館長 真辺 将之
早稲田大学歴史館は、早稲田大学の歴史に関する、展示、アーカイブズ(史料の収集・保存・公開)、そして調査・研究の、3つの機能を併せ持つ施設です。展示については、早稲田キャンパスの正門を入ってすぐ右の1号館1階にある早稲田大学歴史館の展示室にて、早稲田大学の過去を伝えるとともに、そこから現在・未来を見つめていくための多角的な展示を行っています。また、アーカイブズとしては、西武新宿線東伏見駅を降りてすぐのSTEP22(79号館)5階に早稲田大学歴史館の通称「東伏見アーカイブズ」と呼ばれる施設があり、大学の歴史に係る資料の収集・整理・保存・公開を行っています。さらに、調査・研究については、この東伏見アーカイブズを拠点に、現在『早稲田大学百五十年史』の編纂を進めているほか、毎年調査・研究の成果を掲載する『早稲田大学史記要』を刊行しています。2009年度以降は、グローバル・エデュケーションセンターに全学向けの科目「早稲田学」を設置、これまでの研究成果をもとに、自校史教育を担っています。
早稲田大学歴史館の淵源は、1961年、図書館内に設置された校史資料係にあります。その後1970年4月に大学史編集所が設置され、『早稲田大学百年史』の編集事業を中核業務として、資料の収集・調査・研究活動を行うようになりました。1997年に『早稲田大学百年史』が完結すると、大学アーカイブズとして発展していくことを期して大学史資料センターへと改組され、2004年から2015年まで11年をかけて早稲田大学図書館が所蔵する「大隈文書」を翻刻・編集し、『大隈重信関係文書』全11巻としてみすず書房より刊行いたしました。2018年、早稲田キャンパス1号館に、展示施設として(旧)早稲田大学歴史館が誕生しますが、2022年に、この(旧)歴史館と大学史資料センターが統合されて、新しく早稲田大学歴史館として再出発いたしました。
早稲田大学の現在は、歴史的な蓄積なくしてありえません。創設者の大隈重信、そしてその下で実務を担った小野梓・高田早苗・市島謙吉・坪内逍遥・天野為之らの立役者たち、そして現在までそれを受け継ぎ発展させるにあたって力を尽くした教職員や学生など。それらすべての人々の歩みのうえに、早稲田大学の現在があり、未来があるのです。早稲田大学の今と未来を考えるために、その歴史を考えるための材料をしっかりと収集・保存しながら、展示や研究成果として社会に発信していくことが、早稲田大学の歴史館の使命です。なお、歴史研究・編纂にあたっては、資料収集が不可欠です。教職員の関係資料はもちろん、学生のスナップ写真や講義ノート、映像など、個人にとっての思い出の品が重要な資料になります。お手元にそのような資料がございます場合には、ぜひご寄贈いただければありがたく存じます。
また、歴史館の運営にあたっては、基盤となる資金が不可欠です。歴史館では、早稲田大学歴史館募金を募集しております。大学の歴史、教職員・学生や卒業生の活動の軌跡を後世に残す知的・文化的情報発信の拠点を構築するため、ぜひともご助力を賜ることができれば幸いです。