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文武両道アイスダンサー・高浪歩未のひたむきな努力

「スケートあっての学問であり、学問あってのスケート。その両方があっての自分だと思っています」

スケート部
国際教養学部  4年 高浪 歩未(たかなみ・あゆみ)

フィギュアスケート・アイスダンスで活躍している高浪歩未選手。2021~2022年シーズンはカナダのトロントを拠点に練習を重ね、2021年12月の第90回全日本フィギュアスケート選手権大会・アイスダンスでは、同じスケート部の西山真瑚選手(人間科学部通信教育課程3年)とペアを組み、3位という輝かしい成績を収めました。さらに、国際教養学部では学びを深め、部活動と学業を高いレベルで両立した学生に贈られる「早稲田アスリートプログラム(WAP)」の「年間優秀学業成績個人賞」を2年連続で受賞しています。そんな高浪さんに、アイスダンスに向き合う姿勢や、学業との両立のコツなどについて聞きました。

――まずは、アイスダンスに興味を持ったきっかけを教えてください。  

小学校3年生の頃、シングルの選手としてフィギュアスケートを始めました。それから1年後くらいに、有名なアイスダンス選手の練習風景をリンクで見たときに楽しそうだなと思ったのがきっかけです。 当時はまだ幼かったので、パターンダンスというアイスダンスの基礎から学びました。

―― アイスダンスの魅力はどんなところですか?

アイスダンスはシングルとは違い、リフト(相手を持ち上げて滑る技。男性選手が女性選手を持ち上げることが多い)があります。相手に負担がかからないよう、自分で体重を支えられるようなトレーニングをしています。相手と合わせて一緒に滑らなければならない競技でもあるので、相手の動きを感じ取りながら滑るのが、難しくもあり楽しくもあります。

また、2人で演技することによって、楽しさや達成感が倍以上になるというのも一つの魅力です。信頼関係を築いてお互いに技術を磨き合った結果、ピッタリと息が合ったときにやりがいを感じます。  自分のやりやすさを優先してしまうと、相手が思うように演技できないことがあるので、お互いによく話し合うように心掛けていますね。自分のやりやすさばかりを追求せず、あえてやりづらさに向き合うことが重要だと思います。

全日本フィギュアスケート選手権大会ではスケート部の西山選手とペアを組んで出場したのですが、コロナ禍で行動制限があり、出場のため日本へ帰国した後の調整は大変でした。それでも、「さいたまスーパーアリーナ」という大きな舞台で、多くの方々の前で演技ができたのは本当に楽しかったです。オリンピック代表選手を決める白熱した試合を生で感じることができたのは、とても刺激的でした。

2021年、全日本フィギュアスケート選手権大会の練習での一枚。当時のパートナー、西山選手と(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

――アイスダンスの試合で高浪さんが気を付けていることはありますか?

試合前には必ずリンクを見ながら試合の曲を聴いて、リンクの広さや観客の人数、どこに審判員がいるかなどを考えながら自分が滑る姿をイメージしています。大きな大会に出場する資格を獲得するための重要な試合では、点数のことばかりを気にしがちになりますが、事前にイメージしておくことで自分がどういうふうに演技を見せたいのか、どうしたら観客に思いが伝わるのかというところに意識がいくようになるんです。

実際に、初めて日本代表として出場した国際試合では、ミスをしないようにと不安で一杯でしたが、まず自分たちが楽しまないと観客に思いが伝わらないと思い、やってきたことを出し切ろうと前向きな気持ちで演技に臨みました。その大会で各国の上手な選手の演技を見たことをきっかけに、もっと上手になって代表としていろんな試合に出たい、自分が見せたいスケートをさらに追求したいと思うようにもなりました。

――2022年8月までアイスダンス競技のために1年ほどカナダに在住していたと聞きましたが、どのような練習環境でしたか?

