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短歌歴15年超の早大生 これまでの成長をたどる歌集『20÷3』を出版

「5文字と7文字にどう収めるか楽しみながら詠む。それはずっと変わらない」

文学部 2年 小林 理央(こばやし・りお)

2019年1月、第10回角川全国短歌大賞贈呈式にて(左端が小林さん)

皆さんは短歌を詠んだことがありますか? 文学部に在籍する小林理央さんは5歳から短歌を始め、歌歴は15年以上。中学3年生での宮中歌会始の入選、NHK短歌年間大賞受賞をはじめ、大学入学後にも角川全国短歌大賞や現代歌人協会・学生短歌賞など、数多くの賞を受けています。さらに2019年には歌集『20÷3』(角川文化振興財団)を出版。5歳から15歳までの10年間に詠んだ短歌から成長をたどるという珍しい構成が注目され、重版もされました。そんな小林さんに短歌との向き合い方や著書のことなど、話を聞きました。

※インタビューはオンラインで行いました。

――保育園に通う5歳のときには短歌を始めていたと聞きました。

祖母が開く短歌サークルに参加したり、家族旅行では夕食後などにみんなで短歌を考えて詠んだりと、自然な流れで始めました。5文字と7文字にどう収めるかという、言葉遊びの感覚で楽しんでいましたね。幼いころは何も考えずに見たものや出来事をそのまま、たくさん詠んでいましたが、大きくなるにつれて歌に自分の考えも入れるようになりました。普段生活する中で浮かんだアイデアをスマホにメモして、後からそれを基に作ることもあります。一首を作り上げるのに時間を掛けるようになった分、作る数は減りましたが、五・七・五・七・七のリズムにうまく収めようと楽しみながら詠むのは、昔も今も変わりません。

サークルは年齢層が高めですが、そのサークルの一環として祖母が自宅で開いている小規模な会には同年代の友達がいるんです。彼女は私の1学年上ですが、小さいころから一緒に短歌を続けてきて、今も詠み合ったりアドバイスをし合ったりする大事な存在です。

――宮内庁の「歌会始」入選や「角川全国短歌大賞」自由題部門大賞など、多くの受賞経験がありますが、プレッシャーを感じたことやスランプはありましたか?

受賞をプレッシャーに感じたことはなく、むしろもっと歌を詠み続けていきたいというモチベーションにつながっています。初めての受賞は確か小学1年生のときで、表彰式でたくさんの大人の方が褒めてくれてうれしくなったのを覚えています(笑)。賞がもらえなかったとしても、受賞しなかったというだけで、私の中にマイナスなことはないんです。受賞できたらいいな、というくらいの気持ちでいるのがいいのかもしれません。

スランプとは言えないかもしれませんが、大学1年のとき、大学とサークルへ行って帰って寝て、また大学へ行くという、楽しいけれどどこか単調な生活を送る中で、短歌のことをあまり考えなくなった時期はありました。高校3年のときは、受験期ということもあって楽しいことや大変なことなどいろいろな感情があった分、歌もたくさん書けたのですが…。でも、大会の応募用に10首作らなくてはいけないという状況になったことで、その状態からは抜け出しました。

――歌集『20÷3』はどういった経緯で出版に至ったのでしょうか。内容についても教えてください。

短歌を書きためたノート

受賞したら応募した作品を書籍化できるという大会に挑戦したのですが、受賞はかなわず歌だけが残った状態になっていました。せっかくだからそれを本にしたらと父から提案されたタイミングで角川全国短歌大賞を受賞したので、角川の方に相談してみたところ、前向きなお返事をいただきました。

これまでの短歌はノートに書きためてきていて、20冊以上になります。幼少期からの作品がこれだけ残っているのは珍しいとのことで、それを生かしてはと編集者の方にアドバイスをいただき、成長過程を見せる構成にしました。掲載した歌は264首で、この時期にこういうことにはまっていたんだなと思い出したり、自分の変化を感じることができ、私自身の記録集にもなっています。有り難いことに歌人の俵万智さん(1985年、第一文学部卒)も書評を書いてくださいました。

――思い入れの強い歌はありますか?

さみしくて泣きそうなとき勉強で気をまぎらわす20÷3

これは小学4年生のときに詠んだ、NHK全国短歌大会の受賞作です。全国規模の大会での受賞は自分にとっても大きな出来事で、こういう賞をまたもらいたい、表彰式に出たいと強く思うきっかけになりました。今回の本のタイトル『20÷3』もこの歌からとりました。

この本に全てがつまつてるわけぢやないだから私が続きを生きる

中学3年生のときに詠んだ、歌会始詠進歌です。歌会始に選ばれたことはもちろんですが、あるインタビューで、この歌ができたきっかけとなった有川浩さんの小説『図書館戦争』シリーズ(角川文庫)の話をしたところ、小説の映画化第2作のプロモーションで行われた川柳企画に、審査員として声を掛けていただきました。試写会にも招いていただき、楽しくて貴重な経験でした。

『20÷3』の表紙。小林さんが墨で描いたという挿絵も必見。短歌を始めるよりもっと幼いころに遊びで描いた絵を、祖父が大事に保管していたそう

――早稲田では文学部に在籍していますが、学生生活はどうですか?

短歌をやっているので文学部に入ったと思われがちですが、合格した学部から選んだだけなんです(苦笑)。でも、やっぱり文学部に入ってよかったですね。オンライン授業だと友達に直接会えないのは寂しいですが、自宅で受けることができるスタイルは自分に合っていて、春学期はしっかり単位を取ることができました。秋学期はもっと成績を上げたいです。サークルはスカッシュサークル(公認サークル「スカッシュクラブ」)に所属しています。新しい環境に入っていくのが苦手で、知っている先輩や友達がいるという理由で始めたものの、思いの外、面白くてはまっています。コロナの影響でしばらく活動していませんでしたが、最近少しずつ再開しています。

(写真左)スカッシュサークルでの試合中の様子(左が小林さん)。一時期は週3、4日ほど参加していたとか
(写真右)サークルメンバーに試合のアドバイスを受ける小林さん(中央)

――最後に、今後の目標を教えてください。

大きめの賞への応募を目指して歌を作っているところなので、その受賞が目標です。また、昨年出版した『20÷3』は「第0歌集」ということで、プロの一歩手前の歌集というコンセプトでした。だからプロとしての第1歌集を在学中に出したいです。そして、たくさんの方に作品を知ってもらいたいですね。

第769回

【プロフィール】
東京都生まれ、神奈川県育ち。東京女学館高等学校卒業。短歌の受賞歴は、「歌会始」入選、「NHK全国短歌会」ジュニアの部・大賞、「NHK短歌」年間大賞(永田和宏賞)、第45、48回「現代歌人協会・全国短歌大会」学生短歌賞、第8回「角川全国短歌大賞」自由題部門準賞(最年少受賞16歳)、第10回「角川全国短歌大賞」自由題部門大賞など多数。俳句に挑戦したこともあったが、より自由に思いを表現できる短歌に魅力を感じたそう。スカッシュの他にドッジボールも好きで、競技ドッジボールへの参加経験があるほど。
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