Interpreting Industry of Japan I【国際教養学部設置科目】
国際教養学部 3年 木村 有里(きむら・ゆり)
佐藤あずさ先生(国際学術院准教授)の「Interpreting Industry of Japan I」は、実践を交えながら日英間の通訳を学べる中級科目の授業です。国際教養学部の特徴の一つは幅広い分野で学びを深められることですが、3年生の後半である今学期は英語力に磨きをかけることに主眼を置き、主に通訳や翻訳の分野にフォーカスしようと考え、履修しています。
通訳者として実際にご活躍されていた先生の授業という珍しい点に引かれ、上級科目(ゼミ)も含めて週に3回も佐藤先生のクラスを履修しているのですが、プロからリアルタイムでフィードバックをもらえるのは非常に贅沢(ぜいたく)なことではないでしょうか。
授業では新聞記事を使用して、クラスメートの前で実際に日本語・英語間の通訳をするので、ある程度高い日本語力と英語力が要求されます。日本生まれ日本育ちのいわゆる「純ジャパ」である私にはチャレンジングな内容です。しかし、授業を受ける度に新しい言い回し、よりナチュラルな訳し方、英語には存在しない日本語の発見など、多くのことを吸収できるのがこの授業の素晴らしいところの一つです。
(写真左)国際会議などの同時通訳者としてもご活躍されていた佐藤先生
(写真右)二つのグループに分かれてディスカッションをしている様子(左から5人目が筆者)
また、履修している学生のバックグラウンドが多様なところも魅力的な点です。中国、韓国、タイ、ミャンマー、アメリカからの学生に加え、日本人の学生も全員が留学経験者や海外在住経験者です。学生によって日本語力や英語力に差はありますが、そこは全員が公平に学べるよう佐藤先生がサポートをしてくれます。大人数のクラスではないからこそ、誰かが通訳に困ったときに先生を含めクラス全体でディスカッションが突然始まることも、まれではありません。先日は「こだわり」の英語訳について熱い議論が巻き起こりました(皆さんならどう訳しますか?)。
最後に、この授業のもう一つ面白い点が、プレゼンテーションです。授業で扱った記事に関して、学生が疑問や興味を持った部分に注目してスライドを作り、自発的に発表します。こうして、通訳の授業でありながら、通訳のスキルだけではなく、さらにそれ以上の経験を得ることができます。眠さをこらえて呪文のような講義を聞く90分間か、頭をフル回転させて脳みそが新しい知識で“おなかいっぱい”になる90分間か。どちらのタイプの授業を好むかはその人次第ですが、私は間違いなく後者を選びます。そして、それが佐藤先生の授業です。