活動紹介
月例研究会「大人数講義をもっと魅力的にする30の技法」(2015年3月13日)
3月13日の月例研究会は、「大人数講義をもっと魅力的にする30の技法」をテーマに、大阪大学教育学習支援センター副センター長の佐藤浩章准教授にご講演いただきました。
対象者を大学での授業担当経験者、または授業担当予定者とし、Waseda-net Portalや教員室への掲示等により周知を行った結果、当日は、当研究所研究員のほか、早稲田キャンパス内の他の学術院から、教授、准教授、非常勤講師の方々の出席がありました。 教育技法の中でも最も難度が高いと言われる大人数の講義法について、まずは大人数講義の特殊性についていくつかのデータを元に理解を深めた後、誰にでも実践が可能な30の授業技法をご紹介いただきました。参加者はグループワークで技法の確認や意見交換を行い、講演後の質疑応答も活発に行われました。
【アンケートより】
- どのお話も具体的でエビデンスに基づいたものであり、有意義なものでした。自分の体験に基づいて行っていた技法もありましたが、全く新しい示唆もありました。
- とても役立つ情報を教えていただき、大変参考になった。2時間があっという間だった。
- 大人数の学生を対象とした授業に関しては、誰しも似たような悩みを抱えていると思うが、この度の講演会では、役立つ話がいくつも聴けた。授業をする際に、実際に使ってみたい方法があったから、試してみたい。
研究者紹介
義務教育における学校間格差
月例研究会の要旨やMonthly Spotlightでまとめられているように、どのように出身家庭の社会経済的地位が教育達成の差異に繋がるのか——教育を通した社会的不平等再生産メカニズムの実証的検討です。
児童・生徒、保護者、教育制度などを主な研究対象にしているのですが、最近の論文では、教師について分析しました。データは、OECDが行っている国際教員指導環境調査(TALIS:Teaching and Learning International Survey)で、抽出された192の中学校の校長、それに3484人の教師の回答に基づいています。教員の病気休職者の増加などが指摘されていることから、退職などに繋がるとされる職務満足度の規定要因を、学校と教員それぞれの水準を考慮したマルチレベル媒介モデルによって分析しました。
その結果、(1)教員個人間だけではなく学校間にも職務満足度の差異があること、(2)勤務校の生徒の社会経済的地位水準が、各校の生徒の問題行動の多寡と関連し、この問題行動の頻度が、学校間の教員満足度を左右していること、(3)学校水準の社会経済的地位が高いと、教師の自己効力感と職務満足度の関連度合いが高いことがわかりました。換言すると、他国と比較して平等主義的であるとされる日本の義務教育において、学校間で教員の職務満足度に差があり、社会経済的地位を土台とした生徒の問題行動が少ないと学校間の教員満足度は高い(問題行動が多いと満足度は低い)傾向にあり、学校の社会経済的地位が高いと教員として効力を発揮できているという感覚が満足度と繋がり易い(社会経済的地位が低いと自己効力感と満足度が繋がりづらい)——学校間の職務満足度格差とその生成メカニズムの一端が実証的に示されたことになります。今後も大規模データの分析を通して、教育不平等に関する実証的知見の蓄積に貢献できればと思います。
プロジェクト紹介
Top Runners’ Lecture Collection of Science(自然科学分野)
自然科学分野の高等研究所所員が、各領域の先端を行く研究者を招いてのセミナーを企画しています。
2014年度に4回行われたセミナーのうち、ここでは、アレルギーに関する研究会と、第3回宇宙シンポジウムを紹介します。
2014年11月14日(金)
アレルギーと概日時計
企画者:折原 芳波 助教
山梨大学の中尾篤人先生をお招きして、生命科学一般レベルでのご講演をいただきました。参加者は先進理工学研究科のメンバーの他、東京女子医科大学、国立成育医療研究センターおよび高等研究所からの参加者もあり、終始和やかな雰囲気で会を進めることができました。これまでにご発表のマスト細胞や好塩基球のデータに加え、未発表のエピジェネティクスのデータもご紹介いただき、時計、アレルギーの各専門家、医師、一般生命系研究者、学生が、それぞれのレベルでメッセージを受け止められる講演会でした。
> 詳しくはこちら
2014年11月28日(金)
宇宙のインフレーションの背後にある物理を探る
企画者:水野 俊太郎 助教
宇宙のインフレーションはビッグバン宇宙論の初期条件の問題を解決する非常に魅力的なシナリオですが、その背景となっている物理についてはまだ完全に解明されていません。 第3回宇宙シンポジウムでは、宇宙のインフレーションに関する研究の現状の理解と今後の研究の方向性を探るため、小松英一郎氏(マックスプランク宇宙物理学研究所所長)と山口昌英氏(東京工業大学准教授)の2人を招待し、それぞれ観測・理論の2つの視点から講演をしていただきました。
> 詳しくはこちら
インフォメーション
訪問研究者
高等研究所では国際的に活躍する優れた研究者を海外から招聘し、本学研究者との学術的交流やセミナー等を通じて、 本学の研究活動の活性化に寄与しています。
> 詳しくはこちら
2014年11月15日〜 2014年12月15日 |
LIND, Jennifer:Department of Government, Dartmouth College (New Hampshire, USA) |
2015年3月16日〜 2015年4月14日 |
FIELD, Jeremy:Professor, School of Life Sciences, University of Sussex(UK) |
2015年4月1日〜 2015年4月30日 |
ZHU, Ning:Professor of Finance (with tenure), Deputy Director, Shanghai Advanced Institute of Finance, Shanghai Jiao Tong University(中国) |
2015年6月1日〜 2015年6月30日 |
GORDON, Andrew:Lee and Juliet Folger Fund Professor of History, Harvard University(USA) |
ご意見、ご感想をお待ちしています。 下記発行元まで、お寄せください。
早稲田大学高等研究所
〒169-8050
東京都新宿区西早稲田1-6-1
URL:www.waseda.jp/inst/wias/
TEL:03-5286-2460
FAX:03-5286-2470
E-mail:[email protected]