あなたの「本当の」志望動機は何ですか?
-リーディングミュージカルを通して自己理解を深める-
イベントの様子
3月6日(木)、7号館でSCV(※)プレゼンツ企画「『本当の自分の気持ち』って何? ~殻を破った先に見えてくるもの~」を実施しました。
本イベントは、リーディングミュージカルで役を演じることを通して、自己理解や他者理解を深め、今後の自己分析やキャリア形成に役立てることを目的として行いました。
使用したプログラムは元々、東京理科大学の井藤元教授が、劇団四季出身の俳優・高城信江さんとともに、教員志望の学生を対象として、教科内容を魅力的に伝えられる教師を育成するために開発したものです。
リーディングミュージカルの台本は、教員採用試験で受験生が、最初のうちは用意してきた通り一遍の志望理由を読み上げますが、面接官からの「心の痛み」や「喜び」を聞かせて欲しいという要求に応えていく中で、困惑しつつも自分の本当の気持ちや自分らしさに気付いていくというストーリーです。こちらは、劇団四季の永遠のミュージカル『コーラスライン』に着想を得ているそうです。
本イベントに向けて井藤先生には、元々の台本から就職活動の面接場面にアレンジしたものを、業界別に3バージョン作成していただきました。
そして参加者は、自身の志望業界の台本を使用し、面接官と就活生のやり取りを劇中歌(エリーゼのために)も含めて演じました。
当日は、プログラム開発者である井藤先生と高城信江さんを講師としてお招きしました。さらに、井藤先生の授業を受けたことがある7名の理科大生も駆けつけてくださいました!
(※)SCVとは…Student Career Volunteerの略。早稲田大学キャリアセンター公認の学生ボランティア団体で、早大生のキャリアに貢献する目的のもと、学生視点でのイベントの企画・実施やインタビュー記事等での情報発信を行っています。

講師の井藤先生、高城先生(画面中央)、理科大生の皆様とSCVスタッフ
当日の流れ
<第一部>
本講義のねらい
高城先生のミニライブ
歌のレッスン
理科大生のお手本&解説
レクチャー「演技とは何か」
台本分析(グループディスカッション)
<休憩>
ランチミーティング
<第二部>
稽古&発表
振り返り
参加者からは、午前中はどこか緊張した様子も見られましたが、ランチミーティングをしたことで一気に距離が縮まり、イベントが終わる頃には理科大生も含めてとても仲良くなることができました。
また、午後に実際にリーディングミュージカルを演じ、参加者は言葉に感情を乗せることの難しさを実感したり、高城先生の「なんで?なんで?」という質問に答えていく中で役への理解を深めたりしていました。

第二部 稽古&発表の一コマ。高城先生からアドバイスをいただきながら、進めていきました。

第二部 全体の振り返りの時間。井藤先生から台本の種明かしをしていただきました。
参加者の声
今回のイベントでは、最後に参加者全員が感想を述べる振り返りの時間がありました。皆様の声を一部紹介させていただきます!
・自分の言葉で紡ぐことの重要性を知った。
・短所だと思っていた部分を長所として捉えられるようになった。
・自分の新たな側面を発見することができた。
・自分が就活をする際には、今回やったように自分を就活生役と見立てて、役作りをしていけば、就活が楽しくなりそうだと思った。
・面接官の役をやった際、就活生役の話す、まとめられた「かっこいい」志望動機は流れて聞こえた。自分の身を持って、志望動機について考え直すきっかけになった。
・実際の面接に活かせそうだと思った。後半の、就活生役が自分の本当の思いを吐露していく場面は、面接官役として聞いていて楽しかった。自分の心の奥の思いを込めた言葉を話せる就活生になりたいと思った。
他にも、ここには書ききれないほど、たくさんの感想を述べてくださいました。
振り返りの時間は、一人一人にとって、どのように感じたか、活かしていきたいと思ったか、といったことを直接聞くことができた機会であったと思います。最後の最後まで、熱量が詰まった、密度の濃い時間でした!
ミュージカルとキャリアや就活といった言葉はどこか関連のない言葉のようにも見えますが、自分自身を見つめるという点や、相手に伝わる話し方をするという点では共通点があるようにも感じ、私たちSCVがイベントとして立ち上げることになりました。
当日はその共通点を見出してくれた学生も多く、終わった後にはイベントとして実施して良かったと思えた瞬間がたくさんありました。
イベントを終えて
台本にあるセリフという限られた言葉の中で、自分が感じたことを言葉に反映していく過程そのものが、自分と向き合うことであると感じました。自分で言葉を選ぶことができない中で相手に気持ちを伝えるためには、今までの経験で得た感情から「こんな時私はどう思ったかな?どう感じたかな?」と、頭だけでは考えられない、素直な自分の心の声に敏感になる必要があると気づきました。「本当の自分の気持ち」に耳を傾けることを体感するきっかけになったと思っています。
SCVスタッフとしても、今回はミュージカル×就活という、普段でなかなか見ることのできない組み合わせの企画であり、特に広報では「ミュージカルの要素を就活に活かしていく」ことを明確に伝える文章を考えることが難しかったです。参加してくださった学生の皆様の声を伺うと、今回のテーマをそれぞれが自分に必要な部分に落とし込んでくださっていたことが伝わり、とても嬉しかったと同時に、このような企画に関わることができたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
文化構想学部 3年 山森南花
高城先生が、役を理解する過程で「なんで?なんで?」と深堀りしていらっしゃった場面がとても印象に残っています。最初その「なんで?」の質問には答えがあると思って先生と学生のやり取りを聞いていましたが、途中から、この質問には答えがないのだと気が付きました。そしてきっと、自己分析を進める中でも「自分はこうでなければならない」といった“正解“はないのだと思い、ありのままの自分を表現する自信が生まれました。また、私はイベントの運営側としてある程度段取りを知っている状態で臨みましたが、途中から思いもよらない方向にイベントが展開していき、終わった後は頭の中で考えていたことと実際の体感が異なるという不思議な感覚も味わいました。理科大生の皆さんとの素敵な出会いもあり、かけがえのない時間を過ごすことができました。
文学部 4年 村上愛佳
(学年は2025年3月時点)
井藤先生、高城先生、理科大生の皆様、そして参加してくださった学生の皆様、
本当にありがとうございました!