Waseda University Intercultural Communication Center (ICC)早稲田大学 ICC(異文化交流センター)

教育学部教授 金井 景子

金井研究室内では、私自身が「セクシュアル・マイノリティ」になることがあります。LGBTの仲間や学生さんたちがやってきて、相談事をしたり、作業をするとき、私以外が全員、多様な性を生きているメンバーということがあるので。そうすると、戸籍が女性で、性自認が女性で、社会生活を女性の外見でしていて、好きになる相手が男性で・・・といった、日頃はあまり気にせずに過ごしている自分の「当たり前」を、改めて意識しないではいられなくなります。そんなとき、「みんな(注・そのとき研究室にいるLGBTのメンバーたち)はいつも、こういうふうに、自分のことを意識しながら、暮らしているんだよなあ」 としみじみしますね。アイドルの話題で盛り上がったり、誰かを好きになったり、洋服を買いに行ったり、バイト先に出す履歴書を書いたりする、なんでもない暮らしの中で、性のことでハラハラしたり、窮屈な思いをしてるんだなって。思えば、教わった先生にも、アルバイト先の先輩にも、身近な友だちにも、研究仲間にも、研究室のスタッフにも、教え子たちにも、多様な性を生きているメンバーがいました。勇気をもって自身のことを話してくれた多くのメンバーに対して、聴くことしかできなかった長い年月があります。

大学の授業「ジェンダー・スタディーズⅠ」では、毎年、若い当事者のゲストさんにLGBTについての基礎知識や課題について、ライフ・ヒストリーを交えたお話をしてもらっていますが、教室の一隅で語りに耳を傾けながら、かつて縁があった人々の顔や声を思い出すこともあります。そうすると不思議に、「LGBT問題」は、ごく親しい人たちの昨日・今日・明日の話になります。そして、その人たちの人生は、いやおうなく、私の人生と並行して進んだり、交差したりする—― そんなふうに、感じられるんです。

教育学部教授 金井 景子

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