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コロナは文化を育てるか?

ワクチン接種が進みつつあるとはいえ、まだ新型コロナウイルス感染症の収束は見えない。しばらくは多くの大学で、オンラインと対面授業との併用が予測される。一方で、学会はオンライン開催が一般化している。対面ではない弊害も多いが、地方や海外在住の研究者からオンラインゆえに久しぶりに出席できたという声を聞く。育児や介護に追われる研究者にとってもオンラインは出席しやすい形態だろう。今後コロナが沈静化し対面開催となっても、オンラインとの併用を考える学会は少なくないのではないか。

ところで、引きこもりを強いる生活は平安時代の貴族の「物忌み」を連想させるという新聞記事を読んだ。期間が限られる「物忌み」とコロナ禍の生活は根本的に異なるが、穢(けが)れや災いから身を守るために家にこもる生活は、アフターコロナの生活と重なる部分がありそうだ。当時は天然痘などの伝染病が猛威を振るったが、現在のステイホームから見れば「物忌み」は迷信ではなく、もともとは理にかなった自衛手段であったような気もしてくる。『枕草子』の「つれづれなるもの」段に、「所さりたる物忌み」という一節がある。これは、自宅以外で物忌みにこもることをいうようだが、物忌みは平安貴族にとっても「つれづれなるもの」すなわち退屈で無聊(ぶりょう)なものだったのだ。そして、孤独な「つれづれなる」時間が平安貴族の内省的な思考を育て、豊かな文学や文化を生む源泉になったとする見方がある。一理あるだろう。コロナ禍の中でICTが急速に一般化したが、「人の心」は、「文化」はどうなったのか、どうなるのか、とても気になる。

(F)

第1107回

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