Waseda Weekly早稲田ウィークリー

News

ニュース

日本最大英語弁論大会への出場と運営 語学学習を通じて切り開かれた世界

「言語を学ぶことそのものが好き」

国際教養学部 3年 谷口 愛佳(たにぐち・あいか)

幼稚園から英会話教室に通い、中学2年生で日本最大の英語弁論大会である「高円宮杯全日本中学校英語弁論大会」の香川県大会で最優秀賞を受賞し、全国大会に出場した谷口愛佳さん。大学生になってからは、同大会を主催する日本学生協会基金(※)に所属し、運営側として大会に携わり、自身が大会に出場して得たかけがえのない経験を次世代にもつなげていきたいと話します。英語との出合いや英語を身に付けるまでの苦労、大会運営に携わることになったきっかけ、自身の留学など、語学を通じて広がりを見せてきた谷口さんの「世界」について聞きました。

(※)大学生で構成される非営利団体。事務局は読売新聞東京本社内にあり、英語教育に関する事業を行っている。

――中学生のとき、英語弁論大会に出場しようと思ったきっかけは何ですか?

地元、香川県で小学2年生から高校3年生までの11年間、ネーティブの先生が教えている英会話教室に通っていました。3歳年上の兄が先に英語弁論大会に出場していて、その応援に行った際に「英語で話している姿がかっこいい! 」と思い、自分もチャレンジしたくなったのが出場のきっかけです。

――その後、香川県大会を突破し、全国大会に出場。そのときのことを教えてください。

大会スピーチ中の写真。5分間のスピーチの中で最大限の実力を発揮するために、表情やアイコンタクト、抑揚、間の取り方なども工夫したそう

大会に向けて、たくさん練習しました。帰国子女でもなく留学経験もなかったので、発音が「日本人っぽく」なってしまうところやリズムが悪いことを克服するのに、すごく時間が掛かりました。スピーチ練習の録音を聞くと、自分のイメージする発音と全く違っていて「ああ、だめだ」と絶望することもしばしば。それを克服するために、著名人が英語でスピーチしているYouTube動画を見ることや、自分の書いた原稿を1~2時間ずっと発音するといった練習は毎日欠かさずしていました。それから、大会の審査員はうなずいて聞いてくれる人から表情を変えない人までさまざまなので、何があっても動じずにスピーチできるように、母や兄に怖い顔の審査員役をしてもらいながら練習をしていました(笑)。

大会というと、出場者同士がピリピリしている関係をイメージするかもしれませんが、全くそのような感じではなく、全国から英語好きの仲間が集まったような雰囲気で、お互いが交流する時間もたくさんありました。出場者は同じ部屋に宿泊し、そこで出会った友人とは今でも連絡を取り合っています。全国大会に出場するために自分と同じように努力してきた人たちと大会で出会うことで、当時中学生だった私の人生は大きく変わりました。

――それでは、早稲田の国際教養学部に進学した理由を教えてください。また、実際に入学してみてどうでしたか?

まさに全国大会で出会った仲間に刺激を受けたことがきっかけです。仲間の中には、外国で働きたい夢を持つ人や、英語だけでなくさまざまな分野の勉強や部活動に励む人がいて、そのときに初めて、地元を離れてたくさんの人が集まる東京に行ってみたいと思うようになりました。また、全国大会では、自分より英語が上手な子はたくさんいる、上には上がいるんだということを実感したので、もっと英語力を伸ばしたいと思ったことも進学を目指した理由です。全ての授業が英語で行われる学部に行くのはチャレンジングで不安もたくさんありましたが、厳しい環境でも頑張って自分を成長させたかったんです。

入学当初は、分からない単語が多いし、ネーティブの話す速さについていけなくて、何度も挫折しかけました。ですが、分からないことを恥ずかしく思うのではなく、さらけ出し、周りに聞くようになったことが転機でした。隣の席の子にも先生にも、分からないことをどんどん質問することで徐々に授業についていけるようになりました。ディスカッションの時間も、初めは自分の意見を英語で表現するのが難しく苦手だったのですが、少し余裕が生まれると、資料を事前に読んだ上でディスカッションの準備ができるようになり、前向きに取り組めるようになりました。

――大学入学後、一転して英語弁論大会を運営する側に回ったきっかけと、実際に運営側を経験してみて気付いた点はありますか?

