Frontier of Embodiment Informatics: ICT and Robotics, Top Global University Project早稲田大学 ICT・ロボット工学拠点

海外派遣学生

梅田 茜
Akane UMEDA

基幹理工学研究科 修士1年 梅田 茜 Akane UMEDA

  • 派遣期間:2023年9月~11月
  • 派遣先大学:ジョージア工科大学
  • 派遣先国・地域名:アメリカ・ジョージア州アトランタ

 

海外派遣希望理由

高校時代に、あるロボットの大会で世界大会に出場し、世界各国から集まった同世代の人々と交流する機会がありました。その際、様々な国の文化や考え方を知り、日本の文化が意外と世界に知られていると気づくことが多々あり、外国の方と交流することが面白いと感じました。当時、世界大会では思うように結果を残せず、年齢制限で翌年の大会への参加はできなかったため、大学入学以降にもう一度、専門分野で海外に出て、様々な国の方々と交流したり、海外で学んだり競ったりしてみたいと思うようになりました。また、私は小学生の頃から宇宙に興味があり、宇宙業界で働きたいという思いを持ち続けてきました。そのため、学生時代に宇宙開発の本場であるアメリカに身を置き、研究の環境や文化を見てみたいという思いがあり、本プログラムへの参加を希望しました。

 

現地での研究内容・成果

Georgia Institute of TechnologyのDaniel Guggenheim School of Aerospace EngineeringにおいてDr. Koki Hoのもとで、自己修復型金属配線を宇宙応用した場合の、費用対効果をモデル化する研究に取り組みました。私は日本で、金属微粒子の電界トラップを用いた自己修復型金属配線の研究をしています。自己修復型金属配線とは、断線部の場所や大きさを知らずとも勝手に修復することができる金属配線のことです。修復や交換が困難な宇宙という環境では、この自己修復型金属配線を用いれば修理が可能となるため、有用であると考え、日本では実験をメインに研究してきました。アメリカでは、学科内外の他の教授の先生方にもインタビューを行い、自己修復型金属配線で修復が可能な衛星故障にはどのようなものがあるのか検討したり、簡単な線形モデルを考え、自己修復型金属配線を搭載した場合の費用対効果をMATLABを用いて計算したりしました。先生方へのインタビューを通して、自己修復型金属配線を宇宙応用する場合の課題が多く見つかりました。帰国後の研究では、見つかった穴を埋めるため、宇宙で使用する状況により近づけた条件で実験を行おうと考えています。

 

学校環境

基本的に何でも自由でした。研究室はいつ行ってもいつ帰っても大丈夫ですし、特に何か決まったルールなどはありませんでした。航空宇宙工学科の建物は古い建物でしたが、校舎内にはエンジンや飛行機の模型がたくさん並んでおり、テンションが上がりました。先生とは週に1度面談があり、研究の相談をしていました。研究室全体のミーティングは2週に1度あり、各々の2週間の進捗共有や先生が参加された学会の話などを聞きました。学生の進捗報告では、思うように研究が進んでいなくても「今週は授業のことに集中していました」と堂々と発表していた点が良いと思いました。さらに、研究分野が近い4〜5研究室の合同のミーティングも2週間に1度あり、色々な研究室の学生のプレゼンを聞けたのも良い経験でした。NASAやアメリカの宇宙系ベンチャー企業との共同研究をしているという学生も数多くいて、良い刺激を受けました。合同ミーティングでは毎回スナックやピザ、ドーナツなどが配られ、アメリカンな雰囲気を感じることができました。

キャンパスはとても広く、学科の校舎以外も非常に充実していました。図書館には学部生、大学院生それぞれ分かれたゾーンや、quiet studyのスペースがありしました。図書館内でも飲食OKなのは驚きました。また、student centerには飲食店が多くあり、フードコート的な感じで様々な料理を楽しめる環境でした。ただし、円安も相まって安くても一食1500円はかかってしまうので、ほぼ毎日お弁当を持参していました。研究室の学生も、皆お弁当を持ってきていました。

また話は変わりますが、大学の名前が刻まれた服やキャップなどのグッズは種類が無数にあり、多くの学生がそれをよく身につけていて、愛校心の強さを感じました。

 

国際交流

研究室には私の他に日本人が3名、学科にはさらに4名の日本人がいました。研究室にはアメリカ人の学生は少なく、インターナショナルの学生が多くいました。世界各国の学生が集まっており、イギリス、フランス、ベルギー、韓国の学生とともに過ごしました。研究室にいるメンバーで毎日一緒にランチを食べ、週末に何をしたかや研究で行き詰まっていることなど、フランクな話題から真面目な話題までよくコミュニケーションを取っていることに驚きました。挨拶の一環で「最近研究はどんな感じ?」とよく聞かれ、行き詰まっていることを伝えると「〇〇のところならヘルプできるよ!」といつも手を差し伸べてくれる学生が多かったのがとても印象的でした。

