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ジョブ型研究インターンシップ体験インタビュー~ JX金属株式会社 ~

ジョブ型研究インターンシップ体験インタビュー
JX金属株式会社 技術本部技術戦略部

博士学生の産業界へのキャリアパス拡大を目的に文部科学省の推進の下、2022年より本格始動した「ジョブ型研究インターンシップ」。長期(2カ月以上)、有給、正規の単位科目、ジョブディスクリプション(業務内容、必要とされる知識・能力等)の提示、などが特徴です。当プログラムに早稲田大学として初めて、疋野拓也さんが参加。企業で働いた経験や気付き、思い描く将来のキャリアパスなどについてインターンシップ実習期間中にお話をお聞ききしました。

 

多様な価値観を持ち、キャリア選択の幅を広げるための大きなきっかけに

早稲田大学 先進理工学研究科先進理工学専攻
下嶋研究室 一貫制博士課程4年
疋野 拓也 氏

 

 

 

CO2削減に資するという具体的な職務に、自らの研究との関連性と魅力を感じた

– インターンシップに参加した経緯をお聞かせください。

ジョブ型研究インターンシップはキャリアセンターからの博士課程学生向けのメールで案内されており、一般的な話題にもなっていましたので知っていました。
先進理工学研究科先進理工学専攻では、留学とインターンシップがそれぞれ3カ月程度の必修になっています。昨年、留学を経験したので、今年はインターンシップを登録しました。
インターンシップ先については、私の専門が無機化学なので、企業もその関係に絞られました。さらにJX金属社のジョブディスクリプションでは新規事業開発をテーマとして募集しており、面白く新たな体験ができると思ったことから、JX金属社に決めました。

– ご自身の研究内容が企業での職務内容にどのように関係しているのでしょうか。

現在、大学での研究内容としても、地球環境を改善するために様々なプロセスの効率化や新しい機能を有する材料開発が求められています。
私の研究は、ビルディングブロックとなる無機分子や無機ナノ粒子から多孔質触媒を設計するというもので、触媒合成を主軸に新しい構造や機能を創出することに重点を置いています。
一方、JX金属社から示されたジョブディスクリプションは「CO2削減に資する材料に関する新規テーマ創出に向けた技術動向の調査」というものでした。私の研究でもカーボンニュートラルを意識していますし、また、新規テーマ創出のプロセスも、所属研究室で後輩の研究テーマを検討・提案した経験が活きてくると思いました。

 

事業化に向けてのきちんとしたプロセスが基礎研究の視野との違い

– 大学での研究活動と企業での勤務とで、何らかの違いを体感したでしょうか。

近年では基礎研究も重要だと言われるようになり、私の研究活動もどちらかというと基礎科学を発展させることに軸足を置いています。近視眼的にならず長期的な視野を持って、研究を続けています。これに対して、企業の視野は異なってきます。新規テーマ創出について、短期的な実現とまではいかなくても、近い将来において事業として成り立つかどうかという点がポイントになることを学びました。

– 具体的にはどんな仕事をされているのでしょうか。

あまり細かい内容はお答えできませんが、テーマの背景となる論文調査やその他の調査を行っています。なかでも特許調査は大学ではやらないことなので、その方法についても新しく学ぶことができました。また、テーマを進めるに当たって、JX金属社ではステージゲートプロセスを導入していることにも強い関心を覚えました。すなわち、新製品・技術の開発において新規開発テーマの企画から上市までの間に数段階のステージを設け、各ステージに進む前にゲート審査を行うことで推進可否を判断する仕組みです。私の仕事は、その初期段階である企画ステージに関わる部分というわけです。

経験を活かし、アカデミアと企業の双方で活躍できる人材になりたい

– 事前にイメージしていたインターンシップとの違いはありましたか。

インターンシップ前に一番大きく感じていたのが、新規事業開発というデスクワーク中心の仕事にドクターが必要なのか、つまり、ドクターとしての研究活動の経験は活かされなくてもいいのかということでした。しかし、私の部署に多く在籍してた博士人材の方々から話を聞く中で、ドクターという専門性だけではなく、博士課程を修了したことで得られる理解度の深さ、本質に迫る力、精神的なタフさ、人的ネットワークといった総合力が有益であることがわかりました。

