Waseda Institute for Advanced Study (WIAS)早稲田大学 高等研究所

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Newsletter Vol.17(2018年)

研究者紹介

高等研究所では、2018年8月に1名の所員を新しく迎えました。

廣田 秀孝

私はアメリカにおける移民排斥(ネイティビズム)の歴史に興味を持っています。トランプ政権下のアメリカでは、移民排斥が歴史的にどのような変遷を辿ってきたかに注目が集まっていますが、それに関する通史的な研究はほとんどなされていません。WIASでは、建国期から今日にいたるまでのアメリカにおける移民排斥を、歴史学にとどまらない学際的な視点から分析する全体史的研究に取り組みたいと考えています。

廣田 秀孝

2018年9月より、所長副所長の体制が新しくなりました。新所長に前田恵一教授、新副所長に有村俊秀教授が就任しました。以下、就任にあたっての挨拶を掲載します。

前田 恵一 (理工学術院教授)

私の専門とする宇宙物理学は総合科学で、様々な分野の学問を必要とします。そのため色々なことに興味を持って考える必要があります。特に宇宙全体を研究する宇宙論は、すべての科学の法則を理解しないと本当の意味では解明されたことにはなりません。しかしこの宇宙論より広い学問の世界があります。人間の様々な活動や思考を探求する人文科学や社会科学です。自然科学・社会科学・人文科学の幅広い分野の優秀な研究者が集まっているこの高等研究所は、人類が考えた科学的アプローチのすべての分野を縦糸と横糸を有機的に絡ませるよう総合的に研究することを目指していると言えます。そのため私は、これまで以上に様々な分野のことに興味を持ち、国内外の研究者をできる限りサポートし、高等研究所をこれまで以上に世界に発信できる存在にするように努めたいと思っています。

有村 俊秀 (政治経済学術院教授)

当研究所は、国際的な最先端の研究を行う拠点として、国内外に知られてきました。その特徴は、人文、社会、理工系の異なる専門分野の研究員が一堂に会することにあるでしょう。実際、現代の諸課題は、一つの専門領域だけでは解決できないことが多く、様々な学問からのアプローチが必要となっています。世界中から、多様なバックグラウンドを持った研究者が集まる当研究所は、まさにこれらの問題に貢献できるポテンシャルを持っています。個人の研究の発展とともに、研究者間の知的な交流を進め、現代の諸課題に取り組めるような学際的な動きが発展するよう期待したいと思います。

また、早稲田大学には、当研究所以外にも各学術院に多数の優秀な研究者が、多様な分野で活躍しています。当研究所のメンバーが、学内の研究者との交流を進め、新たな研究とネットワークが発展することに期待したいと思います。

活動紹介

高等研究所主催「UBIAS Topic of the year 2018 event ”Aging – Life, Culture, Civilization”」を開催しました(2018年10月12日)

2018年10月12日(金)、早稲田大学高等研究所は、名古屋大学高等研究院との共同で、「UBIAS Topic of the year 2018 event ”Aging – Life, Culture, Civilization”」を開催しました。UBIAS(University-Based Institutes for Advanced Study)は、高等研究所を学内に設置する世界の諸大学が、グローバル時代を見据え学術交流の促進を目指して2010年10月に設立したネットワークです。今回のイベントでは、UBIASがTopic of the yearとして投げかけた「Aging – Life, Culture, Civilization」について、研究者が自身の専門分野の視点から発表し、会場の参加者と質疑応答を行いました。当日は、高等研究所に所属する研究者や本学の教員、名古屋大学高等研究院の研究者、海外からの訪問研究員などを中心に約50名が参加し盛会となりました。

基調講演の質疑応答の様子

基調講演ではアジア太平洋研究科のグレンダ・ロバーツ教授に、「Challenges for Aging Societies in the 21st Century」と題し日本の高齢化の現状について講演いただき、参加者と共に高齢化する社会や老後の生き方について考える機会を与えていただきました。

続いて、名古屋大学高等研究院の藤井悠里 特任助教、佐藤和秀 特任助教、フランスの社会科学高等研究院のファブリッツィオ・スペツィアーレ教授、最後のセッションでは、高等研究所のメンファン・シェン講師、アレクサンダー・マレット講師、森新之介講師がそれぞれの専門分野の視点から「Aging」をテーマに発表をしました。発表タイトルなど詳しくは、当日のプログラムをご覧ください。発表に引き続き質疑応答が行われ、さまざまな分野で研究をする若手研究者が交流を深めることができました。

早稲田大学高等研究所は分野にとらわれない学際的な研究者を受け入れることが大きな特徴です。これまで、若手研究者の育成や先端的研究分野の開拓、海外研究者との積極的な交流等を通じて、本学の研究能力向上に寄与してきました。現在、自然科学、人文科学、社会科学および学際的領域を合せて38名の研究員が在籍し、その柔軟な発想や能力を十分に発揮し先進的な研究にとり組んでいます。今回、名古屋大学高等研究院と協力し、志や趣旨を同じくするUBIAS加盟機関との人的・学術的交流を進めることができました。高等研究所は、今後も引き続き研究教育の質を高め、優秀な人材を世界中から結集し、さらに育成・輩出できるよう努めるとともに、このような人的・学術的交流から新たな出会いや可能性が生まれることを期待しています。

