-就職はゴールではない-
就職をゴールと捉えずにビジョンを持って活躍する方の人生設計や、その人生設計を思い描くに至ったきっかけとは?現役学生に自身の将来設計やキャリア形成を考えるヒントを得てもらうべく、先輩のストーリーに迫ります!
第1回目のインタビューイは、新卒で株式会社キーエンスに入社し、現在は広告代理店に勤務する早稲田大学OBの金城匡志さん。
就職ランキングでは名だたる巨大企業を抑え常に上位にランクインしている株式会社キーエンスから転職し、現在は広告代理店である株式会社kiCkで活躍するというユニークな経緯をもつ金城さん。就職をゴールとしない金城さんのビジョンとは?そのビジョン裏側にある「ストーリー」を伺いました!
金城 匡志(カネシロ タダシ)さん
2017年3月社会科学部卒。新卒で株式会社キーエンス入社。現在は株式会社kiCk(広告業界)勤務。
在学時は早稲田祭実行委員会や学生キャリアアドバイザーを経験。
※記事の内容及びプロフィールは取材当時(2019年3月)のものです
今日のインタビューの流れ
・現在の仕事とビジョン
・ビジョンの原体験
・働く中で見つけた「本当にやりたいこと」
・今後の展望
・就活をむかえる3年生へ向けて
・インタビューを終えて(編集後記)
現在の仕事とビジョン
-最初に今何をされているのか教えてください。
今は広告代理店でプランナーとして働いています。そこでの業務は、広告づくりを戦略から施策まで考えられるのでワクワクしながらやりがいを持って仕事をしています。具体的には、どうやったら子供用おもちゃの新作をもっと買ってもらえるだろうかとか、どうやったら30〜40代に人気のあるアーティストをもっと若い世代に聞いてもらえるだろうか、などの企画を考えています。
自分には『世の中に何か問いかけたい』という思いが軸にあり、それを果たすために今のところ適している手段が広告だと思っていて広告代理店に入っています。
-続いて金城さんのビジョンを教えてください。
先程話した通り、自分は『世の中に何かしらの問いを投げかけたい』という思いを持っています。何らかの考え方や出来事に触れた時の、人々の色んなリアクションを見るのがすごく好きなんです。だから『世の中に何かしらの問いを投げかけ』続けていけたら良いなと考えています。
ビジョンの原体験
-そのビジョンの原体験は何ですか?
中学生の時に小さな演劇をやっていたのが自分の原体験です。演劇って面白いのが、一日多くて6公演、同じ演目を演じるのですが、役者が少し間を変えたり言い回しを変えるだけで演者側からも観客側からも違うリアクションが返ってくるんですよね。それが面白く感じられて、自分の一挙一動で、演じている側の反応も観ている側の反応もこんなに変わるんだ!という経験が原体験になっています。
その原体験にはさらに背景があります。
もともと自分が幼稚園・小学生の頃は人の顔色を見て生きる人間だったんですよねこの時の教訓として、人の顔色を見る人間って人に合わせられるけど、人に合わせる人間って面白くないんですよね。一方、人気者ってすごく個性があって一貫性がある。だから俺って世界の中心じゃないんだって小学生にして悟っていました(笑)
-何がきっかけで変わったのですか。
そのまま中学2年まで人に合わせ続けて生きていたのですが。中学2年の時たまたま誰も立候補しなかった演劇の役者を自分がやることになって。当時能力も魅力も何もないと思っていた自分に、魅力的なキャラクターが与えられたんですね。演劇をやってみて、キャラクターがあると人はそれに喜んでくれるし、褒めてくれる。これいいな、俺もやり方次第でなんとでもなるなと思いました。
ここで気づいたんですよね、今まで世の中から相手にされなかったのって、そういう自分らしさとか一貫性がなかったからだって。個性ってすごいなって思考にこの時なり始めました。何かしらの個性に人が触れた時の、リアクションそのものも好きになってしまったんですよね。その影響で高校生になってからバンドをやったりムービー作ったり、企画したり。『自分らしく何かを問いかける』ことにどんどん取り組んでいきました。
働く中で見つけた「本当にやりたいこと」
-新卒でキーエンスに就職したのはなぜですか。
就活時は今のビジョンに辿り着いていませんでした。
自己分析をおろそかにしてしまった結果、その当時は『問いを投げかけたい』という言葉がしっかりしていなくて。自分の原体験を深掘りしきれておらず、漠然と自分は「人の心を動かしたい」んだと思っていて。キーエンスはメーカーだからものを通じて人を動かせるのではないかと考えました。最終的に就職の決め手となったのはキーエンスの転職力の高さです。
転職力が高いと考えた理由としては二点。ひとつは営業について優秀な人から学べる仕組みが整っていた環境であったこと。業種問わず世の中のほとんどの会社に「営業」に相当する職種があるので、営業力はほぼすべての会社に通用する武器になると考えていました。
もうひとつは、キーエンスの転職市場でのネームバリューです。
もちろん、キーエンスの良さはほかにもたくさんありますが、決め手でいえばそれです。実際に、キーエンスからの転職実績は人により様々で、それは大きな魅力でした。
-キーエンスから転職したきっかけは何ですか?