– これからのご自身のキャリアをどのように考えていますか。

ジョブ型研究インターンシップを経験し、企業で就業するということに対して、よりポジティブに考えられるようになりました。もっとも、ポジティブというのは博士課程を修了してすぐに就職するということではありません。学部新卒や大学院修了後に就職するというのは古い考え方だと思いますし、アカデミアに行く人は企業に行かなかった人というイメージも払拭されなければならないと思います。キャリア選択の幅が広がっている中で、アカデミアと企業の両方の感覚を持ち、双方を行き来できるようなキャリアにしたい、と今のところ考えています。

価値観と人間の幅を広げるにはジョブ型研究インターンシップがお勧め

– 最後に後輩の皆さんに向けたメッセージをお願いします。

ジョブ型研究インターンシップに対して迷っている人がいるとしたら、是非やったほうがいいと言いたい。研究は一時ストップするにしても、人間の幅が広がるからです。一番怖いのは価値観が凝り固まること。企業での経験、しかも3カ月近く勤務すれば、かなり多くのことが吸収できます。今後、就業するにしろ研究を続けるにしろ、多様な価値観を持った上で目的意識を持つことが大切で、ジョブ型研究インターンシップはそのための良いきっかけになるはずです。

メンターの声

JX金属株式会社
技術本部技術戦略部兼ESG推進部 技師

髙野 美育 氏

 

 

私がメンターを務めたのは疋野さんが初めてでした。仕事の内容は、指導するというよりも、疋野さんの意思を尊重しつつ、ディスカッションしたり、進捗を確認してアドバイスしたりすることが中心になります。入社時に大まかなゴールを伝え、細かなマイルストーンは設けずに、随時進捗を確認しながら進め、時には臨機応変に方針を微調整することもあります。当社ではインターンシップ期間の最後に、執行役員2名を聴衆に含めた成果報告会を設けており、それに向けて業務を進めてもらっています。

ジョブ型研究インターンシップでは、企業の担当者にとっても新しい気付きがあります。同じテーマで調査をしたとしても疋野さんと私ではアウトプットの仕方が異なると感じたことが新鮮でした。学生にとっても、自身の専門領域に対するアカデミアの立場からの考え方と、企業の立場からの考え方に違いがあることを体感する良い機会になるのではないでしょうか。大学内では同じ分野の人と話すことが多いと思いますが、企業では様々なバックグラウンドをもつ人と話すことになるので、自分の専門をわかりやすく説明できることが重要になります。これはインターンが終わった後もいかせるスキルだと思いますので、インターン期間中に試行錯誤をしてもらいたいです。

最後に、疋野さんは非常に明るい性格で、部署の忘年会に参加したときも、同席していた他の社員ともスムーズにコミュニケーションをとっていました。どの道に進んでも頼もしくやっていけると確信しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

JX金属株式会社 人事担当者にも聞きました!

1.どのような趣旨でプログラム提供いただいているのでしょうか

ジョブ型研究インターンシップの目指す「学生の能力伸長(より実践的な経験や新たな気付き)とキャリアパス多様化(活躍の場拡大)」に共感し、弊社としても現役の博士課程学生との長期にわたる交流を通じた新しい気付きを得るという点で学生と企業にとってWIN-WINの取り組みであると考えています。

2.どういった学生に参加いただきたいか(求める学生像)

もちろんジョブディスクリプションに記載しているテーマに近しい専攻の学生に参加頂きたいですが、少なくとも2カ月以上社員として共に働いて頂くわけですから、弊社の事業内容、雰囲気に共感頂ける意欲のある学生に参加頂きたいと思います。また、過去に留学生の受け入れも多く行っていますから、様々なバックグラウンドのある方の参加を期待しています。

3.今後のキャリアについて、期待することはありますか

博士課程を修了して得られるものは、もちろん研究内容に対する深い知見があるとは思いますが、それ以外にも思考力や情報収集能力、忍耐力などの基礎能力もあると思います。それらを発揮する場面はアカデミアや民間企業の研究職に限らず、それ以外にも広がっているということを、弊社のインターンシップを通じて体感頂き、今後の様々な領域でご活躍されることを期待しています。

【開室時間】
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【連絡先】
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