手袋と帽子を着用し、大会の名誉総裁である高円宮妃久子殿下をお出迎えする谷口さん。

大会を運営している日本学生協会基金には制服があるのですが、その制服を着て会場の警備や誘導をしたり、大会の時に英語で司会したりするのも全て学生なんです。中学生のとき弁論大会に出場した際、その制服を着て大会を運営している姿に憧れを抱いて、かっこいい! と思いました。当時運営していた学生の人に「どうやったらお兄さんお姉さんみたいになれますか?」と聞いたら、大学生のボランティア団体であることを教えてくれたので、大学1年生の時に入会を申し込みました。

出場者としての経験があるからこそ、今の出場者の思いに寄り添うことができるのが私の強みだと感じています。私が出場したときに出会った友人は今もかけがえのない存在です。英語を通じてできたつながりを、今の出場者の皆さんにも築いていってほしいと思っています。しかし、昨年はまだ新型コロナウイルス感染症の影響で、最後の決勝大会以外はビデオ審査だったため、リアルな交流の機会がほとんどなくものすごくかわいそうでした。そこで、とにかく出場者同士の交流を生み出そうと、出場者だけのオンラインミーティングルームを作ったり、メーリングリストを用意したりと、みんなが交流を深められる企画を考えました。

大会に出場する中学生に、ステージへの上がり方やスピーチの始め方などの流れを説明しているところ

――現在、韓国の高麗大学に留学中とのことですが、英語圏ではない留学先を選んだ理由は何ですか?

日本人は英語があまり得意ではないとよくいわれますが、同じアジア人でも韓国人はすごく英語が得意と聞いていて、実際にTOEFLの平均点は日本人よりも韓国人の方が高いという記事を読んだこともありました。日本語と韓国語は文法が似ていて、英語とは異なる文法であることは一緒なのに、どうしてそこに差が生まれるんだろうと思い、実際に韓国に行って、英語の勉強法に違いがあるのかなどを調べてみたいと思ったんです。また、英語に関しては国際教養学部でも学びを深めているので別の新しい言語を勉強したいという思いもあり、高麗大学を選びました。

――実際に留学生活はどうですか?

高麗大学にはいろいろな国や地域の学生がいますが、授業は英語で行われるのでコミュニケーションは取りやすくとても楽しいです! また、「こんな文化があるんだ」とか「こんな観光名所があるんだ」と初めて知ることの連続で、新たな経験とともに自分の視野が広がりつつあることを実感しています。また、現地の方とは現地の言語で話すことが大事だと思っているため、今は韓国語を中心に勉強しているのですが、私は言語を学ぶことそのものが好きなんだということにも気が付きました。韓国に来てまだ1カ月ほどしかたっていませんが、上手ではないながらも頑張って話しているうちにどんどんコミュニケーションがとれるようになっているのがすごく楽しいです。また韓国に来て英語を母語とする方ともかなり話しましたが、英語では困ったことがないので頑張ってきて良かったなと思います。

韓国ではエイプリルフールに大学生が高校の制服や軍服を着るそう。制服がない谷口さんたち留学生はお揃いで大学のジャケットを着用

――今後はどのような進路を考えていますか?

中高のときはアナウンサーになって地元の良い所を発信できるようになりたいと思っていました。しかし、大学に進学して世の中にはもっとたくさんの仕事があることが分かり、さらに留学を通して新しい自分を発見する中で、今は海外で働くことも将来の選択肢に入りつつあります。田舎の英会話教室から始まった私の語学学習が、英語弁論大会への出場、そこでの交流と刺激、早稲田大学への進学、留学先での新しい言語への挑戦と、私の「世界」をどんどん広げることにつながっていて、自分の将来がどうなるかとてもワクワクしています。

第844回

取材・文:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
教育学部 2年 渡辺 詩乃

【プロフィール】

香川県出身。県立高松高等学校卒業。
韓国語の勉強を趣味の延長で楽しくできるという理由から、韓国の歌の歌詞を翻訳することにハマっているという谷口さん。最近翻訳した歌は「취중고백(Melomance)」。中高時代は吹奏楽部でアルトサックスを演奏。部活の演奏会と英語弁論大会の時期が被ったときには睡眠時間を削ってスピーチの練習をしていたそう。愛する地元、香川県のおすすめの場所は瀬戸内海に面した父母ヶ浜。

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/weekly/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる