学生時代の居場所について考えてみたい。レイ・オルデンバーグの著書『サードプレイス』(みすず書房)の中で、第一の家と第二の学校(社会人であれば第二は職場)の他に、第三の場所のことを「サードプレイス」として、さまざまなバリエーションが紹介されている。居心地の良い公共空間あるいは商業空間などの中に、人々と交流したり、交流はせずとも一人で過ごしたり、家庭や学校・職場での役割から解放されたサードプレイスを持つことが、個人にとっても社会にとっても重要であることが説かれている。
私たちは今、新型コロナウイルス感染症の影響で、公共あるいは商業空間が閉鎖されたり、時間短縮されたこともあり、サードプレイスを持たない生活を余儀なくしている人も多いだろう。とても難しい状況だ。しかし、社会で働く前の貴重な学生時代、家と学校の往復だけではやはりもったいない。第三の場所での出会いや経験から人生を大きく左右するものを得ることもある。今では感染対策はどこも十分に注意している(はずである)。常に変化する「今」をきちんと把握し見極める事、社会のルールを守って行動する事が、大人として社会に出る一歩手前に身を置く、学生の大切な義務である。そういったことをよく確認し、あなたのサードプレイスを見つけてほしい。
(TH)
第1116回