GSセンター 専門職員 大賀 一樹(たいが・かずき)
人間関係というのはとても複雑で、相手に対しては何らかの「こうであってほしい」という感情が少なからず存在しています。そして他者も同時に、あなたにそれを求めていることがあります。
例えば、「“恋愛感情”、“友情”、そして“家族への愛情”は何が違うのか」という課題があったとします。あなたはどう考えますか?
これは「他者に対する感情」であるという意味ではどれも共通していますね。しかし、この課題にあなたがどう回答するかによって、あなたがそれぞれの他者に対して、「こうであってほしい」という役割を求める気持ちが浮き彫りになってくるかもしれません。
そして、さらに難しいのが、この感情は日々安定化を図るために、「この人は〇〇に違いない」と無意識に相手に対する考えを固定化しようとしていきます。自分にとって、その方が「変わらない相手」として安全だからです。しかしこれは同時に、相手への「ステレオタイプ」となることもあります。
今回のご相談に話を戻しますが、あなたはもしかしたら無意識に「友人は異性愛者だ」と思っていた節があるのではないでしょうか。もしそう思っていたとしても、私たちがあなたを責めることはありません。なぜならそれは、あなたが他者を安全に思うための、または信頼をするための、ステレオタイプの一つだからです。
しかし、実際にはあなたの友人は「異性愛者」ではなかったのです。あなたは今、友人の今まで知らなかった面を知って、少なからず安全を感じられなくなってしまっているかもしれません。
では、実際のところはどうでしょう。友人は変わらずそこにいて、今までと変わらず過ごしているのです。同性愛者であっても、異性愛者であっても、友人の人格がいきなり変わることはありません。今までと同じように、他者に対して危害を加えようとはしませんし、ふざけたりするかもしれませんし、笑ったり、泣いたりするかもしれません。
例えば、もし友人があなたに危害を加えるようなことが今後あったとしても、それは友人が「同性愛者だから」ではないのです。その場合、仮に友人が異性愛者であっても、あなたにとっては安全ではないのです。
以上を踏まえ、いただいたご相談に回答いたします。
1.あなたが意識してしまうのは、相手が実際に変わったからではなく、<自分が他者に対して抱いていた感情が「変わった」からである>と知ること
2.あなたが求める「今まで通りの関係」、つまりあなたが安全と思える関係を続けていくためには、あなたがその感情や意識を大事にして、受け止めていけるようになること
一人で考えるのが不安であれば、ぜひGSセンターへ遠慮なく相談してください。もちろんプライバシーを守り、別室にて一対一でお話を伺うことができます。