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きっかけは交通事故 医学・法学への貢献目指す早大生気象予報士

「いろいろな方面の勉強を続ける中で、自分に合った方向性や場所を見つけたい」

先進理工学部 3年 深澤 亮(ふかさわ・りょう)

中学3年生で国家資格である気象予報士試験に合格、現在は気象庁気象科学館で解説員を務めるなど、気象の知見を人へ伝える取り組みに力を注ぐ深澤亮さん。その一方で、高校1年生で経験した交通事故をきっかけに、医学と法学に貢献したいと考え、先進理工学部生命医科学科に進学しながら、独学で司法試験に向けた勉強にも取り組んでいます。さまざまな分野の勉強に取り組む深澤さんに、その思いや今後の展望を聞きました。

――気象予報士試験の受験に至った経緯を教えてください。

中学2年の4月に富士山レーダードーム館を再度訪れたときの様子。手にしているのは、温度・気圧計と、館内のクイズに全問正解しもらった「気象観測員認定書」

気象に興味を持ったきっかけは、小学3年生の時の二つの体験です。一つ目は、山梨県にある富士山レーダードーム館と富士ビジターセンター(現:山梨県立富士山世界遺産センター)を訪れたことです。そこで山にかかる雲と天気の変化の関係性を示した展示を見て、その奥深さに引かれました。そして二つ目はベネッセの通信教育講座の教材『かがく組』で、気象についての特集記事を読んだことです。特に、観天望気(※)を取り上げたコラムが面白いなと思ったことを覚えています。そして、中学1年の12月に気象予報士試験の受験を決意しました。母から「中学生でも気象予報士試験は受験できる」という話を聞き、試しに過去問を見てみたところ、フェーン現象に関する計算問題を自力で解くことができたんです。そこで自信を得て、本格的に勉強を始めました。ちょうどそのころ、体育の授業で右手の小指の靭帯(じんたい)を損傷するけがをし、目指したい道の一つとして考えていたピアニストの夢を断念せざるを得なくなったことも受験を決意した理由の一つです。

※自然現象や生物の行動の様子などから天気の変化を予測すること。

――気象予報士試験の合格率は5%前後と狭き門ですよね。

参考書やNHK高校講座、通信教育を利用して勉強しました。中学2年生の夏、初めての受験は不合格となりましたが、中学2の冬の試験では学科試験に合格、3回目となる中学3年夏の受験では与えられた情報を基に気象予測を行う実技試験にも合格し、晴れて資格取得となりました。確かに気象予報士試験は難関と言われますが、気象が好きな私は、どんどん勉強を進めることができました。

――気象予報士として、どんな活動をしていますか。

中学3年の時、気象科学館で案内員として雨量計の説明をしている様子

私は予報業務には携わらず、基本的に気象の知見を人に伝える活動をしています。中学3年の1月から高校2年の7月までは、気象庁気象科学館で案内員として活動していました。現在はより責務の重い解説員として、月2回、同じく気象科学館で業務にあたっています。最初にお話した通り、もともと私が気象に興味を持ったきっかけの一つは博物館の展示でした。自分と同じように、子どもたちが気象に興味を持ってもらえればという思いで活動しています。

『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』(KADOKAWA)

この4月からはNEXT-manaboという教育サービスで、小学生を相手に「気象を知って生活を豊かにしよう」というテーマで授業を行う取り組みも始めました。楽しみながら気象現象の観察や天気の予測を行うことを通じて、個々の防災リテラシーを向上させることを目標に掲げています。例えば積乱雲を見て、雨に備えるといった行動ができるようになってほしいと思います。ちなみに、気象の知識を防災に生かすという考え方は、映画『天気の子』の監修を務めた、雲研究者で気象庁気象研究所研究官の荒木健太郎さんに影響を受けています。4月に発売された荒木さんの著書『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』(KADOKAWA)では、意見・感想をフィードバックする「先読みキャンペーン」に参加させていただきました。

また、気象予報士として奮闘するヒロインの姿を描くNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』が5月17日から始まりましたが、それに関連して、宮城県の気仙沼市観光推進機構が運営するWebサイト「気仙沼さ来てけらいん」に、他の大学生予報士と共同で作成するクイズを載せていただくことになっています。気仙沼がヒロインの出身地であることにちなんだ企画で、「お天気クイズ by 気象予報士学生会」と題し、前の週の放送を踏まえたクイズを毎週出題していきます。

そして、このような活動をする中で生じた疑問点のうち、調べても分からないことは、探究活動のテーマとして研究を行い、日本気象予報士会の研究成果発表会で発表しています。大学2年次には、「気温極値の遅延現象」をテーマに、夏至、冬至と暑さ、寒さのピークが一致していない要因を分析し、発表を行いました。大学3年では、このテーマについてさらに研究を進める予定です。

大学1年次には、「日較差の風向依存性について」をテーマに日本気象予報士会の研究成果発表会で発表を行った

――気象予報士の資格を持ちながら、先進理工学部生命医科学科に進学し、さらには法律の勉強もしていると聞きます。

高校1年の時、狭い歩道を歩いていたところ自転車と衝突するという交通事故に遭いました。その際「医学」と「法学」に助けられたことをきっかけに、これら二つの学問に貢献したいと考えるようになりました。

事故では左足の関節を脱臼骨折したのですが、3回の手術を受け、日常生活では支障のない程度まで回復しました。このように医学に助けられた経験を踏まえ、私自身も研究医として医学に貢献できればと考えるようになりました。結果的に医学部への進学はかないませんでしたが、現在の生命医科学科でも研究内容に着目すれば、目標はある程度達成できると考えて日々勉学に励んでいます。

一方、損害賠償の件では弁護士の先生にお世話になり、そこで法律の世界にも貢献できる人になりたいと考えました。そこで大学1年の夏休みから、法学を独学で学んでいて、大学2年次には行政書士試験に合格しました。現在は司法試験合格に向け勉強を進めています。

――今後の進路はどのように考えていますか。

将来は得意なことを生かせる仕事がしたいと考えています。現在は、自分の交通事故の経験を踏まえ、事故調査に役立つシステムの開発をしたいと考えています。生命医科学科での学びや法学の知識、そして場合によっては気象の知見も生かせるはずです。しかしそれをどのようなプラットフォームで実現させるかは、まだ決めていません。大学の研究室や企業の研究所に所属することになるかもしれませんし、起業することになるかもしれません。いろいろな方面の勉強を続ける中で、自分に合った方向性や場所を見つけたいと思います。

気象に興味を持つきっかけの一つとなった『かがく組』(左)と、荒木さんの著書『雲を愛する技術』(右)を紹介してくれた深澤さん

第785回

取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
政治経済学部 3年 山本 皓大

【プロフィール】

埼玉県出身。東京学芸大学附属高等学校卒業。幼稚園年長から中学3年まではピアノ教室に通い、小学4年の時にはピティナピアノコンペティションで本選優秀賞を受賞。恩師である棈松晶子先生の勉強熱心な姿勢には、今日に至るまで影響を受けているそう。大学では早大ピアノの会(公認サークル)に所属し、趣味としてピアノを続けている。気象に限らず地学全般が好きで、高校時代には地学オリンピック全国大会に進出したことも。大学1年次には天文宇宙検定2級に合格し、難関とされる1級の合格も狙う。生命医科学科生による学生組織、生命医科委員会の委員長も務め、大学行事の運営やサポート、学生同士の交流促進といった業務に携わっている。写真は2021年度の新入生学科ガイダンスに登壇した際の様子。

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