9月28日、「ラグビー日本代表の歴史的勝利」に、テレビ観戦ながら立ち会うことができた。
苦戦を強いられる日本チーム。いつしかスクラムを組む選手たちに合わせ、「Ready. ウッッツ!」と声を上げている我が家の息子たち。トライまであと数センチ、渾身のタックルで相手の攻撃を防ぎ続ける日本の選手たち。パワフルな相手との接触に日本選手の表情が歪んでいる。防戦の中、カウンター攻撃で得点差を縮め、よもやの逆転。その後も、世界ランキングトップにあった、大男たちのプライドをかけた突進に耐え続ける日本チーム。そして、ついにノーサイドのホイッスル。日本の歴史的勝利の瞬間だ。
「Impossible is nothing.」。僭越ながら、これを体現してくれた選手とチーム関係者、そして彼らを支えた方々の、長年の尽力に想いを馳せた。多くの葛藤や苦悩、時には諦めや絶望感など、ネガティブな想いに支配された時期も長かったのではなかろうか。志半ばで、ラグビーから離れる決断を余儀なくされた方もいるだろう。それらすべての想いが結実したこの勝利に、多くの人が「チャレンジするエネルギーと勇気」をもらったことだろう。
「よし、私も!」と高揚した一人。こんな気持ちになったのは何年ぶりだろうか。しかし刹那、彼らのように「かっこよく、チャレンジすべき目標」がなかなか思い浮かんでこない。苦笑しながら思い直し、ビールをもう一本開けた。「ラグビーW杯はまだ当分続く。慌てず、ゆっくり考えてみるのも悪くないか。」
(H)
第1059回