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経済史における女性の闘い

多くの女性たちが協力して、女性経済思想史ハンドブック『The Routledge Handbook of the History of Women’s Economic Thought』が2018年に出版された。時折吹く女性バッシングの風に団結して立ち向かう感がある。開発経済学で活躍した女性たち(アリス・アムスデンやアン・クルーガーら)については、既に専門誌で取り上げられている。英米で1945年以降に活躍した女性たちは多いので、割愛された。

アラブやアフリカの女性エコノミストも取り上げられた。彼女たちは闘いの真っ最中である。女性マルクス主義者たちは、外での闘いのほか、「家族の中では男性がブルジョアで、女性がプロレタリアンを代表する」というエンゲルスの観念も敵としなければならなかった。

冒頭はインドの章で、紀元前の詩の引用がある。西洋の諸章に続く日本の章では、額田王、清少納言、紫式部にふれられ、ようやく江戸時代に、幕府の政策を批判した只野真葛が登場する。

明治時代末、「良妻賢母」教育が批判され、それに反撥(はんぱつ)したのが、大江スミの新しい家政学、松平友子の家計の合理的・進歩的行動を論じる家事経済学だった。山川菊栄の文筆力は海外の女性たちと比べても素晴らしかった。戦前に早稲田大学聴講生だった三瓶孝子は経済史で活躍した。戦後、佐々波楊子の先端的国際経済学研究、佐野陽子の労働経済学・人的資源管理研究、篠塚英子の男女雇用機会均等法定着に向けての闘いが繰り広げられた。先進国の他章と比べると登場する人の数は少ないのが気懸かりである。

(AI)

第1056回

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