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社会科学としてのアジア社会経済史の大切さ

一般書店の書棚にいわゆる「嫌中憎韓本」が目白押しに並ぶようになって久しい。おかげで、アジアに関係した科目は学生の間ですっかり人気がなくなってしまった。しかし、日本海を隔てて対峙する地域に存在する国家体制、社会構造の仕組みを批判的に検証し、西洋諸国やわが国のそれとの違いはどこにあるのかを歴史的観点から考察することが大事であることに変わりはない。

日中戦争からアメリカによる占領改革に至る時期に人格形成を終えた世代が、日本社会から現役を退いて久しい。現在の日本は、日本海対岸地域との付き合い方を一歩誤れば文字通り国が滅びるということを皮膚感覚で理解していない人間が国家社会を動かしている。アジアの社会経済史研究は以前にも増して重要なのである。

日本が当該地域との付き合い方を決定的に誤った、日清戦争から第一次世界大戦終了期を生きた日本人も、あの地域の国家構造、社会経済の仕組みが分かっていなかった。しかし当時は、自分たちはアジアのことを何も分かっていないことを自覚し、アジア大陸文明の仕組みを理解しようと悪戦苦闘する社会科学者がいた。その中には、村松祐次や根岸佶、柏祐賢のように、現在海外の研究者からも古典として評価される著作を残した者もいる。

しかし、現在は違う。単なる王朝国家興亡史か政治体制の現状分析ばかりがもてはやされ、アジアの国家構造、社会経済の根本的な仕組みを歴史的観点から考察した社会科学研究が全く出ていない。こうした嘆かわしい現状を改めることに人生を捧げたいと思う学生さんはいないものか?

(M)

第1066回

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