、韓国歌詞の中で안녕은 영원한 헤어짐은 아니겠지요. 다시 만나기 위한 약속일거야. 」という歌詞があります。「アンニョンは永遠のお別れではないでしょう。またあうための約束でしょう。」という意味です。韓国では会う時も、別れる時も「アンニョン」という挨拶をします。今回はバイバイの「アンニョン」ですが、今後また出会ってアンニョンできる日を楽しみにしています。では、皆さんアンニョン!  

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