Waseda Institute for Advanced Study (WIAS)早稲田大学 高等研究所

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Newsletter Vol. 12(2016年春号)

研究者紹介

高等研究所では、2016年度に12名の所員を新しく迎えました。各所員より研究内容を簡単にご紹介します。

大槻 一統 紛争・暴力と政治制度の相互作用をゲーム理論、観察データ(統計)、及び実験を用いて研究しています。戦争を長期的な政治過程の一部と捉え、(戦勝国による占領政策を含む)戦争に起因する政治制度の変化や、戦後社会の荒廃と復興のあり方が決定されるメカニズムの解明を試みています。
川名 雄一郎 人間の「性格」に対する関心は古くからのものですが、19世紀ヨーロッパでは人間の性格の特質や形成を科学的に理解しようとする興味深い試みがいくつか現れました。この「性格の科学」という知的現象や、それを生み出した19世紀ヨーロッパ社会のあり方に関心をもっています。
シェン メンファン I conduct applied microeconomics research in education, health, and political economy. My expertise is to identify causal relationship using quasi-experiment and randomized control trials. Currently, I am interested in understanding how to reduce black-white achievement gaps in the United States, how to improve the education outcomes in China, and the social and economic return to political connection in China.
杉目 恒志 カーボンナノチューブ(CNT)は微細化可能性、高い電気伝導性や生体適合性など優れた特性を有し、幅広い応用が期待されています。一方で応用例は極めて限定的で、その理由としてCNTの集合体の構造制御が困難であることが挙げられます。本研究では、基板に高密度に垂直配向成長している「フォレスト」に着目し、その構造制御と応用を目指しています。
相馬 拓也 生態人類学/ヒューマン・エコロジーの理論と手法で、人類の極限環境下での適応と生存戦略の研究をしています。おもにモンゴル高原、アルタイ山脈、中央アジアなどのユーラシア草原世界で暮らす遊牧民(とくにモンゴル人とカザフ人)が数千年にわたり連綿と続けてきた生存戦略と減災術の伝統知や環境共生観を、フィールドワークにもとづく実証的解明を試みています。
ツーファール・フレデリケ The purpose of my research is to clarify the conditions as well as the limits of sovereignty and international jurisdiction with respect to conflicting national Internet regulation. More specifically, it examines connecting criteria or genuine links used by national Internet regulation regimes to establish international jurisdiction.
西岡 佑一郎 後期更新世末(最終氷期最寒冷期)から完新世の初頭にかけて劇的な環境変化と動物相の変化が起きたとされていますが、日本にもこの時代を境に絶滅した哺乳類が数多くいます。このような環境変化に伴った哺乳類の絶滅プロセスと残存種の形態適応について、哺乳類化石の発掘調査や博物館調査をもとに研究しています。
馬場 匡浩 古代エジプト文明の形成について研究しています。ファラオを頂点とする国家の形成過程(社会の複雑化)はこれまで不明でしたが、現在発掘調査を進めるヒエラコンポリス遺跡では、その具体像を知り得る資料が発見されています。これら考古資料を総合的に分析するため、形質人類学や動物・植物考古学との学際的研究を進めていきます。
藤枝 俊宣 本研究では、プリンテッドエレクトロニクスと高分子ナノシートを組み合わせることで、生体組織に貼付して作動可能な電子回路や無線通信技術を開発します。生体外からの情報管理が実現できれば、電子カルテとしてだけでなく、災害時のトリアージタグや埋込型医療機器への応用も見込まれます。来るべき再生医療社会に備え、移植手術、在宅療養、社会復帰後まで一貫して健康情報を管理するソフトエレクトロニクスの創成を目指します。
藤原 誠 私の専門は数学基礎論です。構成的数学の発端は20世紀初頭のブラウワーの直観主義数学ですが、現代では通常の数学と矛盾しないビショップ流の構成的数学が主流となっています。私は、論理結合子の構成的解釈であるBHK解釈を「構成」の意味と捉え、直観主義数学の公理化を目的に20世紀前半に導入された直観主義論理と弱い論理原理を用いて現代的な構成的数学に数学的基礎付けを与えることを目指しています。
森 新之介 専門は摂関院政期(平安時代後期~鎌倉時代初期)の日本思想史で、最近は漢学に着目しています。この時期の思想史というと、従来は仏教中心で叙述され、漢学については殆んど顧みられずにきました。当時の漢学思想とはどのようなもので、どのような意義があり、そして何故これまで見過ごされてきたのか、といった問題に関心があります。
渡部 洋 固体中で電子のクーロン相互作用と水素の運動がもたらす興味深い現象を理論的に研究しています。具体的には超伝導、磁性、金属・絶縁体転移のメカニズムを明らかにし、さらに新奇で有用な現象を予言、提案することを目指します。また、主に化学の領域で発展してきた分子性固体の研究に物理学の知見を導入することで、領域横断的な研究を促進していきます。

