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「2週間で見えた記者のリアル」ー公認プログラムWIN体験レポー

「2週間で見えた記者のリアル」

文化構想学部3年 大河原啓太(おおがわら・けいた)

私は2022年8月15日から2022年8月26日の間、公認プログラムWINを利用して愛知県名古屋市の中日新聞名古屋本社で就業体験をしてきました。公認プログラムWINとは大学の推薦を受けることで、個人での応募が難しい職業に就業体験することができるプログラムです。2週間という長い期間就業体験をすることは通常では中々難しいことであり、公認プログラムWINを利用することで貴重な体験をすることができました。

中日新聞社は中部地方を中心とする日本最大規模のブロック紙であり、首都圏ほか海外にも拠点をかまえ、中日新聞や東京新聞など7銘柄の新聞を発行しています。今回は名古屋本社にて社会部と整理部でそれぞれ1週間ずつ就業体験をさせていただきました。

 

1週目は社会部で就業体験をさせていただきました。社会部とは事件事故から地域のニュースまで幅広く扱う部署です。今回は名古屋市庁や愛知県庁、裁判所の記者クラブに入らせていただき、取材同行もさせていただきました。また、お試しで記事の執筆をする体験もさせていただきました。専門の異なる様々な記者の方とお話させていただく機会があり、さらには取材同行先で出会った地元の方のお話も沢山聞くことができ、頂いた名刺の数は15枚以上にものぼりました。警察担当の記者の方に取材同行させていただいた際には、記者の方が顔パスで警察署の中に入っていき、署長室まで入れてもらえたことに驚きました。これはメディアという仕事ならではの事だと感じました。

  取材に同行する様子(名古屋駅前)

社会部で就業体験する中でとても印象に残った記者の方のお話があります。それは、滋賀の「呼吸器事件」を取材された記者の方のお話です。この事件は滋賀県の湖東記念病院で男性入院患者が死亡し、呼吸器のチューブを抜いて殺害したとして、看護助手だった女性が逮捕・起訴されて懲役12年の有罪判決を受け、その後再審無罪となった事件です。この事件は冤罪でしたが、それが暴かれたのは記者の方の取材と報道の力によるものでした。

記者の方は看護助手の周辺などを取材することによって、事件が冤罪だということを確信したそうです。そこで自分に何かできることはないかと考え、コラムを連載することにしたそうです。それはこれまでの取材をもとにして、冤罪を訴えるキャンペーン報道でした。連載が開始されるとテレビ局なども捜査に疑問を呈する報道を特集するようになり、ついには再審開始が決定され、冤罪が発覚したのです。

私はこのお話を聞いて、記者という仕事の影響力の大きさに驚きました。自分が書いた記事によって社会を動かすことができる。これはとても責任感が伴うものでありますが、私にはとても魅力的に感じました。世間では中々目に触れられない弱い立場の人々にフォーカスし、それを知ってもらうというのは報道の使命であり、私もそのような報道の仕事をしたいと強く感じた瞬間でした。

 

2週目は整理部で就業体験をさせていただきました。整理部とは記事に見出しを付けたり、紙面のレイアウトを考える部署です。整理部の記者の方は、基本的には外に取材に行くということはありません。私は記者の方は皆、外取材に行くと思っており、整理記者の存在は今回初めて知りました。整理部ではお試しで記事に見出しを付けたり、レイアウトを考える体験をさせていただきました。

社内の様子

私は整理部で就業体験をさせていただいた初日のことがとても印象に残っています。この日は、全国的にもニュースになった名古屋高速バス横転炎上事故が発生した日でした。事故が起きたのは10時過ぎでしたが、社内では夕刊の制作がされている時間でした。どの記事を採用するのか大方決まり、あとは整理記者の方が記事に見出しを付けレイアウトを考えるという段階でした。

事故が起きたという情報が入ると一気に社内がせわしなくなり、一部の記者の方は現場に向かっていきました。私はその日、一面を担当されている整理記者の方の作業を見させていただいていたのですが、大事故が起きたということで紙面のレイアウトも考え直さなければいけない状況でありました。事故が起こる前までにはレイアウトもほぼ完成していたので、まさしく白紙に戻ったという状況で、さらには締め切りも間近に迫っていました。事件についての記事が出来上がると、それをどう配置すべきかを他の記事との兼ね合いも考慮しながら考える必要がありました。締め切りがすぐそこに迫っていたので、時間との戦いでもあったのですが、紙面の配置を考え、見出しを付ける作業をかなりのスピード感を持ってやられていました。大幅な記事の差し替えがあったものの、それに瞬時に対応し、締め切りに間に合わせるというプロの技を間近で見ることができました。整理部で就業体験させていただいたことで、新聞は取材に行く記者だけでなく、それを支える整理記者をはじめとする人たちの力が不可欠だと実感することができました。

 

この2週間を振り返ってみると、本当に貴重な体験を沢山させていただいたと改めて感じます。2週間という長い期間就業体験をさせていただくことで、数日間のインターンシップでは分からない記者という仕事の「リアル」な部分を知ることができました。また、社員の方がいい意味でラフに接してくださり、就活などの相談についても親身になって答えていただき、大変感謝しております。名古屋という自分にとっては馴染みのない土地で2週間もの間、就業体験することには最初は不安を覚えていましたが、今振り返ってみてみると本当に挑戦して良かったと心から思っております。新聞社に限らずマスコミに興味を持っている方は、是非チャレンジしてほしいと思います。

最後になりますが、今回お世話になった中日新聞社の皆様には改めてお礼申し上げます。

 

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