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社会的責任への意識を問う

大学院生時代に留学したケンブリッジ大学で最も印象的であったことは、人や雰囲気の全てに、ノブレス・オブリージュの考え方が色濃く反映されているということであった。多くの学生は、社会貢献に熱心であり、国内外のさまざまな社会問題に積極的に興味を持ち、社会正義の実現を真剣に考えていた。

当時の英国では、誰でも優秀でありさえすれば、平等にケンブリッジで勉強できるわけではなかった。ケンブリッジでの勉学は、原則としてエリート階級の特権であり、卒業生は当然に社会で特別な地位を得るとされていた。これは、一見、不平等で理不尽な制度に見える。しかし、その特別な地位に伴う大きな社会的責任を徹底して教えることが、制度を支える理念であることが認識されなければならない。ケンブリッジの卒業生は、その特別な地位を自己の利益のために享受すべきではなく、特権的な地位を濫用して不当に私的な利益を得たり、社会のことを顧みない仕事をしたりしてはならないという重い社会的責任を負うと教えられる。この社会的な責任の重さと負担の大きさのゆえに、英国社会で特権的な地位が容認されるのである。

第二次世界大戦後に構築された平等主義の国である日本から留学した私にとって、この教育方針は忘れられないものとなった。帰国後、バブル期とバブル崩壊後のさまざまなニュースを見て、日本の社会の根幹を担っている人々は、その社会的責任をどの程度意識しているのかと感じてきた。社会の平等性が失われつつある今日の日本で、人が負うべき社会への責任をあらためて問うべきではないだろうか。

(MK)

第1079回

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