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第二外国語で学び始めた中国語で世界大会へ 偶然をチャンスに変えた早大生

「語学習得の極意は『兴趣是最好的老师(好きこそものの上手なれ)』」

社会科学部 4年 鷹居 知樹(たかい・ともき)

「全日本大学生中国語スピーチコンテスト」と「『漢語橋』世界大学生中国語コンテスト決勝大会」で使用した中国の伝統衣装、长袍(チャンパオ)を着ている鷹居さん

大学の第二外国語の授業を通して初めて中国語に触れ、3年生のときに中国・遼寧省にある大連の遼寧師範大学に半年間留学をして中国語を習得した鷹居さん。その後、中国語スピーチコンテストに積極的に参加し、「第38回全日本中国語スピーチコンテスト東京大会」で優秀賞、「第2回全日本大学生中国語スピーチコンテスト」で特等賞、「第20回『漢語橋』世界大学生中国語コンテスト全日本決勝大会」では1等賞を受賞しました。現在は中国の大学院への進学を考えているという鷹居さんに、受賞時の心境や中国語の勉強法、今後の目標について話を聞きました。

――今年5月の「全日本大学生中国語スピーチコンテスト」特等賞受賞と7月の「『漢語橋』世界大学生中国語コンテスト決勝大会」1等賞受賞おめでとうございます。まずは、これらの大会について教えてください。

ありがとうございます。第二外国語で中国語を始めた僕が、まさか日本代表として「漢語橋」の世界大会に出場できるとは思っていなかったので驚きとうれしさでいっぱいです。多くの中国語コンテストが開催されていますが、この二つの大会は大学の先生が推薦した学生しか出場できないため、ハイレベルな戦いが繰り広げられます。また、中国文化への理解を深めることも大会開催の目的の一つなので、語学力だけでなくいかに中国のことを知っているかも勝負のポイントとなります。なので出場者の「中国愛」も半端じゃありません。今回は予選大会を勝ち抜いた17人の大学生が全日本大会で中国文化に関連した特技をオンラインで披露しました。僕は「哭笑不得(泣くに泣けず笑うに笑えず)」というテーマの单口相声(中国版落語)を披露。子どもに「怒る、憤怒、狂う、泣くに泣けず笑うに笑えない」の4つの言葉の意味を聞かれたお父さんが、実際に見知らぬ人に電話をかけて面白おかしく説明するというものです。中国の落語や漫才は各地の訛(なま)りや方言を織り交ぜて演じる場合が多いため、僕は北京や東北地方の訛りを意識して大会に挑みました。

『漢語橋』世界大学生中国語コンテスト全日本決勝大会で披露した单口相声(中国版落語)の様子

――中国語を勉強し始めたきっかけを教えてください。

大学1年生のときに、必修の教養外国語として履修したのが最初です。どの言語を選択しようか悩んでいたところ、高校時代の友達が僕に中国語を勧めてくれて、「世界で最も多くの人に話されている言語だから将来何かの役に立つかな」くらいの軽い気持ちで選びました。そんな感じでスタートしたにもかかわらず、最初に中国語を教えてくださった筒井紀美先生(社会科学総合学術院講師)は、僕の発音をみんなの前でよく褒めてくださり、それがまたすごくうれしくて。もっと褒められたくてどんどん勉強していくうちに、中国語沼にハマっていきました。

――第二外国語の授業だけでは飽き足らず、3年生のときには中国留学を実現されました。何が鷹居さんの背中を押したのでしょうか。

実は、高校3年生のときに早稲田祭で見た「ミスター早稲田ボディビルコンテスト」に衝撃を受け、主催の早大バーベルクラブに入るために猛勉強して早稲田に入学したんです(笑)。しかし、増量と減量を繰り返すトレーニングが想像以上にきつく、2年生の秋にギブアップ…。当時は完全に生きる目標を失い、自分が早稲田にいる意味がなくなってしまったように感じていました。そんなとき、クラスメートと一緒に気晴らしに上海旅行に。まったく期待せずに訪れたのですが、中国の雰囲気や中国人の人柄が、これまで僕の頭にあった中国像をひっくり返すほど素晴らしく、中国という国に魅了されました。同じ頃、京都のラーメン屋さんに行ったときに、中国から来た観光客がすごい勢いで話しかけてきて、お互いGoogle翻訳を使いつつもラーメンを食べながら中国語で会話をするという出来事がありました。その時間もとても楽しくて、中国語を話すと、当時スカスカになっていた自分が何かで満ちていくような充足感を覚えました。そんな出来事が重なり、僕の残りの大学生活の軸はこれだ! と中国留学を真剣に考え始めました。

