2019年度卒業 総代メッセージ【2020年度入学記念号】
実務で実績のある先生方による個別指導
この度、総代に選んでいただきましたが、自分では皆勤賞のように受け止めています。昼間の仕事や学業の傍ら夜間に通学している学生も多く、やむを得ず欠席することや課題提出が遅れる学生が散見される中で、私自身は全ての授業に出席し、課題も出してきた点が評価されたのかと思っています。
芸術学校にはさまざまなバックグラウンドを持つ学生が集まっていて、建設会社や建築設計事務所に勤める同級生が取り組んでいることをまねして学ぶこともありました。建築の現場で実際にどういった設計ソフトが使われているのか、模型をどのように作っているのかなどを知ることができましたし、同じ課題に向き合っていても自分には考えつかないようなアイデアを持つ同級生もいて、とても勉強になりました。徹夜をして共に課題に向き合ったことも思い出深いですね。
設計演習では、実務で実績のある先生方から個別にアドバイスを受けることができました。私はそれまで、憧れの建築家の造形をまねたような設計をしてしまいがちでしたが、「造形以前に、その土地の特徴を理解した上で設計することが大切」と指導を受け、その後の卒業設計などに生かすことができました。
卒業設計は急傾斜地崩壊危険区域の土地有効活用
卒業設計では、急傾斜地崩壊危険区域として立ち入り禁止になっている土地を有効活用するための工法と空間を考え、3次元設計ソフトウェアを利用してコンピュータグラフィックスを見ながら設計しました。特にこだわった点は、地形やその土地ならではの特長を生かしたデザインにしたこと。地面の凹凸を忠実に再現して、自然のゆらぎを生かした有機的な空間を作りました。数カ月間、睡眠時間を削り卒業設計に集中したため、提出後の今も、頭の中ではずっと卒業設計のことを考えているような状態。自分の中では、まだ終わっていないのです。今後は、実務経験を積んで資格を取ることが直近の目標で、将来的には建築関係の仕事に就ければと思っています。
周りの助けも借りながらマイペースに取り組んで
ダブルスクールで学んだり、働きながら芸術学校に通う新入生にメッセージを送ります。学校の学習は、なるべく授業時間内に完結するように配慮されている一方で、ある程度の時間を課題や予習・復習に割かなければならないこともあります。そういった環境の中、ドロップアウトしてしまった同級生も少なからずいます。しかし、卒業すれば新たな道が開けます。「授業にあまり出席できなかったから単位がもらえないかも」「提出日に間に合わなかったからダメかも」と諦める前に、先生やティーチングアシスタントに相談すると助け船を出してくれる可能性もあります。ぜひ、初心を忘れずに、卒業まで頑張ってほしいと思います。
取材・文:藤森優香
撮影:中村透