最後まで諦めずに自分らしさを表現し、憧れの金融業界へ就職
野村證券株式会社
陳 新一(Chen Xinyi)さん 2013年経済学研究科修了
先輩からのメッセージ(1分動画)
勉強もプライベートも充実していた早稲田での思い出
中国の大学で日本語を専攻しており、交換留学制度で初めて日本を訪れました。2年間を日本の大学で過ごした後、せっかくならもっと日本の文化について知りたいと思い、中国でも知名度のある早稲田大学の大学院への進学を決意。入学した経済学研究科では、政治的な要因を視野に入れた訪日観光客の実証分析を行うなど、経済学について学びを深めました。ゼミ合宿を通して留学生同士で交流したり、ゼミで仲良くなった日本人の学部生とスキーに出かけたりとプライベートも充実していて、楽しい学生生活を送っていました。
同じゼミに所属する仲間たちと行った、スキー旅行での一枚。
焦って始めた就職活動、自己アピールに苦戦
就職活動を本格的に始めたのは、修士1年目の秋でした。周りには就職活動に対する意識が高い人も多く、夏のインターンに参加した話を聞いてとても焦ったのを覚えています。正直なところ、大学院に入学したばかりなのに、もう動き出さなければいけないのか……という気持ちもありました。専攻が経済学ということもあり、数字を扱う仕事が向いていると考え、まずは金融やコンサル、商社などの会社説明会に足を運ぶことから始めました。ただ、業界を強く意識するというよりは、留学生の受け入れに対してどれくらいフレンドリーであるか、という部分を重視して、留学生の就職支援団体に登録したり、「TOP CAREER JAPAN」という留学生向け就活イベントに参加したりして、情報収集を行なっていました。
イベントで知った企業の選考に参加していたものの、自分の中で「うまくいかなかったら中国に戻ればいい」という甘えもあり、なかなか内定を得ることができないまま、修士2年になってしまいました。その後、面接の練習などでお世話になっていた支援団体の方から野村信託銀行をご紹介いただき、選考に参加して、無事内定をもらうことができました。当時は大手町の金融機関で働けるというだけで素直に嬉しかったですが、今思えば、面接の中で感じた社員の方の堅実な雰囲気を非常に魅力的に感じていたことが入社を決めた理由だったと思います。この印象は実際に働き始めてからも変わることはありませんでした。また、挑戦を応援してくれる風土やバイタリティを求められる環境は、早稲田大学と似ているな、と感じることも多くあります。
就職活動の中で苦労したのは、エピソードトーク、今でいう「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」でしょうか。短い時間で自分をアピールできる話を用意するのはとても難しかったです。大学スポーツで全国大会に出場していたり、世界各地のボランティア活動に参加していたりする周りの学生に比べ、自分は平凡で特筆すべきことがない、と自信を失ったこともありました。ただ、そこで諦めずに、伝え方を工夫してみようと努力しました。例えば、自分の好きな経済評論家のPodcastを聞きながらシャドーイングを行い、語彙や説得力のある話の運び方などを学習しました。当時の私は、学生生活やコンビニ・郵便局などのアルバイトを通してある程度日本語を話せるようにはなっていましたが、ビジネスで通用する日本語とはほど遠かったように思います。企業も学生に対してそこまでの日本語能力は求めていなかったと思いますが、自分を魅力的な人材に見せるための表現や語彙などは学ぶ価値がありました。ドラマやアニメで日本語を覚えている学生の方も多いと思いますが、より洗練された日本語を習得するために、自分の志望する業界のプロフェッショナルの日本語を聞いて真似してみるのもおすすめです。
ジョブローテーションを活用し、変化に富んだ社会人生活を送る
野村信託銀行に就職して2年半ほどは、決済部でオペレーション業務などに従事しました。その後海外のグループ会社への異動募集へ手を挙げて、ヨーロッパへの赴任が決まりました。そこではクライアントサポートや投資信託の企画など幅広い業務を経験。日本に戻って富裕層向けの融資ビジネスやデジタルマーケティングなどに携わってから、現在は野村證券に出向し、非対面ビジネスの拡大に取り組んでいます。2~3年ごとに部署異動を行いさまざまな業務にチャレンジしてきました。希望すれば色々な経験をさせてもらえるのが、この会社の魅力の一つ。もちろん大変なことも多いですが、日々学ぶことがあるのはとてもありがたいです。
今の仕事で楽しいのは、自分の得意なデータ分析を活かして、お客様のビジネスをサポートできること。また、デジタルマーケティングは今急速な進化を続けている分野でもあり、ちょっとしたボタンの位置や操作説明の表現など、些細なUIの変化で行動や結果に大きな違いが生まれるのが楽しいですね。
ルクセンブルクに出向していた際は、ヨーロッパの各地を旅行したという陳さん。
まずはスタートを切ることが大切
自分らしさを伝えられるよう練習を重ねて
就活は、とにかくスタートすることが大事です。中途半端でも、まずは始めたもの勝ちです。ただ、実際に動き始めたら、本気で取り組んでほしいです。私は中国に戻ればいい、という気持ちが捨てきれず、周りが次々と内定をもらっている中、焦ることになりました。
皆さんに具体的なアドバイスをするとすれば、自分らしさをわかりやすく紹介できるエピソードを一つ二つ用意しておくといいと思います。面接は練習を重ねればうまくなっていくので、自信がつくまで何度もチャレンジしてほしいです。大学のキャリアセンターや、就職支援団体等に相談して、練習に付き合ってもらうのもおすすめです。
私も自慢できるような就職活動ができたとはとても言えませんが、今では楽しく働いています。うまくいかないと感じる日が続いても、最後まで諦めずに頑張って欲しいと思います。