環境イシューを再編集する【グローバルエデュケーションセンター設置科目】
政治経済学部 4年 髙谷 茉莉子(たかたに・まりこ)
「環境イシュー」を「再編集する」とは、環境問題というサバイバルゲームの新たな生き抜き方を探ること。友成真一先生(大学院環境・エネルギー研究科教授)と久保純子先生(教育学部教授)の講義「環境イシューを再編集する」では、今ある環境問題に対する解決策を多角的に分析・再考し、自分の環境論理を形成していくことが求められます。
講義を一言で表すと「自由闊達(かったつ)」。チームで関心のある環境イシューを選択し、独自に研究を実施します。受動的ではなく、能動的に研究に取り組んでこそなんぼ。学生は授業内外でフィールドワークを実施し、環境イシューに関して視野を広げることに努めます。各チームの研究成果発表はオリジナリティーに富んでおり、聴いていて全く飽きません。本講義の前編にあたる春学期科目「環境イシューを深く読み解く」の研究成果発表では、廃油石鹸の作成、オーガニックと非オーガニックのバナナ試食、新しい室外機をデザインすることなどが行われました。
私は、人類普遍的な課題であることから環境問題に深い関心があります。本講義の研究を通して学んだことは、私たちが「二層のサバイバルゲーム」の中で生存しているということです。一層目は環境問題。そして、二層目は資本主義経済における利益の追求。18世紀後半以降、産業革命が進展し、啓蒙主義の潮流の中で人間の理性が強調されるにつれて、自然は人間の被支配物であるという思想や、工業化という形でその実践が広まりました。資本主義経済の中で利潤を最大限に追求しようと努めた人類は、環境資源を過度に消費し始め、自然を持続不可能なスピードで破壊してきました。その故もあり、20世紀に入ると、酸性雨、砂漠化や海洋汚染などの過度な環境破壊と、それに起因する人間の生活環境の悪化に直面するようになりました。
そして21世紀を生きる私たちは、変化のフェーズにいます。経済成長により貧困の削減を目指しつつ、自らが招いた環境問題に対処していかなければなりません。時に経済成長と環境保護は二項対立とされてきましたが、今まさに「二層のサバイバルゲーム」を同時に生き抜かなければならない状況にあります。だからこそ、自然と共生する人間の暮らし、そして、環境保護と経済発展が調和した社会づくりを、私もキャリアを通して目指していきたいと思うようになりました。