週末には大学や学科のイベントが開催されたり、研究室の学生がハイキングやパーティーに誘ってくれたりと、充実した時間を過ごすことができました。大学内に大きなスタジアムがあり、アメリカンフットボールの試合を観戦しました。観客も熱狂的で、ブーイングも応援も全力で叫んでいる様子に圧倒されました。また、同じ研究室で同性かつ同い年のロシア系アメリカ人の学生と遊びに行く機会があり、お互いの家族のことや学校のこと、将来のことなど深く語り合えたのはとても良い経験でした。

さらに、私はAirbnbを通して家を借りていたのですが、運良くホストが非常に親切な方でした。彼女はいつも私のことを気にかけてくださいました。たまに母国のアフリカ料理を振る舞ってくださったり、一緒に教会やショッピングモールなどへ買い物に連れて行ってくださいました。将来のことや仕事のことなどについても互いによく話し、就職について悩んでいた私にたくさん優しい言葉をかけてくださいました。彼女は十数年前にアフリカからアメリカに来て、苦労しながらも、現在は映画業界で衣装の仕事をしているという方でした。海外の方とこんなにも人生観や仕事、生き方について心の内を話し合ったのは初めてで新鮮だったとともに、彼女の言葉にとても勇気づけられました。

 

住居環境

私はビルが多く比較的治安の良いミッドタウンに滞在していました。Airbnbで見つけた宿で、30代の女性のホストと一緒に3ヶ月暮らしました。2bed 2bathのアパートメントで、リビングやキッチンは共用でした。地上7階建てのアパートメントで、建物の中央には綺麗に整備された中庭がありました。アトランタは気温差が激しく、一度暑い日が来ても翌日には急激に冷えることもあるという気候だったため、体調管理は特に気をつけていました。

 

周辺環境

アトランタはアメリカの南部に位置しており、黒人が多い街です。ミッドタウンやダウンタウンにはビルが建ち並んでおり、Googleなどの大企業のオフィスもあります。Piedmont parkやCentennial Olympic Parkなどとても大きな公園があり、休日はランニングやテニスなどのスポーツを楽しむ人や散歩をする人で賑わっていました。

大学の南側は治安が悪いため、私は北側に住んでいました。家から大学までは徒歩と大学の無料バスで片道40分ほどかけて登下校していました。自転車や電動スクーター、スケートボードなどで登校している学生も多くいました。アメリカは基本的に何でも規模が大きく、また車社会のため、日常生活の移動も少し苦労しました。いつもと違うスーパーで買い物をしようと思うと、片道徒歩40分という環境でした。大きなショッピングモールに行く際には電車を利用しました。

買い物に関してはAmazonもよく利用しており、大学にあったAmazon Hub Lockerという受取施設を利用していました。通学途中で受け取れるのは便利でしたし、学生だと半年間無料でPrime会員サービスが使え送料がかからず利用できました。

近年治安は向上してきたと言われているアトランタですが、日本人の感覚からすると注意が必要です。誘拐や強盗事件が起こると発令されるアンバーアラートが出ることは日常茶飯事でしたし、私の滞在中にも少し離れた場所ではありましたが大学付近で銃撃事件があったと聞きました。電車など公共交通機関を利用する場合も、夜は利用せず昼のみの利用にとどめました。

観光地としては、World of Coca-Cola(コカ・コーラの博物館)やジョージア水族館が有名です。World of Coca-Colaでは、コカ・コーラ社の歴史やコカ・コーラ製品の各国歴代の広告などを見学できます。世界各国のコカ・コーラの飲料を試飲できるコーナーもあり、数十種類のドリンクを試飲しました。ジョージア水族館は世界でもトップレベルの大きさを誇る水族館です。大迫力のイルカショーや巨大なサメの水槽を楽しむことができました。

 

海外派遣を経た感想

今回の海外派遣では、様々な国の人とも、アメリカで長い時間を過ごしている日本人とも出会うことができました。彼らと進路の話をすると、アカデミックに残るという人や、NASAに就職するという人、ベンチャー企業への就職を考えている人など、多様な考え方や人生の選択肢を持っていました。私は留学前、日本の大手企業で働くという選択肢しか考えていませんでしたが、色々な道があることを理解しました。自分の人生のロールモデルとしたいような方々にも出会うことができました。また、NASAなど憧れだった存在も、自分と同世代の学生が共同研究などでたくさん関わっており、地道な研究活動をこつこつ積み上げていく様子を近くで見ることができたのはとてもよい経験になりました。私の今後の研究活動や就職活動の参考にするとともに、今度は私が日本へ来た留学生をサポートできたらという思いが芽生えてきました。留学に行くまでの手続きや現地での生活は苦労もありましたが、今回の海外派遣に参加して本当に良かったと心から思っています。

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