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刀削麺発祥の地、中国・山西省で粉もの料理の世界に浸る

故郷だけでなく、母との大切な思い出をよみがえらせてくれる

政治経済学部 4年 蔡 一凡(さい・いふぁん)

中国と言えば、北京や上海などの都市を思い浮かべる人が多いかもしれません。一方で私の故郷である山西省は、残念ながらあまり知られていません。山西省についてお伝えしたいことがたくさんありますが、今回は素晴らしい「粉もの文化」について詳しくご紹介します。

中国には世界的に見ても、数多くの小麦粉などを使った粉もの料理があります。山西省の粉もの料理は約2,000年の歴史を誇り、特に種類が豊富で、その数は現在、約300種類あると言われています。

山西省が粉もの料理の王国であるゆえんは、その環境によります。山西省は内陸部の高原に位置し、干ばつに耐えられる穀物が育つ場所です。この自然条件のおかげで、これまでにさまざまな粉もの料理が作られてきました。それらは「ゆでる」「蒸す」「揚げる」などの調理法で分類されます。

まず、ゆで麺の中で最も有名なのは「刀削麺(Daoxiao Mian)」で、山西省発祥のブランドとも言えます。この麺は、非常に繊細な製法で作られています。専用の包丁で生地を短冊状に削っていくのですが、その技術を習得するため、料理人は特別な訓練を受ける必要があるそうです。そのような料理人が作った麺は、厚みはあまりないものの、十分な歯ごたえがあります。

日本でも有名な刀削麺の発祥は山西省。具はさまざま

莜麺栲栳栳は、トマトソースや黒酢ソースで食べるのが定番

ゆで麺は世界の他の地域でもよく見られますが、蒸した麺は比較的珍しいのではないでしょうか。その中でも私が最も面白いと思っているのは、オーツ麦を筒状にして蒸した「莜麺栲栳栳(Youmian Kaolaolao)」という料理です。「莜麺(Youmian)」は中国語でオーツ麦の麺を、「栲栳栳(Kaolaolao)」は筒のような形をしていることを意味します。この料理は、小麦の代わりにオーツ麦を使用しているため甘みが少なく、食感が良いのが特徴です。また、オーツ麦には血圧を下げる効果やダイエット効果があることが知られていて、健康面でも注目されています。麺自体は淡泊な味のため、トマトソースや黒酢ソースで食べることが多いです。黒酢は山西省の特産品なのですが、消化を促進する効果があるので、小麦粉を使った料理が多い山西省の人々にぴったりです。

SNSに投稿した動画。「麻麻做莜面!」は「母が莜麺を作っている!」という意味(母は「妈妈(māma)」が正式ですが、発音が似ている「麻麻(mámá)」を使うことも)

以上の2種類に加えて、最後は小麦粉の揚げ物料理を紹介します。その中で代表的なものが「麻花(Mahua)」です。練り物を短冊状に切り、それを巧みにねじって揚げたものが「麻花」です。パリッとしていて、朝食のどんな味付けのおかゆとも相性抜群です。

パリッとした歯ごたえが特徴の麻花は、おかゆにも合います

小麦粉を使った料理は他にもたくさんあり、それらは私の子ども時代の食卓を彩ったものでもあります。ただ、それが大切な思い出となったのは、世界の他の地域に行ってみて、これほど豊富な粉もの料理を食べられる場所はほとんどないと気付いてからでした。中国では、スープ好きな広東の人について「広東人の妻は皆、おいしいスープの作り方を知っている」とよく言うのですが、それと同様に、私の母は粉もの料理の素晴らしい料理人であり、私自身、母のそばで料理ができる過程を見るのがいつも楽しみでした。母のおかげで粉もの料理は私にとって特別なものになっています。故郷だけでなく、母との大切な思い出をよみがえらせてくれる料理です。

写真左:故郷である山西省太原市にある森林公園にて。広くてきれいなので休日によく行きます
写真右:母(右)と一緒に

◎中国・山西省はこんなところ◎

中国北部、黄河の中流域、黄土高原の東に位置し、太行山の西にあることから「山西省」と呼ばれる。春秋戦国時代に晋の領地に属したため、別称が「晋」となっている。省都は太原市。中国の首都・北京市から太原市までは飛行機で約1時間20分。面積は約15.63万㎢で、人口は約3,700万人(2018年)。日本との時差はマイナス1時間。1年を通して乾燥しており、冬は寒さが厳しく、夏は比較的涼しい。麺などの粉もの料理の他に黒酢が有名。

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