高等研究所セミナーシリーズ
【ポスト・コロナ時代のグローバル・ヒストリー研究】講演会:
「人と土地との関係から考える日欧中世社会―比較荘園制論の再構築へー」(2/28)
趣旨
戦後の日本中世史研究において、荘園は在地領主の活動の舞台として注目され、研究の進展とともに、荘園こそが中世社会を特徴づける存在として定着してきた。日本史上の時代区分についても、従来は鎌倉幕府の成立を中世の始点とする見方が長らく主流であったが、荘園の新設が進む院政期を起点とする見方が提起・受容され、また20世紀末~21世紀初頭には立荘論や室町期荘園制論が展開されたことで、中世を一貫して「荘園制の時代」として見通すことも可能となった。
他方、こうした研究の著しい進展に対し、日本中世の荘園制を人類史上にどう位置づけるかについては未だ明瞭とは言いがたい。戦前期の研究において、荘園は日欧封建制比較の舞台とされていたが、研究の動機がナショナリズムと無縁でなかったことへの批判や研究の著しい精緻化により、比較史の視点は後退した。一方で、中世文書の比較や海外研究者との交流は継続的に行われてきた。戦後80年にわたる荘園研究の蓄積を経て、改めて比較史の視座から日欧中世の荘園(制)を問い直す意義は大きい。
本シンポジウムでは、日本と西洋における「荘園」という概念や制度を直接比較するのではなく、「人々はいかに土地に向き合っていたのか」「領主にとっての領地とは何か」という視点から、荘園という空間の普遍性、地域的な特質を捉え直す第一歩としたい。
登壇者
甚野 尚志(早稲田大学 文学学術院 教授)
海老澤 衷(早稲田大学 名誉教授)
赤松 秀亮(別府大学 文学部 史学・文化財学科 准教授)
遠藤 基郎(東京大学 史料編纂所 古文書・古記録部門 教授)
丹下 栄(熊本大学 名誉教授)
下村 周太郎(早稲田大学 文学学術院 准教授)
日 時
2026年2月28日(土)13:30~17:30
会場
オンライン(Zoom)※要事前登録
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プログラム
13:30~14:10 趣旨説明・講演1:日本におけるフランス中世史研究受容の波ーマルク・ブロックを中心にして-(海老澤 衷)
14:10~14:50 講演2:「荘園」という空間から見る人と土地の関係―日欧中世荘園の比較研究に向けて―(赤松秀亮)
14:50~15:30 講演3:東大寺領黒田荘史料のモザイク構造-多様な伝来関係ー(遠藤基郎)
15:30~15:45 休憩
15:45~16:05 コメント1:西欧中世荘園の一局面―農民社会論の視点からー(丹下栄)
16:05~16:25 コメント2:日本古代中世における墓と大土地所有 ―栄山寺を中心に―(下村周太郎)
16:25~16:45 コメント3:日欧比較荘園制研究の可能性―朝河貫一の研究からー(甚野尚志)
16:45~17:30 質疑応答
対 象
学部生、大学院生、教員、研究者、一般
主 催
早稲田大学 高等研究所
共 催
早稲田大学 総合人文科学研究センター「トランスナショナル社会と日本文化」
申込み
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チラシ









