キャリアセンター職員 タン・エンセン
( キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)
皆さんは「社会人基礎力」(※)を知っていますか? ①前に踏み出す力、②考え抜く力、③チームで働く力など、職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な力のことです。どのような「社会人基礎力」が大切なのかは、出身・地域・職場・職種・育ち方・教育環境・未来に対する設計などにより変わってくると考えられます。実際に学生から社会人に転身して、求められる力はどのようなものでしょうか? 社会人12年目の私が考える「3つの力」は以下の3つです。
① 「Say No」の勇気
入社して最初の数年間は、多くの試練をくぐり抜けなければならないことでしょう。一定の年数を越えていくと、自分が「できる」ことと「できない」ことは分かってくるはずです。何事にも積極的に取り組むことが大事ですが、全ての仕事を請け負い、自分のキャパシティーを超えてしまうと、アウトプットの質は中途半端になる可能性が高くなります。燃え尽き症候群にもつながりますので、「Say No」の勇気が必要な力だと思います。
② 「好意的」な好奇心
業務上で新しいことに直面し、職場から答えと解決方法を求められ、分からないものを自分で調査・学習しなければならない場合があります。上司や同僚・後輩、また取引先のクライアントなどと、協力し合う場面もたくさんあります。新しい出会いも多くなることでしょう。仕事の進め方はもちろん、上司がどのような人物なのか、先輩が好きな映画はどのようなジャンルなのか、取引先の方がどのようなキャリアを持っているのかなど、「好意的」な好奇心を持ちながら、真摯(しんし)に話を聞くことができれば、仕事の流れがよりスムーズになる場合があります。「好意的」な好奇心は、対人関係に重要な力だと考えられます。
③ 謙虚な心
新入・中堅・ベテラン社員を問わず、「謙虚な心」は職務的立場に関係のない重要な力だと思います。目標が達成できない場合、対策を立てるためには、他人のせいにしたり、言い訳をせず、きちんと責任を取り、話をよく聞く姿勢が大切です。目標を達成した場合は、既に高く評価されているにも関わらず、どうしても自慢したい自分に気が付くかもしれません。その気持ちを抑えながら、言葉をよく選んで話をしてみたらいかがでしょうか? 一人前の社会人になりたい場合は、謙虚な心を忘れてはならないでしょう。
※)社会人基礎力
社会人基礎力とは、以下の3つの能力(12の能力要素)から構成されています。
①前に踏み出す力(アクション):主体性・働きかけ力・実行力
②考え抜く力(シンキング):課題発見力・計画力・創造力
③チームで働く力(チームワーク):発信力・傾聴力・柔軟性・状況把握力・規律性・ストレスコントロール力
学生キャリアアドバイザーからのアドバイス
株式会社 竹中工務店
加藤 直樹(2016年3月 法学部卒)

かとう・なおき。SCAの第13期で、学生時代はテニスサークル、法律サークルで幹事長を務めた。
3年生になったばかりの皆さん、そろそろ就職について考える時期かと思います。そこで、学生生活を終えた私が社会人に必要な力とは何か、学生キャリアアドバイザー(SCA)の立場から、皆さんにお伝えします。とはいっても、社会人ではなく一学生という立場に戻っての意見ですので、参考として読んでいただければ幸いです。
私が考える「社会人にとって必要な力」は、次の3つです。まず、「対人折衝力」です。ビジネスでは、相手の立場を踏まえた上で自分の考えを伝え、お互いが納得できる結論を出すことが求められます。就職活動のグループディスカッションでも経験するので、ぜひ、学生時代にグループワークなどを通して身に付けてもらいたいと思います。
次に、「業務遂行力」です。いわゆる事務処理の能力ですが、これは日頃の勉強に通ずる部分があるでしょう。作業をいかに効率的に行うか考える癖がついていれば、十分に養われていると思います。
そして最後に、「抽象・概念化能力」です。俯瞰(ふかん)することで全体を把握し、おのおのに的確かつ具体的な指示を出すには、この能力が不可欠です。この力はリーダー経験によって培われると感じました。これら3つの力を意識しながら、残りの学生生活に向き合ってみてはいかがでしょうか。