高等研究所主催国際シンポジウム「エジプト文明の起源を探る:ヒエラコンポリス遺跡における近年の発掘調査」を開催しました(2018年10月13日、10月14日)

馬場 匡浩 准教授

2018年10月13日~10月14日の2日間にわたり、高等研究所主催国際シンポジウム『エジプト文明の起源を探る:ヒエラコンポリス遺跡における近年の発掘調査』を開催しました。当シンポジウムには、文科省事業「スーパーグローバル大学創成支援(SGU)」の助成により、3名の海外研究者を登壇者として招聘することができました。

エジプトの王朝時代は、ファラオが君臨する紀元前3100年頃にはじまりますが、それ以前の先王朝時代(紀元前4000年紀)に、文明形成に向けて社会が大きく変化していました。その時代につくられた都市がヒエラコンポリスであり、最大規模を誇る遺跡です。これまでの歴史観では、その時代に支配者が存在したことを示す考古学的証拠はありませんでしたが、近年、それを大きく塗り変える発見が相次いでいます。当シンポジウムでは、ヒエラコンポリス遺跡の発掘調査成果をレポートしましたので、その概要をお伝えいたします。

「ファラオの起源を求めて:支配者墓地を発掘する」レネ・フリードマン(オックスフォード大学)

砂漠の奥地に隔離された「支配者墓地」では、支配者の巨大墓、それを取り巻く附属墓、神殿を彷彿させる儀礼施設などが発見され、ヒエラコンポリスでは社会的格差がすでに生じていたことが明らかになりました。ファラオの墓でも附属墓が取り囲んでいることから、その墓制の起源はヒエラコンポリスにあると言えます。

現地で発掘調査をする馬場准教授

「支配者が愛したビールの醸造」馬場匡浩(早稲田大学)

支配者墓地近郊の生産地区では、ビール醸造施設などが発見されました。注目すべきは、一度に300リットルものビールを醸造できる大規模生産施設で、これは世界最古の大規模ビール工房です。支配者墓地における儀礼にビールが大量に必要だったのでしょう。後の王朝時代の神殿では神にビールが捧げられましたが、その神殿儀礼の源流がこの時代にあったのです。

「支配者に捧げられた動物たち」ウィム・ヴァン・ニール(ベルギー王立自然史博物館)

支配者墓地の附属墓には、多種多様な野生動物が含まれます。カバ、ワニ、ヒョウ、ゾウなどです。共通する特徴が、骨折して治癒した痕跡です。つまり捕らえられた後、一定期間飼われていたのです。特殊で捕まえるのが難しい動物を所有することが権力と富の誇示であったのでしょう。

「支配者に捧げるモノづくり」長屋憲慶(福井県年縞博物館)

支配者は特徴的なナイフ形石器を持っていました。復元実験により、その製作に膨大な時間がかかることが分かりました。つまり、支配者たちは権力を誇示するモノづくりに特化した職人集団を抱えていたのです。ファラオにも職人集団がおり、その伝統の起源がここにあると言えます。

「ファラオとなった支配者」リアム・マクナマラ(オックスフォード大学)

ヒエラコンポリスでは、王朝時代になるとネケンと呼ばれる町が形成されます。そこでは最初期のファラオの品々が発見されました。これらを詳しく調べると、祝祭などに使われたアイテムや王の彫像など、王権を視覚的に人々に知らしめるためのモノでした。このように、王権の成立に関わる全てが、このヒエラコンポリスの時代に始まると言えます。

現地のスタッフとの発掘作業

当日は、研究者、学生、一般の方々あわせて二日間で180人ほどご来場いただき、盛会のうちに終えることができました。来場者の方々、早稲田大学の国際部、そして開催をバックアップしていただいた高等研究所スタッフの方々に御礼申し上げます。

 

インフォメーション

WIASでは国際的に活躍する優れた研究者を海外から招聘し、本学研究者との学術的交流やセミナー等を通じて、 本学の研究活動の活性化に寄与しています。詳しくはこちら

訪問研究員

  • 2018年12月1日~2018年12月31日 BARISIONE, Mauro, Professor, University of Milan, Department of Social and Political Sciences (イタリア)
  • 2019年1月7日~2019年2月7日 PEREZ-CASTRILLO, David, Professor, Autonomous University of Barcelona, Department of Economics (スペイン)
  • 2019年1月10日~2019年2月9日 SERPER, Zvika, Professor, Tel Aviv University, Yolanda and David Katz Faculty of the Arts (イスラエル)

訪問学者

  • 2018年10月1日~2018年11月30日 林雪云, 講師, 福建師範大学福清分校 文化伝媒与法律学院(中国)
  • 2018年11月1日~2018年12月13日 HANLEY, Keith Adrian, Professor, Lancaster University, Department of English and Creative Writing (英国)
  • 2018年12月3日~2019年1月31日 ARNOLD, Richard, Associate Professor, Victoria University of Wellington, School of Mathematics and Statistics (ニュージーランド)

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