「早稲田祭2019」のミスター早稲田ボディビルコンテスト。中国留学中だったが司会として参加するために一時帰国し、サークルの同期と撮影した写真(前列左から3人目)

――遼寧師範大学に留学した理由と留学先での生活について聞かせてください。

3年生の春休みに突然中国留学を思い立ったので、早稲田の留学プログラムの申請には間に合わず、休学して私費留学することにしました。大連にある遼寧師範大学は、学費が北京や上海などの大都市に比べて安く、また標準語の発音が比較的きれいと言われていて、語学留学にはぴったりだと思いました。主に外国人留学生専門の授業で国籍の違うクラスメートと一緒に中国語を学んでいましたが、授業を終えた後は積極的に中国人と交流するように心掛けました。幸いなことに、日本語を学びたい中国人が周囲にたくさんいたので、午前は授業、午後は中国人とカフェに行っておしゃべりしながら勉強し、聞き取れない部分があればすぐに相手に聞いて、その単語を辞書で調べて保存し、後日見返してノートに写すという作業を繰り返しました。また、博物館見学会や詩の朗読大会、餃子作り体験など、学内で行われるイベントにはほぼ全て参加しました。残念ながらコロナ禍の影響により半年で帰国となりましたが、日本でも毎日中国語の動画をYouTubeで見たり、なるべく中国人と会話したりすることで、今も中国語漬けの毎日を送っています。

遼寧師範大学のクラスメートとの集合写真(前列左から4人目)

これほど語学に夢中になるのは人生で初めてのことで、その一番の原動力は、中国語と中国人が大好きということに尽きます。実は、留学先で中国人の女性に片想いをしていて、彼女に一目置かれたくて猛勉強していたという動機も(笑)。ただ、好きな人に関心を持ってもらいたい気持ちは、強力なモチベーションにつながりましたし、おかげで自主性を持って勉強できたと自負しています。

写真左:大学の寮から電車で1時間半ほどかけて旅順に
写真右:留学中に、日本で知り合った中国人の友達に会うため上海へ。上海タワーとも呼ばれる東方明珠電視塔の前で

――帰国後に中国語スピーチコンテストに出ようと思われたきっかけには、早稲田の先生の存在があったそうですね。

中国語の発音や会話はとても難しいので、帰国後も中国語の会話を練習するために、中国語の授業を履修していました。2020年度の秋学期に鄭成准教授(社会科学総合学術院)の「中国書研究」を履修した際、先生が僕の中国語を授業で褒めてくださり、中国語関連の情報をたくさん紹介していただけるようになりました。例えば、ダブルディグリープログラムで北京大学から早稲田に来ていた中国人留学生に対して、日本人の歴史観についてゲストスピーカーとして講演する機会をいただきましたし、「漢語橋」世界大学生中国語コンテストを紹介してくださったのも鄭先生です。先生は、僕の中国語力をさらに高めてくださる存在で、とても感謝しています。

社会科学部がある早稲田キャンパス14号館で鄭成准教授と

――最後に、現在の学生生活と今後の夢や目標について詳しく聞かせてください。

中国語を学んでいく過程で、中国に住んでいる日本人と日本に住んでいる中国人を取材するYouTubeのドキュメンタリー番組「我住在这里的理由(私がここに住む理由)」を制作されている竹内亮監督に憧れるようになりました。監督の影響を受け、現在準備している卒業論文ではドキュメンタリー作品を撮る予定で、コロナ禍で海外に行きたくても行けない日本人を対象としたドキュメンタリーを撮りたいと思っています。来年には中国の大学院への進学を考えていて、メディア関連の学問を専攻して、ドキュメンタリー作品を撮るための知識や技術を学んでいきたいと考えています。そして年内の一大イベントといえば、これから控えている漢語橋世界大会の出場。日本の代表として、世界各国の中国語話者と交流できることが今から楽しみで仕方ありません。

第795回

取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
社会科学部 3年 勝部 千穂

【プロフィール】
埼玉県出身。県立浦和高等学校卒業。大学1年から中国語を勉強し始め、HSK(漢語水平考試)6級とHSKK(漢語水平口語考試)高級の資格を取得。中国の单口相声(中国版落語)に興味があり、好きな中国語は「兴趣是最好的老师(好きこそものの上手なれ)」。地元では中国語教師のアルバイトをしていて、中国語のお勧め勉強法は日本人が中国語を話している動画を見ることだと話す。

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