ふわっと甘い玉子焼が定食のアクセント
「お食事処 たかはし」
【取材・文】
早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ)
文学部 4年 我妻 はな(あがつま・はな)
馬場下町交差点から南門方向へ歩いていると、左手に目に入る「たかはし」の文字。のれんをくぐると、人の良さそうなご夫婦が迎えてくれます。
「昔、文キャン(戸山キャンパス)の前に『まんぷく食堂』というお店があって、そこで父が働いていたんです」と店主の高橋さん。1989年(平成元年)に「まんぷく食堂」が閉店する際、お父さんが現在の場所で「たかはし」を始めました。ご主人がお店を継いだのは7~8年前。先代から来ている常連さんのためにも、「味が変わった」と言われないように心掛けているそうです。
お店のこだわりは、なるべく既製品を使わず、手間を惜しまずに仕込みに時間をかけること。魚は豊洲市場で、高橋さんが自分の目で選びます。市場でおいしそうだと思ったものを仕入れ、自分の嫌いなものは出さないのだとか。魚の定食は学生にも教職員にも大人気です。近年は留学生のお客さんもお店を訪れ、秋~春限定の「肉豆腐定食」などが支持を集めているそうです。
今回は、日替わりの「焼魚定食」をいただきました。実は私、お店で焼き魚を食べることはあまりありません。外出しているときは大体おなかが空いていて、「お肉たっぷり」「ボリューム満点」といった言葉に心が揺さぶられてしまうのです。
塩焼きを想像し、一口食べたらびっくり、お酒の風味が広がりました。みりん粕(かす)で一夜干ししたサバをじっくりと焼き上げた逸品です。私にとって粕漬けは、ある特定の時期にわが家の食卓に並ぶ特別なものでした(そのことを母に聞いてみると、お歳暮で送ってくれる人がいたそうです)。4人きょうだい全員がそろって食卓を囲むことができた幼少期を思い出しながら、山盛りのご飯と共にいただきました。
(写真左)数年前に商店会と広告研究会(公認サークル)がコラボして作ったポスター
(写真右)がっつり食べたいときにお勧めの「豚生姜焼定食」820円(税込み)
定食に添えられた玉子焼もおいしい! ふわっとしていて、優しい甘さです。高橋さんは玉子焼に自信があり、この仕事を始めたころから1本1本丁寧に焼いているそうです。お店には玉子焼が主役の「玉子焼定食」もあり、たかはしの玉子焼ファンにはたまりません。おいしいおかずとたっぷりのご飯と、お話を伺っている間、笑顔を絶やさないご夫婦の姿は、疲れ気味だった私にひとときの優しさを与えてくれました。
…と、実はここまでは、2月に行った取材のレポートです。オンライン授業になって、早稲田を訪れる人々は減ってしまいました。再度ご主人にお話を伺ったところ、4~5月もお店を開けていたとのことですが、客足はぽつり、ぽつり。しかし、近隣に住む方々が食べに来てくれていたそうで、「何年か前の大雪の日よりは、お客さんも来てくれていました(笑)」と高橋さん。
早稲田に人が戻ってきたのは6月からで、ランチに関しては盛り返しつつあると言います。それでも客足は、お店が一番にぎわっていた頃の3分の2程度。お店が密になってしまうのも望ましくないので、大々的に「食べに来てください」と言うわけにもいきません。
「この先もオンライン授業が浸透して、『ここ(早稲田)まで来て授業を受けるのが無駄だった』ということにならないと良いですね」
その言葉に、私も大きくうなずいてしまいました。早稲田の街とワセメシが大好きな私、お店を応援したい気持ちでいっぱいです。
店舗情報
【店名】お食事処 たかはし
【住所】東京都新宿区西早稲田1-1-5 滝口ビル B1F
【TEL】03-3202-9161
【営業時間】11:30~14:30(ラストオーダー 14:00)
【定休日】日曜・祝日
【Twitter】@wsdtakahashi
店主の高橋さんから早大生へ一言
「おやじの味だけど(笑)、地方から出てきておふくろの味が恋しくなったら、ぜひうちに来てください! また、お持ち帰り弁当もお電話で承っています。ご自宅でもたかはしの味を楽しんでくれたらうれしいですね。」