ここが今回一番大事で、自己分析のときの参考にしてほしいのですが、人ってやりたくないことやっているときの方が、かえってやりたいことが見えてくるんですよね。
キーエンスでの仕事で自分を追い込むことで、自分の本当にやりたいことに気づいたことがきっかけです。自分自身の人生と正面から向き合い、自分の指向性が明確に定まったので転職しました。
先程も話した通り、就活時に「人の心を動かしたい」という言葉にまとめたのですが、「人の心を動かす」って漠然としていて。具体的に何人動かしたいとか、直接がいいのかB to BがいいのかB to Cがいいのか、とか。もっと深掘りしなきゃいけないことがいっぱいあるのを全部ないがしろにしてこの言葉にまとめてしまっていました。
キーエンスで仕事をする中で、自分の中で違和感を感じて。その言葉が漠然としていたことに気づき、「人の心を動かす」を具体化して切り分けていき、自分の指向性を探しました。
その結果、三つのことが大切であることに気づきました。一つ目は、もっと情緒的な心の動かし方がしたいということ。キーエンスはBtoBなので、理性的な心の動かし方をすることが多かったんですね。
二つ目は、自分のアウトプットに対する生活者からのレスポンスが欲しいということ。キーエンスは工業用部品が商材なので、エンドユーザーの距離が遠い。どうしても働きかけ方が間接的になってしまうんです。
三つ目は、大人数の心を動かしたいということ。それらを含んだ心の動かし方を一言で言語化し、自身の原体験に基づいて「世の中に問いを投げかけたい」という現在のビジョンに至りました。
本当は就活しているときや、色々な人のキャリアの話を聞いているときに気づくべきっだったんですがね。自分は一人で考え込んでいたので、最後まで気づけませんでした。
もっとキャリアセンターの人などに甘えて、話を聞いてもらっていればまだ違った経歴だったかもしれません。
今後の展望
-今後の展望を教えてください
今働いている広告代理店でプランナーとして採用されているので、5年か10年のうちに自分の企画した仕事で自己紹介で胸を張って言える仕事をしたいです。それで、もっと大きな仕事に関わりたいです。将来的には、広告業界にとらわれず、形を変えて『世の中に何かしらの問いを投げかけ』続けていけたらなと考えてます。
就活をむかえる3年生へ向けて
-キャリア形成考えるうえでのアドバイスをお願いします。
一番に、自分の深掘りを中途半端にせずしっかり突き詰めてください。やり方としては、幼少期からの体験を、出来事ごとにその時『何でそれをしたんだろう』『何でそう思ったんだろう』と深掘って、1つ1つの出来事の繋がりを見つけて1つのストーリーにすることをやってほしいです。その深掘りするときのコツとしては、考えて行き詰まったら、自分のやってて嫌だったことを何で嫌だったのか考えると視野が広がると思います。嫌なことをやっている方がやりたいことがかえってみえることもあります。また、人に話をきいてもらうことも良いと思います。この自分が自己分析してきた内容と流れを、一参考例にしてもらえればと思います。
-幼少期の体験なんて覚えてなくないですか?
そう思うかもしれないけど、自分の人生に影響を与えている体験って意外と覚えていて。思い出せるものほど自分のこだわりの価値観だったりするんですよね。逆に言うと忘れてるものって自分の人生にとってそんな大したことじゃなかったんだと思います。
-確かにそうかもしれませんね。本日はお忙しい中ありがとうございました。
-インタビューを終えて(編集後記)
本気で自分の人生に向き合い、自分の深掘りを突き詰めた結果たどり着いた金城さんのビジョンは説得力のあるものでした。現在のお仕事について目を輝かせてお話くださるお姿から、今の生活を心から楽しんでいらっしゃることが伝わってきました。
「世の中に問いを投げかける」おもしろさを広告業界の色んな動画を見せながら語ってくださった金城さん。今後どのような形で金城さんらしく「世の中に問いを投げかけ」続けてくださるのか、楽しみです!
このインタビューはキャリアセンターの「学生キャリアスタッフ」が企画・実施しました。