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女性のキャリア支援・池原真佐子 育児と起業を両立【2019年度卒業記念号】

ドイツで暮らしながら日本で自分らしく働く秘訣

株式会社MANABICIA 代表 池原 真佐子(いけはら・まさこ)

働く女性のキャリア支援や、そのために不可欠な人的支援(社外メンター)を提供する株式会社MANABICIA。代表の池原真佐子さん自身、夫の単身赴任をきっかけにワンオペ育児と起業を両立させ、今はドイツで暮らしながら日本を拠点に働くパワフルなワーキングママだ。早稲田大学大学院修了後、転職を重ね、海外で学んだ末にたどり着いた池原さんの“働き方”とは?

遠回りした経験も人生ではプラスにできる

もっと見たことがない景色が見たい——。早稲田での学生時代も、社会に出てからも、池原さんにとってモチベーションとなったのは、好奇心の強さから来るこの考え方だった。

「早稲田を志望したのも、出身が九州だったこともあって『東京に出てみたい』という憧れから。いろんな人と出会うことで自分の可能性が広がるんじゃないかなと。実際に早稲田で過ごしてさまざまな刺激を受けたことで、今度はその憧れが海外へと変わったんです」

大学1年の夏に短期留学で海外の多様性を初めて知ると、今度は1年間休学してオーストラリアへ長期留学。多民族・多文化主義のオーストラリアでの経験がその後の人生にも大きな影響を与えることとなった。

「帰国後は大学院に進み、オーストラリアの成人教育を研究しました。その研究過程で、世間には素晴らしい団体がたくさんあるのに広報やPRに課題が多く、伝わらないもどかしさを痛感したんです。それが、修了後にPR会社に就職するきっかけになりました」

こうして社会に巣立った池原さんは、就職後もその豊かな好奇心を原動力に、もっと教育の現場に関わりたいと国際教育関連のNPOに転職。そこで人材育成の重要性に気付くと、次はコンサル会社の人材開発部へと転職を重ねた。職歴が何度も変わることに不安やためらいはなかったのか?

「2度の転職とも、ためらいも何もなかったですね。そもそも私は、一浪もして留年もしてさらに大学院と、一見すると遠回りばかり。よく『文系での回り道は卒業してからが大変』と言われましたけど、全然そんなことはなかった。大学院でリサーチの重要性や人との関わり方を学べたことが社会に出てから役に立ちました。人生は何でもプラスに生かせるし、自分のスキルアップにつながるんです」

その考え方の背景には、大学時代に母からもらったある言葉も強く影響していたという。

「短期留学で初めて海外を経験することになったとき、不安で一杯な私に、母が『死ななきゃ大丈夫』と言ってくれて、すごく楽になったんです。確かにそうだなと思って、それ以来、私の座右の銘になっています(笑)」

大変なときこそ湧き上がる自分の中での使命感

コンサル会社時代は公私共に学びも出会いも多く、とても充実していたと振り返る池原さん。その学びの一つが、仕事の合間を縫って経営大学院「INSEAD」シンガポール校へ、パートタイムで修士号(Executive Master in Change:コーチングと組織開発)を取得するために国際通学した経験だった。

「定期的に仕事の休みを取ると、仕事から帰宅して夫の食事を作り置きし、飛行機で睡眠をとって早朝にシンガポールに到着。そこから数日間、集中授業を受けた後、またシンガポールから帰国し、羽田空港からオフィスへ直行。国内にいても隙間時間の中で電話会議や課題制作…という生活でした。今思い返しても、よくやれたなと思います」

多忙な生活を乗り越えて迎えたINSEAD修了式の様子(2015年9月)

仕事と家庭、シンガポールでの勉強という激動の約2年を乗り越えたことも契機となり、卒業直前に起業した池原さん。やり切れた要因は、やはりここでも好奇心の強さだった。

「大変なときこそ、自分の中で使命感みたいなものが湧き上がるんです。私の場合、起業をして子どもを授かってと、ただでさえバタバタしているときに夫が海外赴任となって、臨月のときからワンオペ。女性のキャリアって大変だなとあらためて気付かされて、そこで『キャリアを前向きに積んでいきたい女性のための仕事がしたい』とやりたいことが明確になったんです」

社外メンター研修中の様子(右が池原さん)

現在は家族と共にドイツで暮らしながら、月1~2回のペースで日本とドイツを行き来して、家庭と仕事を両立させている池原さん。卒業生に向けて、“体力と基礎の大切さ”を語ってくれた。

「良質なアウトプットをするためにも、健康維持・体力維持は大切です。そして、今後ますますリモートワークや副業が当たり前になる時代だからこそ、基礎が大切。そのためにも、まずは一度、組織の中で働いてみるのは良い経験になると思います。そこでたくさん失敗をしつつ、自分の好きなことを見つけていけばいいし、そこからまた転職やフリーランスを選んだっていい。ただ、どんなに忙しくても、ライフイベントを諦めない人生を送ってほしいなと思います」

取材・文=オグマナオト(2002年、第二文学部卒)
撮影=石垣星児

【プロフィール】
福岡県出身。早稲田大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科修了。PR会社で広報、NPOで国際教育、コンサルティング会社で人材開発に従事。経営大学院INSEADでExecutive Master in Consulting and Coaching for Change(現EMC)取得、2014年に株式会社MANABICIAを設立。組織開発事業の他、経験豊かな女性を社外メンターとして育成し、企業や個人にマッチングする事業を展開している。

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