活動紹介

UBIAS国際学術セミナー参加報告「名古屋ワークショップについて」
(2016年3月7日~3月18日)

この度のワークショップは、2015年4月にブラジル、サンパウロ大学で開催されたUBIAS国際学術セミナーの続編にあたる。引き続き「時間」(TIME)をテーマとして、およそ二週間にわたり、様々な学問分野の観点から学術講演ならびに議論が展開された。 名古屋ワークショップの一番の特徴は、何といっても、初日にノーベル賞を受賞した研究者たちの講演が開催されたことだった。益川敏英氏や野依良治氏など、世界的にも著名な研究者の生の声が聴けるとあって、参加者たちの事前の期待は高かった。印象に残ったのは、理論物理学を専門とする益川博士が、哲学の勉強の重要性を力説していたことである。 「時間」に関する学術講演と並行して名古屋ワークショップで設けられていたのは、高等研究、もしくは高等研究所の意義と展望、また学際的な研究が今日なぜ注目され、必要とされているのかといった、学術研究を推進していくうえでのポリシーに関する、また別のタイプの講演であった。そして参加者全員が、こうしたテーマに関して意見を共有するための総合ディスカッションの時間が存在した。

ワークショップ中日にあたる3月14日に開催された早稲田大学におけるイベントを終え、名古屋に戻ってからは、サンパウロならびに名古屋ワークショップの最終目標であるムーク(※1)(MOOC)の制作のために、コンテンツの構成について議論を重ね、台本の執筆に専念し、その成果を3月18日午前の成果報告会で発表した。 この他、名古屋ワークショップでは、日本文化や歴史の紹介、体験プログラムが充実していた。珍しい各種日本食の賞味、座禅や茶道の体験、トヨタや徳川家ゆかりの品々を展示する博物館の訪問など、外国人参加者にとっては、日本を知るための格別の機会となった。 サンパウロにおいてと同様に、今回の名古屋ワークショップの様子も、動画や写真としてインターネット上にアップロードされ、自由に視聴・閲覧できる(※2)。

「早稲田ワークショップについて(2016年3月14日)」はこちら
早稲田大学高等研究所 助教 武田和久(上記ワークショップ開催当時)
※2016年4月1日より、明治大学政治経済学部専任講師

※1 オンライン教材Massive Open Online Courseの略号。2012年4月にスタンフォード大学のコンピュータサイエンスを専門とする研究者によって創設された教育団体コーセラ(Coursera)やその他多数のプラットフォームが提供している。
※2 http://intercontinental-academia.ubias.net/nagoya

インフォメーション

訪問研究者

WIASでは国際的に活躍する優れた研究者を海外から招聘し、本学研究者との学術的交流やセミナー等を通じて、 本学の研究活動の活性化に寄与しています。
> 詳しくはこちら
2016年6月6日~2016年7月6日 MURPHY-SHIGEMATSU, Stephen: Professor, Stanford University(アメリカ)
2016年6月15日~2016年7月15日 GROVER FRIEDLANDER, Michal: Associate Professor, Tel Aviv University (イスラエル)
2016年11月1日~2016年11月30日 STAROBINSKY, Alexei A.: 主任研究員, ロシア科学アカデミー(ロシア)

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