カナダのクラブでは、毎朝2~3時間アイスダンスの練習のためだけにリンクを貸し切ってくれている時間があったので、すごく充実していました。日本のホームリンクではそのように貸し切って練習できる時間が週2回しかなかったんです。

また、カナダは移民が多く、さまざまな国や地域の人が集まっているため、互いの文化や言語を知る機会が多いのが魅力でした。多様な考えや価値観を知ることで、スケート人生だけではなく、将来にも生かせるような学びがあったと感じています。

写真左:カナダでの練習(右から8人目が高浪さん)
写真右:カナダでは魚屋でアルバイトをしていた

――大学で国際教養学部を志望したのはなぜですか?

インターナショナルスクールに通っていたことや、自分の意思を外国語で伝え、グローバルに活躍したいという思いがあり、英語で講義が受けられるという点を魅力的に感じて志望しました。また、高校時代は経済学から生物学までいろいろと興味があったので、学べる分野が多岐にわたっている点も自分にぴったりだなと。そして、社会の課題にチャレンジする人材を育成するプログラムが多数用意されている学部であるということに引かれて、国際教養学部を選びました。

――2020年度、2021年度と2年続けて早稲田アスリートプログラム(WAP)の年間優秀学業成績個人賞を受賞されています。競技と学問の両立に困難は感じませんでしたか?

WAPの年間優秀学業成績個人賞を受賞した時の一枚

両立に関しては、どちらも自分が好きでしていることなので、つらいからやめたいと思った事はありません。しかし、どちらもきちんとやり切るためのマネジメントで苦労した部分は多いですね。カナダにいたときは、日本との時差の関係もあって、4時に起きてオンライン授業を受け、そのあとに朝練へ行く生活をしていた時期もあります。

大学の課題やレポートに関しては常に余裕を持って計画を立て、見直しをする時間まで確保できるように効率良く時間を使っています。試合と課題の提出が重なったときも、試合中には競技にしっかりと集中できるように、課題をいつ終わらせれば良いかを考えるようにしていました。スケートがあっての学問であり、学問があってのスケートなので、両方があっての自分だと思っています。 

――今後の目標について教えてください。

まずはアイスダンスでの新しいパートナーを見つけたいです。そして、観客の皆さんの前で印象に残るような演技をして、日本の代表として認めてもらえるようなアイスダンサーになりたいです。

また、卒業後は国境を超えて社会の課題解決にチャレンジして人々を幸せにしたいと思っています。コーチや家族をはじめ、スケートを通じて知り合った世界中の友人たちや多くの人に助けられ、私はスケートを続けることができました。今度は私が恩返しをしたいと思ったのがきっかけで、一人でも多くの人を笑顔にできる人になれるよう、日々努力していきたいと考えています。

新型コロナウイルス感染症の影響で緊急事態宣言が出たときには、実際に自分でボランティア活動団体を立ち上げたこともありました。学校が休校になって学習ができない子どもたちがいるというニュースを目にし、無料で英語を教えるボランティア活動を行ったんです。対象が小学生だったので、集中力をどう維持させるかが課題だったのですが、他のメンバーとアイデアを出し合い、活動を進めていきました。  

ボランティアで英語を教える様子。オンラインで行い、英語で歌を歌ったりクイズを出したりと工夫を重ねた

そのような経験を通して、自分の目標を達成するためには、いろいろな知識を得ることが必要だと感じました。世界中の人々を笑顔にできる存在に少しでも近づきたいという思いがあるので、スケートだけではなく、これからもボランティア活動など、さまざまなことに携わり、地域や世界に少しでも貢献できたらと考えています。

第826回

取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
文化構想学部 2年 田邊 紗彩

スケート部のジャージを着た一枚

【プロフィール】

東京都出身。ケイ・インターナショナルスクール東京卒業。練習の一環として、アイスダンス以外にヒップホップやバレエ、ピラティスにも取り組んでいる。また、カナダのホームステイ先ではタコライスなど、よく自炊していたそう。2022年秋学期は日本で対面の授業を受けるため、キャンパスライフを楽しみにしている。国際教養学部以外の授業も受講し、興味のあるビジネスや生物学の分野で自身の学びを深めていきたいと話す。

Twitter:@ayu_ayusk8

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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