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今、大災害が起こったらどうする? 本気で考えたい「真の早稲田防災」

「大学と学生を本当に守ることができる防災体制を」

学生団体「チーム安全」
代表 人間科学部 3年 小倉 慶太(おぐら・けいた)
前代表 教育学部 2019年9月卒業 河本 幸太郎(かわもと・こうたろう)

(左から)河本さん、小倉さん

今、甚大な災害が起きたら、早大生の皆さんはどう動きますか? 今後30年以内に南海トラフ地震や首都直下型地震が起こる確率は70%と言われています。近年、台風や大雨の被害も各地に広がっています。万が一、大規模災害が起こった時、早稲田大学は何ができるのでしょうか? そんな問題意識から、2018年度の「第7回Waseda Vision 150 Student Competition」(※)で「真に機能する早稲田防災」を提案した「チーム安全」。団体を発足した河本幸太郎さん(2019年9月教育学部卒業)と小倉慶太さん(人間科学部3年)に、提案内容や現在進めている活動について話を聞きました。

※)「Waseda Vision 150 Student Competition」。早稲田大学が創立150周年を迎える2032年を見据えた中期計画『Waseda Vision 150』について、学生が自由な発想で大学改革案を練り、実現に向けた企画を早稲田大学総長や審査員の前でプレゼンテーション(以下、プレゼン)する。提案された企画内容は受賞の有無にかかわらず、早稲田大学が関連プロジェクトを実行する際に参考とされる。

――Student Competition(以下、スチューデントコンペ)で、「チーム安全」はどのようなことを提案したのでしょうか?

大学と学生が協力できる仕組み作りや方法を提案した

小倉

大学組織内に「学生緊急対策本部」を設置することを提案しました。これは、学生が主体となり、大学や地域と連携して緊急時の対応や防災について考える組織です。活動には3つの柱として、「大学・地域との連携」「災害発生時の対応の検討」「早大生の防災意識向上への取り組み」を掲げました。

プレゼンで使用したスライドより

河本

一言で言うと、「大学・地域・学生が一つになった新しい大学防災の形」の提案です。大学に所属する人のうち、学生の占める割合が圧倒的に大きく、また、学生は若くて体力もあります。だからこそ、学生が主体となって大学の防災体制に関わり、学生ならではのアイデアを生かしていけたらと考えました。

スチューデントコンペでプレゼンをする小倉さん(左)と河本さん

――スチューデントコンペに応募したきっかけは?

河本

在学中は早稲田祭の運営スタッフをしていて、その中で「安全チーム」という、安全管理を主導する部署のリーダーを務めていました。ある時、早稲田祭に限らず、普段の授業中に地震が発生した際に、適切に行動できる早大生はどれほどいるだろう?と不安になりました。というのも、大学が作成した緊急対策のマニュアルが早大生には浸透していなかったのです。調べてみると、大学主催の避難訓練に実際に参加した経験のある学生はわずか4.3%。そこで、「早稲田を大災害から守るために自分が動かなければ」という思いで、早稲田祭運営スタッフの安全チームの後輩を誘い、部署名をもじった「チーム安全」を発足させてスチューデントコンペに応募しました。

スチューデントコンペの様子

――12月には防災講座を開催されたのですよね。

河本

スチューデントコンペでは金賞を逃しましたが、私たちの目的は賞を取ることより、防災に対する提言をしたいということでした。決勝後に、私たちの提案に賛同してくださった理事の方に声を掛けていただき、今は大学の総務課、学生生活課、平山郁夫記念ボランティアセンター(以下、WAVOC)の協力の下、活動を始めています。

