研究代表者
柏 雅之
KASHIWAGI Masayuki
人間科学部教授
本プロジェクトの概要と目的
急激な人口減少下で危殆に瀕しつつある典型地域が山村・農山村地域(行政用語でいう「中山間地域」)である。他方で、森林系・木材系バイオマスへの注目、貴重な農林関係資源の利用による多大な多面的機能(多様な国土保全、景観形成、生物多様性保全、気候緩和、文化伝承、保健休養・教育等の諸機能)への国民的関心の高まりが指摘される。
本研究では多数の人口と伝統的コミュニティによって維持されてきた当該地域が、大幅に少数化した人口規模下で、いかなる新たな理論と手法をもってすれば再生しえるのか、また再生されえる地域像はいかなる新たな姿かたちをとるのかについて検討していく。
本研究は環境要因がどのように生殖能力の低下を引き起こすかを統合的な視野で究明し環境と調和させながら人類の繁栄のための知見を得ることを目的とする。具体的研究テーマは下記に示す。
本研究では主な研究分野を以下のように大別する。
- 山村・農山村の過疎化のさらなる進行が中山間地域等直接支払制度など条件不利地域政策の存在意義に対する、条件不利地域諸制度・政策の「人口論的限界」の解明
- 大幅な人口規模縮小下での二次的自然の新たな保全・管理手法の開発と農林業「多面的機能」供給維持のあり方
- 未利用森林・木質系バイオマスの能動的賦存量推計とそのエネルギー利用による環境的意義および森林バイオマス産業社会の成立条件
- 文化再興、コミュニティ再生、ソーシャルキャピタル形成と地域再生
- ポスト重化学工業化時代の新たな山村・農山村の産業展開の可能性およびルーラル・ガバナンスの創出問題
そのほか「多面的機能」に関する人文・社会科学系からの新たな視座による分析等もなされる。
プロジェクト期間
2007年4月~2010年3月