セミナーシリーズ 「宇宙論研究の最前線 – Tokyo New Faces in Cosmology – 」第4回(12/21)
主 旨
海外の第一線で活躍し、コロナ禍により帰国して東京近郊の研究機関に所属する研究者を招いて、ハイブリッド形式のセミナーシリーズとして開催する。オンライン配信で彼らの最先端の研究を紹介する機会を設けるとともに、現地での顔を合わせた議論によって早稲田大学を含む近隣の研究者が新しい研究を創発する契機としたい。
※ 当面はオンライン配信を中心とする。
日 時
2021年12月21日(火)15:00~17:00
実施形態
Zoomによるオンライン配信
参加申込み
本イベントの受付は終了いたしました。誠にありがとうございました。
講演者
大下翔誉(OSHITA, Naritaka)
2019年3月東京大学大学院理学系研究科にて博士号を取得。 2021年3月までペリメーター理論物理学研究所にて博士研究員を経たのち、2021年4月より理化学研究所・数理創造プログラムにて、基礎科学特別研究員に着任。
専門は重力理論、場の量子論、宇宙論など。
講演概要
「ブラックホール振動の和音とその重要性」
宇宙において最も単純な天体の一つと考えられているブラックホールは、重力理論の検証として最適な観測対象である。近年多くのブラックホール連星合体が観測され、これまで予言されていたブラックホールの性質が着実に検証され始めている。摂動論の範囲内で、ブラックホールは弦や太鼓のように固有の振動パターンを持つことが予言されており、ブラックホール連星合体後の緩和過程で放射されるリングダウン重力波の解析から、この検証も盛んに試みられている。これに関係する1つの興味深い可能性として、一見非線形な状態と思われる「ブラックホール連星合体直後」の重力波放射の段階から、その波形はブラックホールの固有振動の重ね合わせで(摂動論で)記述されることが指摘されている。これを支持する証拠は、従来まで重力波データ解析によるものに限られていた。
本講演では、ブラックホールの各準固有振動の「励起のしやすさ」を定量化する励起因子の計算から、上述の指摘を理論的に支持する結果が得られることを紹介する。そして、これが重力理論、ブラックホール近傍の構造および量子重力効果の検証において、どのように有用となり得るかを議論する。
プログラム
15:00~15:05 開会の挨拶と趣旨説明(藤田智弘/早稲田大学高等研究所)
15:05~16:20 「ブラックホール振動の和音とその重要性」(大下翔誉)
16:20~16:30 休憩
16:30~16:55 討論
16:55~17:00 開会の挨拶(藤田智弘)
主 催
早稲田大学高等研究所