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他人の「生理のつらさ」にどう向き合えばよいか?

保健センター戸山分室 保健師 南(みなみ)

生理・生理用品について描いたインド映画が話題になるなど、生理に関連した情報を目にすることが多くなったとはいえ、生理についてしっかりと学ぶ機会はほとんどないかと思います。

生理とは?

生理は医学用語では「月経」といい、血液組織でできた子宮内膜が剥がれ落ち、体外に排出されることをいいます。約1カ月に1回、卵巣から排卵されると同時に、子宮の内側を覆っている子宮内膜が徐々に厚くなっていき、妊娠する(受精卵を受け止め育てる)準備をします。妊娠が成立しなければ子宮内膜は不要になるので、剝がれ落ち、3~7日間かけて体外に排出されます。生理終了後にまた新しい内膜が作られ始めます。

1カ月の半分以上が体調不良!?

生理が始まった日から次の生理が始まる前日までの間隔のことを「生理周期」と呼びます。25~38日間が正常範囲で、複数のホルモンにより調節されています。生理周期は四つのフェーズに分けられ、生理周期に伴う心身の変化があります(下図参照)。

生理中は、子宮を収縮させて子宮内膜を排出させるので、腹痛が起き、頭痛や吐き気を伴うこともあります。出血もしているので、貧血によるめまいなどを起こすことも。また生理前にある黄体期のフェーズでは、PMS(premenstrual syndrome: 月経前症候群)と呼ばれる3~10日間続く体調不良があります。症状は、情緒不安定、過食、頭痛などさまざまで、生理が始まれば消失または軽快します。このように、長い人は1カ月の半分以上の間、体調不良が続くこともあります。

生理周期における各フェーズの名称と心身の変化(図:筆者作成)

症状は個人差が大きい

日本では、生理のある方のうち約7~8割が何らかの症状があるといわれていますが、何も感じない人から救急車で運ばれる人もいるなど、その症状の種類や程度は人それぞれです。症状を我慢したり放置したりせず、積極的にケアすることが大切になってきており、鎮痛剤や低用量ピルなどを内服し、症状をコントロールしながら生活している人もいます。

生理が社会問題にも

生理の不調による個人や社会全体の経済的損失が試算されたり、「生理の貧困」がニュースにとりあげられるなど、生理に付随する問題は、社会的な問題になってきています。早稲田大学では、生理のある方の負担を軽減するべく、生理用ナプキンの無料提供サービスを導入しました。オブラートに包みたい話題と感じる方もいるかもしれませんが、まず知ることで自分や身近な人の体調の変化に気付き、具合の悪い人がいれば思いやり、いたわることができるようになりたいですね。

【参考文献】
『生理ちゃん』小山健著(KADOKAWA、2018年)
『女子も!男子も! 生理を知ろう』(全3巻) 宋美玄監修(汐文社、2020年)

 

「生理のある人=女性」ではない
GSセンター 専門職員 向坂 あかね(こうさか・あかね)

生理は「“シスジェンダー(※1)女性” 特有のもの」であると考えられがちですが、その認識は正しくありません。月経が起こる仕組みを作る内生殖器などを持つ、生理のある人なら、性自認が女性、Xジェンダー/ノンバイナリー(※2)、男性であるかどうかにかかわらず生理を経験します。「生理=女性の問題」という決めつけによって排除され、必要な情報やリソースにアクセスできなくなる人がいることを理解し、生理にまつわる取り組みをより包括的なものにしてはいかがでしょうか。

(※1)性自認と出生時に割り当てられた性が一致している人。
(※2)男性/女性いずれかの性自認を持たない人。

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