高等研究所セミナーシリーズ
【グローバル・ヒストリー研究の新たな視角】公開講演会
「ペルビチン(覚醒剤)と独日関係―第二次世界大戦期を中心に―」(10/29)
趣旨
本報告の目的は、ペルビチン、いわゆる覚醒剤を通じて、第二次世界大戦期のナチス・ドイツと日本との関係(独日関係)を考察することである。覚醒剤を商標化したものが、ドイツではペルビチン、日本ではヒロポンと称される。覚醒剤の原料は麻黄であり、内モンゴルが主たる生産地である。麻黄から抽出されたものが咳止め効果のあるエフェドリンであり、明治期に長井長義によって発見された。これから製造されたものが覚醒剤であり、第二次大戦前夜、軍事目的のためにドイツで「開発」された。モルヒネやコカインなどの麻薬に比べてその歴史は浅い。本報告では、麻黄、エフェドリン、覚醒剤を通じて独日関係の新たな側面を明らかにしていきたい。その際、独日の麻薬政策や麻薬使用の実態を明らかにするとともに、独日比較も行いたい。
講演者
熊野直樹(九州大学法学研究院政治学部門 教授)
専門はドイツ現代政治史、独亜関係史。九州大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学、九州大学)。九州大学法学部助手、同助教授を経て、2005年より九州大学大学院法学研究院教授。主著に『ナチス一党支配体制成立史序説』(法律文化社、1996年)、『麻薬の世紀』(東京大学出版会、2020年)、共編著に『ドイツ=東アジア関係史1890‐1945』(共編著、九州大学出版会、2021年)などがある。
日 時
2022年10月29日(土)14:00~17:30
会 場
Zoomによるオンライン開催
プログラム
14:00~14:10 開会挨拶(谷口眞子)
14:10~15:10 講演「ペルビチン(覚醒剤)と独日関係―第二次世界大戦期を中心に―」(熊野直樹)
15:10~15:30 休憩
15:30~17:25 討論(司会:小原淳)
17:25~17:30 閉会挨拶(谷口眞子)
司 会
谷口 眞子(早稲田大学文学学術院 教授)
小原 淳(早稲田大学文学学術院 教授)
*小原淳プロフィール:
早稲田大学文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。現在、早稲田大学文学学術院教授。専門はドイツ近現代史。主著に『フォルクと帝国創設: 十九世紀ドイツにおけるトゥルネン運動の史的考察』(彩流社 2011年)、訳書にスタインバーグ『ビスマルク』(白水社、2013年)、スパーバー『マルクス』(白水社、2015年)、クラーク『夢遊病者たち』(みすず書房、2017年)、同『時間と権力』(みすず書房、2021年)、エヴァンズ『力の追求』(白水社、2018年)、ゲルヴァルト『敗北者たち』(みすず書房、2019年)、同『史上最大の革命』(みすず書房、2020年)などがある。
対 象
大学院生、教員、一般
主 催
早稲田大学 高等研究所
申込み
事前登録が必要です。以下URLよりご登録をお願いします。
https://list-waseda-jp.zoom.us/meeting/register/tJclf-2hrjwoEtFNQVIcYHSK0dQsBu7gY5Hs
ポスター