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少数精鋭の「チロルチョコ」企画担当 ワンゲル部で培った発想力を生かす

ワンダーフォーゲル部での経験が今の仕事に生きています

チロルチョコ株式会社
御手洗 千里(みたらい・ちさと)

1962年の発売開始以来、手軽さと低価格から愛され続けるチョコレート菓子「チロルチョコ」。このロングセラー商品の企画・販売を行う「チロルチョコ株式会社」で企画室の主任を務めているのが、第一文学部出身の御手洗千里さんだ。「楽しいお菓子で世の中明るく♪」を社是とする同社で意外性や驚きを生み続けている企画展開の裏には、大学時代に培った企画立案力や発想力と「トライ&エラー」の積み重ねがあった。

「今いるメンバーでできる最大限は何か?」という考え方

山登り好きな両親の影響もあり、高校時代からワンダーフォーゲル部でインターハイや国体にも出場していた御手洗さん。早稲田大学進学後も体育各部のワンダーフォーゲル部に所属すると、4年間の学生生活のほとんどは部活動と共にあった。

「1年のうち5分の1くらいは山や川で合宿をしていましたね。それ以外の日も、部室にいるか走り込みをするか、学生会館のジムで筋トレをするか…。だいたい週に4日はトレーニング。よく戸山公園をランニングしていました」

長良川でラフティングをするワンダーフォーゲル部時代の御手洗さん(右端)

ドイツ語の「渡り鳥」が語源となっているワンダーフォーゲルは、山登りあり、川下りあり、自転車やスキーありと、活動はさまざま。自然を舞台にするのでフィールドは日本全国に広がり、学年によっては海外に及ぶこともあるという。その中で共通するのは「仲間と協力して目的を達成する」という点だ。

「他の競技と違って『勝ち負け』はありません。大事なのは、『今いるメンバーでできる最大限は何か?』という考え方。山岳部は『誰か一人でもピークに立つ』ことを目的にしていると思いますが、ワンダーフォーゲル部の場合は『全員で達成できるかどうか』を目指していて、そこに魅力を感じました。部活動を通じて、仲間と協力すること、考えて行動することの大切さを学びましたね」

体を鍛えるだけでなく、「どの山に挑むか?」「そのためにはどんな合宿を組むべきか?」といった企画立案の力も鍛えられたという学生生活。その延長線上で、就職活動でも企画力や発想力が生かせる仕事を目指した。

部の合宿では北アルプスの鷲羽岳へも登頂(左から4人目が御手洗さん)

「最初は広告業界を志望していたのですが、ある先輩から『この社長の考え方、面白いよ。向いてるんじゃない?』と渡されたのが、弊社社長(現・会長)のインタビュー記事でした。確かに、チロルチョコってブランド名はすごく有名なのに、調べてみると社員数は50人(当時)くらい。そんな少人数でこれだけ有名な商品を作り続けるってすごいなと。ワンダーフォーゲル部も4年間で最終的に残った同期は2人だけという少人数でしたので、そこで親近感を覚えたというのもありますね」

御手洗さんが就職活動をしていた頃、チロルチョコは2003年に発売した「きなこもち」の大ヒットを受け、他企業とのコラボ商品を中心に次々と新機軸を打ち出していた時期だった。

「今でこそコラボ商品なんてどこのお菓子メーカーでも当たり前ですが、当時はまだ新鮮で、その先駆け的な存在がチロルチョコでした。子どもでも買える身近な商品でこんなに面白いことができるんだ! これこそ発想力が生かせる会社じゃないかと思って入社試験を受けてみたんです。最終面接は噂の社長との個人面談でびっくりしましたけど、すごく面白くて魅力のある方でした。『何か質問して』と言われて、『何のチロルチョコが好きですか?』と聞いたのを覚えています(笑)」

仕事もワンダーフォーゲル部も、トライ&エラーの繰り返し

無事に入社を果たし、研修を経て配属されたのは希望通りの企画職。実際に働き始めると、社長や上司から次々に出てくる新企画や難解なアイデアを“どう具現化していくか”を考える日々。その繰り返しが御手洗さん自身の企画力と実現力を磨き上げていった。

「特に思い出深いのは、昨年3月にオープンした直営店の立ち上げですね。なんのノウハウもないのに、『場所は用意したから』と無茶振りされ、準備期間が3カ月ほどしかない中で、内装や商品陳列、アルバイトの手配など経験のないことばかりの毎日でした。なんとかオープンにこぎつけられたのは、それまで社長の下で働いてきた9年間の蓄積があったからだと思います」

立ち上げに携わった、秋葉原にある「Shop チロルチョコ」にて

この夏はチロルチョコ定番の味「コーヒーヌガー」の発売開始40周年キャンペーンに向けて、「チロルチョコでしかできない面白い企画作り」に没頭していたという御手洗さん。そんな忙しい日々において、学生時代に培った経験が仕事に生きている場面は多いという。

「計画を立てて実行する。失敗したらどうすればよかったかを考察して再チャレンジする。トライ&エラーを重ねながらより良いものを目指していくワンダーフォーゲル部での経験って、今の仕事と一緒だなとあらためて感じます」

(写真左)コーヒーヌガー発売40周年キャンペーン(10/1~11/9)で当たる超巨大クッション。チロルチョコの約100,000倍サイズ
(写真右)同クッションはShop チロルチョコの店内にも展示

11月の出産を控えて産休に入る御手洗さん。1年後に予定する復職後も、チロルチョコらしい面白い企画作りを手掛けていきたいと語ってくれた。

「1粒のチョコレートの中にデザインを落とし込むのは難しいですが、こうした方が見栄えがよくなるんじゃないか、もっとお客さんに伝わるんじゃないか? と試行錯誤しながら、パッケージを作っています。個人としての大きな目標はありません。とにかく一生懸命目の前のことに向き合い、丁寧な仕事を積み重ねていく…という地道な取り組みしかないと思います。とは言いつつ、私もいつか『きなこもち』のような大ヒット商品を手掛けてみたいですね。将来、生まれてくる子が大きくなったときに、『○○ちゃんのお母さんがコレ作ったんだよ』と自慢できるような母であり、チロルチョコの社員でありたいと思います」

コーヒーヌガー(手前右から3番目)は、40周年限定のパッケージも販売

取材・文=オグマナオト(2002年、第二文学部卒)
撮影=石垣星児

【プロフィール】

妊娠中も足を運んでいるJリーグ観戦

山口県出身。早稲田大学第一文学部卒。2009年にチロルチョコ株式会社に入社。現在は企画室の主任として、パッケージの開発などを手掛けている。趣味はJリーグ観戦(サンフレッチェ広島サポーター)。生まれてくる子には将来なでしこJAPANに入ってもらいたいと夢を描く。好きなチロルチョコの味は「チョコレートが溶けてもキャラメルが残るので二度おいしい」コーヒーヌガー。

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