セミナーシリーズ 「Schwinger機構の基礎と発展」(8/2)
主 旨
近年の物理学に関する研究は実に多様化しており、専門性が年々高くなっているのにもかかわらず、新たな勉強を始める機会が少い。そのような中、新しいトピックをじっくりと吸収できる機会を与え、新たな研究分野への参入やそれぞれの分野の相互作用のきっかけを与えることが目的である。
それぞれの分野において日本国内で最先端の研究をおこなっている研究者の方々を招待講師として招き、講義+セミナーという形式でお話をしていただく。
(※本イベントは、学生を含む参加者が容易に質問や発言ができるように、現地のみで少人数で開催します。)
日 時
2022年8月2日(火)10:25~18:35
実施形態
講演は日本語で行われます。
以下の会場で少人数で開催します。(※ZOOMでの配信は行いません)
早稲田大学26号館(大隈記念タワー)11階1102室(早稲田キャンパス構内案内図)
参加申込み
事前のお申込みが必要です。以下をクリックしてお申込みください。
お申込みフォーム(https://forms.gle/gxzbiX6xJmMMZZVv7)
※15~20名程度まで会場で聴講できます。(※定員に達しましたら受付を終了いたします)
※新型コロナウィルス感染症拡大の状況によっては人数の調整、あるいは開催を中止する場合がございます。
講演者
田屋 英俊(TAYA, Hidetoshi)
2017年3月東京大学 大学院理学系研究科物理学専攻にて博士号を取得。2018年3月まで理化学研究所 数理創造プログラムにおいて日本学術振興会特別研究員PD, 2018年4月より复旦大学(Fudan University)にてポスドク研究員, 2020年4月より慶應大学自然科学研究教育センターにて特任助教を経たのち, 2021年4月より理化学研究所 数理創造プログラム 基礎科学特別研究員に着任。
講演概要
「Schwinger機構の基礎と発展」
強い電磁場の下では、電磁場の強さが結合定数の小ささを補うことで、強い電磁場に特有の興味深い非摂動・非平衡現象が現れる。そのような現象の例としてSchwinger機構がある。Schwinger機構によると、真空を強い電磁場にさらすと真空は電子陽電子対を生成しながら崩壊する。Schwinger機構の研究は場の理論の黎明期から始まる長い研究の歴史があるが、近年の実験技術の発展によって再び熱を帯びつつある。特に、レーザー技術の進歩によってSchwinger機構を実現するような強力な電磁場を人工的に作ることが今まさに可能になりつつある。また、重イオン衝突や初期宇宙などのさまざまな極限状況においても強い電磁場が生成されていて、Schwinger機構がなにがしかの現象論的な役割を果たしていた可能性が盛んに検討されている。
本講演の目的は、Schwinger機構について理論的にわかっていることとわかっていないことを講演者の主観に基づいてレビューし、それを題材に新しいコラボレーションの方向性を模索することである。内容は聴衆の興味に合わせて適宜調整するが、特に以下のトピックをカバーすることを予定している:
I. 概論
– Schwinger機構の研究の歴史
– 最近の研究の流れ
II. 外場中の量子論
– 外場中の量子化
III. 半古典的取り扱い
– (完全)WKB法
– 断熱粒子描像と超断熱粒子描像
IV. バックリアクション
– 断熱正則化とくりこみ
– 解析的に解ける例
プログラム
10:25~10:30 開会の挨拶と趣旨説明(山田悠介/早稲田大学高等研究所)
10:30~12:00 「講義1」(田屋英俊/理化学研究所 数理創造プログラム [iTHEMS])
12:00~13:30 休憩
13:30~15:00 「講義2」(田屋英俊)
15:00~15:30 休憩
15:30~17:00 「講義3」(田屋英俊)
17:00~17:30 休憩
17:30~18:30 討論
18:30~18:35 開会の挨拶(山田悠介)
主 催
早稲田大学高等研究所