小倉

この1年は私たちにできることを探しながら進めてきました。最初の活動として、WAVOCとの共催で、昨年12月9日に防災・災害時対応をテーマとした防災講座(ワークショップ)を開催しました。災害救援ボランティア推進委員会(民間団体)主任の宮﨑賢哉さんにご協力いただき、話し合いながらつくり上げた企画です。約20名の早大生から申し込みがあり、当日は、防災や災害発生時の具体的なシチュエーションを想定し、ゲーム形式で各自の考えを出していきました。参加者からは、「ゲームを通じたディスカッションが面白かった」「防災に関する意見を共有し、自分と違う意見を聞くことができた点が良かった」など、ポジティブな感想をもらいました。有意義な講座になったと思っています。

――「防災啓発動画」も制作していると聞きました。コンセプトなど教えてください。

小倉

こちらも大学の協力をいただき、近いうちに大学の公式SNSから視聴できるようになる予定です。内容は、「大地震の発生直後」「地震発生のその後」「火災発生時」の3つを60〜90秒程度にまとめたものです。それぞれのフェーズでどう行動するべきかを簡単に、ユーモアも交えながら伝えています。いかに学生を巻き込むかという活動理念の下、動画にも学生に参加してもらいたいとの思いから、チアダンスサークル「MYNX(ミンクス)」や、特撮サークルの「怪獣同盟」、トレーニングサークルの「早大バーベルクラブ」など、早大生がよく知っている公認サークルのメンバーに協力、出演してもらいました。「防災啓発」という目的を果たしながら、短い時間に分かりやすくまとめるのは大変な作業でしたが、撮影・編集を担当してくれた放送研究会(公認サークル)の方と工夫を重ね、ようやく形になりました。

――きっかけは早稲田祭の運営スタッフの活動とのことですが、授業や学生生活で今回の取り組みに影響していることはありますか?

小倉

私が小学6年生の時に東日本大震災が発生し、それ以降、防災に対する意識はなんとなく持っていました。それで、現在は建築と防災を専門とする佐野友紀先生(人間科学学術院教授)のゼミに所属し、群集の行動を分析しています。ゼミや授業を通して得た防災に対する意識や知識は、今の活動にも通じています。

河本

私は、これまでの学生生活で培ってきた「問題の解決を他人任せにしてはいけない」という考えが生きていると思っています。所属する社会や組織の問題を、人ごとのように捉えるのではなく、何事も自ら動くことが大事だと考えています。その最大の問題というのが、私にとっては大学の防災体制でした。

――今後の目標について聞かせてください。

小倉

チーム安全の最終的な目標は、大学と協力できる仕組みを作り、一緒に対策を考えていくことです。その一つとして、災害時対応の主導ができる学生を増やしていきたいので、まずは災害を疑似体験したり、災害について考えてもらえるようなイベントを学生の私たちが開催し、アプローチしていきたいと思っています。

河本

現在、5人のメンバーで活動していますが、そのうち2人はこの春に卒業してしまいます。防災に対する思いを持った後輩たちに、ぜひチームに入ってもらい、活動の規模を広げていってほしいです。災害はいつ起こってもおかしくありません。決して人ごとではないんです。また、総務課、学生生活課、WAVOCなど、これだけ大学の体制に踏み込んだ学生の活動は他にないと思います。大学生活の中で何か行動を起こしたいという思いを持った学生に賛同してもらい、一緒に活動してくれたらうれしいですね。早稲田の後輩たちには、自分が所属する組織に問題意識を感じるのであれば、不満や愚痴を言うだけでなく、自ら主体的に行動してほしいと願っています。

第750回

取材・文:萩原 あとり

【プロフィール】

小倉 慶太:埼玉県出身。県立大宮高等学校卒業。早稲田祭運営スタッフ。ゼミでは、群衆における人の流れ・動きの分析などをしているそう。「今はゼミが楽しい」と語る。

河本 幸太郎:神奈川県出身。森村学園高等部卒業。早稲田祭2017運営スタッフ第一副代表。趣味は料理を作ること。2020年4月よりレジャー系企業に就職する予定。

公式Twitter:@team.anzen
E-mail:[email protected]

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