• 組織概要

About the Center

組織概要

子どものウェルビーイングとは、身体的・心理的・社会的側面を含む多面的な概念であり、子どもが今をよりよく生きることと、その可能性を育みながら成長していくことの双方に関わります。その実現には、子どもの権利が保障されることに加え、子どもを取り巻く人々との関係、生活環境、教育・医療・福祉などの制度や社会的条件が重要です。1989年に国連で採択された「子どもの権利条約」では、差別の禁止、子どもの最善の利益、生命・生存・発達に対する権利、子どもの意見の尊重が、基本的な原則として位置づけられています。子どもが年齢や発達段階、それぞれの特性に応じた形で意思を表明し、自らに関わる事柄に参加できるよう、大人や社会が適切な支援と環境を整えることが必要です。また、社会全体が子どもを未熟な存在としてではなく、権利を主体的に行使しながら成長する市民として位置づけることが求められます。

こうした考え方を踏まえ、本研究拠点では、子どもと社会が互いに影響を与えながら変化していく関係を「子どもと社会の共発達」という視点からとらえます。これは、社会が一方的に子どもを支援するという従来の構図を超え、子どもへの理解と子どもの意見表明や社会参画を通じて、社会の制度や価値観そのものも変容し、子どもと社会が相互によりよい在り方を形づくっていく関係を意味します。この共発達の視点に立つことにより、子どものウェルビーイングは個人にとどまらず、社会システム全体の在り方と密接に関連する課題として捉え直されます。

その実現に向けて、本研究拠点は、子どものウェルビーイングを構成する要素と、それを支え、あるいは阻害する要因を多層的に解明するとともに、子どもの多様な経験やニーズに応じた支援、社会における理解の促進、子どもの社会参加を支える環境や制度のあり方を探究します。この理念を社会実証研究として具体化するため、(1)モデル構築、(2)社会実装、(3)持続可能性の三段階を設定し、研究を推進していきます。最終的には、学術研究としての成果創出にとどまらず、行政・地域・学校・家庭など複数の社会領域における実践や制度の変革を通じて、子どものウェルビーイングに資する総合的な社会インパクトの創出を目標とします。

拠点責任者 早稲田大学人間科学学術院・教授 笹月桃子

拠点責任者メッセージ

今日、子どもの自死をはじめ、ウェルビーイングを脅かす課題が深刻化しています。私たちは、子どもたち自身が発信できるよう支えつつ、見過ごされがちな小さな声や、声なき声にも耳と心を傾けます。同時に、それらの声をただ待つのではなく、子どもたちの存在と経験をそのまま受けとめ、社会の側のあり方を問い直し、変えていく。その責任を引き受けながら、一人ひとりの可能性がひらかれる社会を目指します。